かんぼうさんへ

「赤裸々に描くところがこの人の凄いところです。物書きだけに鋭い感性で「死」を正確に捉えている。父親。弟の「死」を克明に伝える。自分の老いを素直に見つめる姿は流石だと思います。私もこの本読んでみたくなりました」

自分のこと、友人のこと、好きだった女性の事、性のことなど本当に赤裸々に書いてありこんな事まで書いていいのかと思いましたが、最後は見事にまとめてありました。

600円位の文庫本ですぐ読めます。私は2日位かかりましたがかんぼうさんは読むのが早いので2-3時間で読んでしまうのではないかと思います。肩がこらずに読めますので一読をお勧めします。 (2022.02.09 18:17:00)

今が生死

今が生死

2022.02.08
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カテゴリ: 読書
石原慎太郎氏の「老いてこそ生き甲斐」を読んだ。87歳の時書いた本で7年前に脳梗塞を患い老いと死に直面して老いても生きがいはあるのかを思索した内容だった。
前半は老いや死について友人だった有名な人達が実名で何人も登場して自殺の詳細なども書いてあるのでプライバシー侵害にならないのか心配した。
身内については父親が大きな汽船会社に勤めていたが51歳の時会社の会議中脳卒中で急死してしまった。非常に多忙だったので周囲の人はお疲れになってちょっとお休みにななっているのだろうと思っていたら死亡していたとのことである。つい最近、極親しい医師が診察後薬屋さんと話をしている途中で居眠りしてしまったと思ったら亡くなっていたというショッキングな例を体験したが慎太郎さんのお父さんもそのような死に方だったので昔からそういう死に方があったのだなと思った。
弟の裕次郎さんは肝臓がんで52歳で亡くなったが、病名や余命について慎太郎さんは本人に正確に告げた方がよいと思っていた。しかし奥さんの北原三枝さんやマネージャーがそんなことをしたら裕次郎さんがショックで自殺する可能性があるとのことで病名を伏せていたので裕次郎さんは「どうして少しもよくならないでどんどん悪くなっていくのだろうか」という精神的苦悩と激しい痛みや言いようのないだるさで最後まで苦しみながら亡くなったとのことである。
私も最近二人の膵臓がん末期の患者さんを受け持ったが一人は病名と余命をはっきり伝えられていたがもう一人は病名は伝えられていたが、余命は伝えらえていなかった。病気の進行状態にも個人差があるので一概にどちらがよいかは言えないが、入院期間中明るく楽しそうに暮らしていたのは余命まで伝えられていた人で、余命を伝えられていなかった人は精神的にも肉体的にも苦しそうで本当にお気の毒な状態だった。裕次郎さんも病名と余命を伝えられていたらもう少し平穏で有意義な余生が送れたのではないかと思った。
自殺については慎太郎氏と同じ脳梗塞を苦にして「脳梗塞になり自分は元の○○ではない」という遺書を残して自殺した非常に有名な評論家について書いていた。奥さんの死という悲しいことが重なったとはいえ、慎太郎氏だって今この病気に挑戦し闘っているのだから○○君も戦って欲しかったと述べ、自殺する人は忍耐力がなく、先を冷静に見る力を失い、責任放棄で残念でならないと述べていた。
慎太郎氏は脳梗塞で字が書けなくなってしまったがワープロ打ちは出来たので入院中短編小説を書きベストセラーになった。退院後は毎日散歩を欠かさずスクワットやロングブレスの呼吸法を実践して麻痺の克服と筋力をつける努力を重ねてそれが生きがいになってきたとのことである。
毎日1時間ほど決まった道を歩いているが途中で娘さんと思われる女性に介助されながら散歩している老婦人に出会うようになった。行き会うたびに互いに声を掛け合う仲になったがいつも晴れやかに笑いかけてくれるので不思議な勇気を頂いた。時間がずれて行き会えない時には寂しい気がして相手の身が心配になった。これも一つの生きがいだったろうなと思った。
慎太郎氏には多くの有名人の知己がいたが評論家の渡辺昇一氏もその一人で晩年いくつかの病魔にとりつかれていたが、いつも泰然としており、さらに晩年転んで腕を折って治療に通っている時も会うたびに「痛いというのは有難いことですね。私はまだこうして生きている証ですからね」と淡々としており、老いを迎えた者にとっての理想であり、人生の達人であると称賛していた。
人は必ず死ぬ。老いの中でそれにどう向き合うかが問題だ。それが老いてからの人生を満たしもするし損ないもする。
精神分析学者ジャック・ラカンは「死への意識は人間にとって新しい現実への認識を促進する」と述べているがこれは真の生きがいへの道筋を示したものだと思う。ラカンのいう新しい現実への認識とは老齢になり、日々誰も見たことがない未知の経験を積んでいくのだから新しくて冷静な物の考え方であり、促進するとはその考え方をしやすくなるということだと思う。
長い人生を歩んできた老いたる者達こそ、その経験を生かして後からやって来る者たちのために常に新しい生きがいを見出し、人生を見事に全うすることが老いたるものの責任でではなかろうかと結んでいた。
老いたる者達よ!軽挙に自殺などしないで生きがいを見つけて最後の人生を飾ろうと言うのが本書の趣旨だが、その間に様々なエピソードが挿入されていて大変面白くて読みやすい本だった。





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Last updated  2022.02.09 09:58:30
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Re:散歩途中の出会いも生きがいー石原慎太郎の「老いてこそ生き甲斐」を読んで(02/08)  
かんぼう さん
石原慎太郎氏の「老いてこそ生き甲斐」を読んだ。87歳の時書いた本で7年前に脳梗塞を患い老いと死に直面して老いても生きがいはあるのかを思索した内容だった。
前半は老いや死について友人だった有名な人達が実名で何人も登場して自殺の詳細なども書いてあるのでプライバシー侵害にならないのか心配した。
長い人生を歩んできた老いたる者たちこそ後からこの世にやって来る者たちのために常に新しい生きがいを見出し、人生を見事に全うすることが老いたるものの責任でではなかろうかと結んでいた。

立派な生き方ですね。赤裸々に描くところがこの人の凄いところです。物書きだけに鋭い感性で「死」を正確に捉えている。父親。弟の「死」を克明に伝える。自分老いを素直に見つめる姿は流石だと思います。
私もこの本読んでみたくなりました。
私も「先ず臨終の事を習うて他事を習うべし」と大聖人様が御書の中で述べていますから。延命治療をしない誓約書、遺言状、いつ頃人生の幕を引くのかも決めて健康でピンピンコロを朝夕祈って毎日12000歩太陽の動きに合わせていかされて生きています。今日したい事をすべて悔いなくしているので何時ご臨終でもその死を有り難く受け止めていきます。
良い感想のブログ有り難うございます。 (2022.02.09 09:16:39)

Re:散歩途中の出会いも生きがいー石原慎太郎の「老いてこそ生き甲斐」を読んで(02/08)  
Mrs. Linda  さん
80年頃、ホノルル空港で見た慎太郎さんの何と輝いていた事か!
長身ですらりとして、色が白くハンサム。育ちの良さを感じられる物腰。
日本にもこんなに素敵な男性がいたのかとびっくり。

スケールの大きな人でした。年に不足がないとはいえやはり寂しいです

評論家の江藤淳さん、と西部邁さんの壮絶な死にはショックを受けましたが、彼らの勇気ある行動には敬意を表したいと思います。 (2022.02.09 12:13:48)

Re:散歩途中の出会いも生きがいー石原慎太郎の「老いてこそ生き甲斐」を読んで(02/08)  
告知をしなかった時代でした。確かに、裕次郎さんにも、然るべき告知をしていたら、余命の生き方、言葉が有ったと思います。
 医師である楽天星さんは、告知を始めたきっかけとか、その時期など、ご記憶に有りますか? (2022.02.09 13:23:50)

本当に赤裸々に書いてありました  
楽天星no1  さん

自ら命を絶つものは老いと闘うことを諦めた敗者  
楽天星no1  さん
Mrs. Lindaさんへ

自殺した友人の小説家や評論家は生前は国家を思うが故の激しい論客が多く慎太郎氏も共鳴したり尊敬していた人達が多かったので、さぞかし寂しく無念に思ったことと思います。

自殺した人達には人には言えない苦しみもあったのかも知れませんが石原氏からみると歯がゆくむなしかったのだと思います。
本書の中では「自ら命を絶つものは老いと闘うことを諦めた敗者でしかない」と述べており、老いと闘う勝者になろうと叫んでいます。 (2022.02.09 18:32:21)

Re:本当に赤裸々に書いてありました(02/08)  
かんぼう さん
楽天星no1さんへ

肩がこらずに読めますので一読をお勧めします。
◎赤裸々に人のsagaが書かれている。早速市立図書館に電話を入れると先客が借りていて20日頃私の方に連絡が図書館から入ります。届いたらさっそく読んでみます。文章はその人自身が赤裸々に表現されるもので書く人はマッパら裸の自分ですね。後は文章を書く表現力です。石坂さんは凄い人なので巧みに書いている事でしょうね。人の死の姿を尊厳な気持ちで書いていると思いますから図書館からの連絡が届くのを楽しみにしています良い本を紹介して頂き有り難うございます。私なりに読みブログで伝えます。 (2022.02.09 18:42:43)

告知を始めた時期  
楽天星no1  さん
ケイサン9574さんへ

私が医者になった頃は告知なんて絶対してはならないとされており、如何に嘘を言ってガンその他の死病を悟られないようにしなければならないとされていました。従っていかに上手に嘘が言えるかが名医の条件でした。それから20年位経った頃からアメリカでは告知をしているのだとの情報が入ってきて日本でも一部で告知するようになりました。今から30年位前には殆ど告知するようになり20年くらい前には原則告知になっているのではないかと思います。30年位前までは個人の医師の考えで告知する医師とそうでない医師がいたと思いますが20年位前からは社会通念としてほぼ告知が原則になったのではないかと思います。しかし今でもご家族のご都合やお気持ちで告知はしないでくれというご家族もいます。 (2022.02.09 18:49:28)

石原さんが随分身近になりました  
楽天星no1  さん
かんぼうさんへ

石原さんは都知事の時など威張り腐ったような態度もあり、横柄な人かと思っていました。しかし本書では散歩で出会う老婆の笑顔に勇気を貰うとか、「太陽の季節」が売れて少しばかりの印税が入ったら父親が死んで急に貧乏になってしまった石原家でお母さんが風呂場で洗濯板を使って弟の裕次郎が連れてきた友人の分まであかぎれを作りながら選択しているのをみて、最初に電気洗濯機を母親に買ってやったら母親が涙を流して喜んでくれた記述等をみて心優しい人だったのだなと思いました。身近な人になりました。 (2022.02.09 19:04:02)

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