今が生死

今が生死

2022.02.12
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カテゴリ: 政治
昨日の新聞のオピニオン欄に「生活保護は機能不全なので制度を解体して使いやすくした方が良い」という貧困問題専門家の岩田正美さんへのインタビュー記事が載っていた。岩田さんは昨年11月「生活保護解体論・セーフティネットを編みなおす」を出版した人である。
生活保護制度は憲法25条の「生存権」の理念に基づき「健康で文化的な最低限の生活」を保障する制度として1950年に制定された。菅前総理はコロナで極限まで生活に困った人は生活保護制度があるのでそれを利用すればよいとの発言をしていたがそれ程簡単なものではないと思われる。
どんなに生活に困っても「生活保護だけは嫌だ」と思っている人は多い。社会の最下層として差別視されることも多いし本人も社会から全面的に面倒見てもらうことに負い目を感ずることもある。
生活保護は「国が定める最低生活費」を収入が下回る場合に市町村の福祉事務所に申請して審査に通れば支給される。
支給されるお金は食費や光熱水費などの「生活扶助」、家賃に当たる「住宅扶助」、義務教育の学用品などの「教育扶助」、病気になった時の「医療扶助」、介護費用の「介護扶助」、出産費用の「出産扶助」、就労に必要な技能習得費などの「生業扶助」、「葬祭扶助」の8種類がありこれが一括されており生活保護がもらえたら必要に応じてこれら全てが扶助してもらえることになっている。
岩田さんは「生活保護の根底には戦前から続く貧困救済の考え方が残っていて生活に困った最後の最後の段階で受給されるという事が強調されており生活に困った人が手軽に使える制度ではないので、8つの扶助を分解して必要に応じて扶助するようにした方が利用者が増え社会の偏見も少なくなる」と述べていた。
例えば住宅扶助はもらうが医療扶助はなく健康保険料を払ったり医療費を窓口で払ったりする分割した扶助にした方が良いとの考え方だ。
「生活保護」と一括りにすると生活困窮のため衣食住を丸ごと保証されているとして周囲から特別な目でみられる事があったが単品のみであれば他については税金を払っており、負い目を感ずることもない。生活に困っている人がもっと気楽に使えるようにするには8つの扶助をそれぞれに分割して必要に応じて使って貰うようにした方が良いとの主張だった。
自由主義社会では富裕層、中間層、貧困層、極貧層が生じる。極貧層はその他の層の治める税金で生活していくことになるが、極貧層として決めつけるような制度ではなく他の層も含めてだれでも生活に困った時には気軽に利用できるような制度にした方が良いとの考えには私も同感である。
それと同時に高齢者対策や年金問題なども含めた社会保障制度の充実、発展を生活保護の再検討と並行して協議してもらいたいと強く望むものである。





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Last updated  2022.02.12 14:44:31
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