昨日87歳のパーキンソン病の男性患者さん宅に訪問リハビリに行ってきた。理学療法士は毎週リハビリ施療に通っているが医師は3か月に一回リハビリ施療が効果をあげているか確認するために訪問することになっている。今回で3回目の訪問だが相変わらず寝たきりで、予定されていた白内障の手術も全身状態不良で中止になり、眼もほとんど見えないみたいで、いよいよ人生の終焉を迎える頃なのかなと思ったが、話を聞いてみたら食事をする部屋やトイレに奥さんが連れて行き介助しながら食事を食べさせたりトイレをさせたりしているとのことで、できるだけ今までの生活スタイルに沿うようにしているとのことだった。
車椅子でなく今度は歩行車でトイレに行けるようにしたいとも言っていた。プロの理学療法士も手を取ったり両肩で各腕を支えて歩行訓練を行おうとしているが中々困難で歩行器歩行は難しい現状だが、土日手伝ってくれる息子さんやヘルパーさんの力を借りて不可能と思えることも出来るようにしてしまう奥さんなのでやってみて下さいとケアマネさんが激励していた。目がほとんど見えなくて耳も殆ど聞こえない中で何とか意味を汲みとって意志の疎通を図り、患者さんが満足するように介護している奥さんの行動をプロのセラピストも賞賛しており、「奥さんから自分の方が教えてもらうことが多い」と言っていた。
近く一泊旅行で富士山が見える河口湖に行ってくるとのことで眼も見えない患者さんにどうして富士を見せてやるのかなと思ったがご夫婦のコミュニケーションの中で決まったことだと思う。私が最も感心したのはケアマネさんが教えてくれたことだが、数日前に、寝ダコの重症化したものである褥瘡が出来ていたのを奥さんと息子さんでマッサージしたり塗り薬を変えたりして治してしまったとのことである。ケアマネさんによると、今までにも何度も褥瘡が出来たがその都度奥さんと息子さんが協力して治してきたとのことである。褥瘡は一度出来ると治すのは困難で、私達も大変苦労している病気だが、出来る度に治しているとはすごいことで、その方法を教えてもらいたいと思った。パーキンソン病で85歳以上に生存するのは稀で、肉体的にも精神的にも困窮の極致にあると思われる患者さんと精神的交流を保って、QOLが向上するように日々努力しながら、一方では自分の仕事である琴の師匠として、琴教室も別の部屋で続けているというのだから凄い人だなと思った。
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