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覚えているものを。『マイ・バック・ページ』…松ケン良かった。忽那汐里が意外に良かった。見たあとで原作知って軽く衝撃。『ワールド・ウォー・Z』…ゾンビの話見るといつもゲームみたいって思う。『ゾディアック』…殺人のシーンが怖くてあまり見られなかった。『アーティスト』…素敵。『ゼロ・グラヴィティ』…程よい長さできっちり簡潔。素晴らしい。『のぼうの城』…榮倉奈々は時代劇をやらせんほうがいいと思う。上地雄輔は役者で初めて見た。良かった。『ゼロ・ダーク・サーティー』…リアル。『探偵はBarにいる』…映画館で見たとき超面白いと思ったのに、DVDで見たら一緒に見ていた旦那さんからぼろくそに言われて悲しい。『フェイス・オフ』…ジョン・トラヴォルタは顔が四角いと思った。『ディナーラッシュ』…すごく好きなタイプの映画。絶対もう1回見る。2013年に見た中で一番好き。『ナショナルトレジャー』『ナショナルトレジャー2』…ふつーにおもしろ。『JSA』…ラストシーンが好き。『殺人の追憶』…これはすごい。『里見八犬伝』…薬師丸ひろ子と真田広之の若い頃! 若い頃!『恋する惑星』…何度見てもいい。『台北の朝 僕は恋をする』…とぼけた展開に前半はイライラしたが、後半になるとそのとぼけた感じがクセになる感じ。「かわいーねー」っていう日本語にやられた。『アイアムレジェンド』…犬かわいい。『ニキータ』…こういう映画だったのか!『レオン』…何度見てもナタリーポートマン。『エンド・オブ・ホワイトハウス』…日本の出演なし。『キャピタリズム~マネーは踊る~』…もう全然覚えてない。『風立ちぬ』…いい映画と思うけど、登場人物がみんな清廉潔白でなくてもいいじゃんって思っちゃう。『ファイナルディスティネーション』…わーわー映画。『鴨川ホルモー』…げろんちょりん!『スネークアイズ』…最初の長回しに超興奮した。『バトルロワイアル』…全然期待していなかったらすごく面白かった。柴咲コウと栗山千明ほか、若いキャストたちが素敵すぎる。『ミッドナイトインパリ』…パリの場面があったことは覚えている。『ルワーブルの靴磨き』…大好き、カウリスマキ。「治ったわ」!『CURE』…怖かったことは覚えている。『ハイ・フィディリティ』…ラストがよく思い出せない。『エリザベスタウン』…ラストシーンでヒロインが赤い帽子をかぶっていたような。『ラブ・アクチュアリー』…マーティン・フリーマンのAV男優役がはまりすぎてていい!『ブレックファスト・クラブ』…もう少し若い頃見たらよかったのかもしれん。『REC』…いい!『ブラックサイト』…ふつう!『7日間戦争』…この頃の宮沢りえは処女だったかどうかというゲスな勘ぐりしかできない大人に私はなりました。『日本の黒い夏』…「私は私です。変わりようがありません」『デンデラ』…熊は怖いよね。
2014.01.05
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「アキ・カウリスマキが好きだから子どもが生まれたら男でも女でもアキって名前をつけるって決めてた友達がいた」って話をしたら、「友達の話かよ! どうでもいい情報を話すな!」と怒られた正月。ひとこと感想。『呪怨』…こわいしかわいそう。『ソーシャルネットワーク』…すごく面白いんだけど、早口で展開についていけないところが結構あって、自分の頭の回転が遅いのかと落ち込みそうになるが正月から落ち込んではいけないので気にしない。いつかもう1回見る。『ドラゴンタトゥーの女』…主人公が雪の村に立ってあたりを案内される場面で、「あ、北欧版の八つ墓村なんだ」とおもた。リスベットがソーシャルネットワークのエリカだって聞いて驚愕。わーー。。すごいのね。面白かったしベッドシーンに興奮したが、犯人候補が少なすぎなので謎解きとしてはそんなにアレなんじゃない…? そういうところを楽しむ映画ではないのかな。『太陽を盗んだ男』…役者の存在感が濃い。ジュリーじゃないとできない役。素晴らしい。皇居とか新宿のシーンにただただびっくり。猫は本当に殺したんじゃないよね?
2014.01.05
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【1000円以上送料無料】ホテルローヤル/桜木紫乃【RCP】直木賞受賞作。著者の実家はラブホテルを経営していて、著者も小さい頃から掃除を手伝ったりしていたそう。その経験を元に執筆したという一作。【以下ネタバレあり】■地方にあるラブホテルを軸にそこで交差した人々の人生を描く。現在から過去にさかのぼるかたちで連なった短編。読後感は割と重たく、好き嫌いありそう。私は嫌いではないけれど、こういったリアリティのある、行き場のない人たちの人生の重みは、遠くの国で起こっている戦場を描くドラマと同じか、もしくはそれ以上に胸に迫る。小説によって救われる人がいるだろうか。そうでなければ、なぜ作家たちはこういうドラマを書くんだろう。そんなことを考えた。■一番好きな短編は「せんせぇ」。これが一番エンタメ色が濃い作品のような気がする。高校教師(数学)と女子高生が偶然駅で出会って、次第に互いの孤独に気付いて…というあらすじだけ書くと陳腐だが、2人の孤独が短い小説の中で痛いほどわかる。2人がどんな運命を辿るかは前後の短編を読むとわかる。で、この話は20年前に流行したドラマ「高校教師」を連想させる内容。「せんせぇ」の主人公の名前は野島広之。女子高生の名前は佐倉まりあ。「高校教師」を見ていた人ならすぐにピンと来ると思うが、「高校教師」の脚本家は野島伸司で、主人公の高校教師を演じたのは真田広之。女子高生役を演じたのは桜井幸子。「野島」「広之」「佐倉(桜)」の共通点から言っても著者が高校教師をオマージュしているのは間違いない。主人公たちの名前をドラマ「高校教師」から取っていると気付いたときには、ちょっとほっとした。その一点において、小説のエンタメ度、創作度が高まるから。エンタメであってくれてよかったと思う、こんな悲しい話は。やれやれ。■他の短編もどれも割と好き。だがしかし、どれもタイトルのセンスが古くさいというか、イマイチ。もっといいタイトルが他にあると思うんだけれども。
2013.08.15
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【送料無料】全っっっっっ然知らない街を歩いてみたものの [ 清野とおる ]面白い。それ以上の言葉が見つからんほど面白い。有名な観光地や飲食店があるわけではない、なんでもない街を著者は訪れる。予定も立てず事前に何か調べるわけでもなく、行き当たりばったり。しかもひとりで。それだけのエッセイ漫画がなんでこんなに面白いんだろう。■以前、いいともでタモリが、ナオトなんとかという名前の歌手と話しているときに、インティライミが携帯断ちをしているという話に同意して、「電車なんかでもみんな下向いてiPhoneとか携帯とかいじってるもんね。あれなんだろうね。iPhoneいじって何が楽しいのって聞くと、『情報が得られるんです』って言うんだよね。情報なんて、窓の外見てれば入ってくるんだよ。なんでわざわざiPhoneなんだろうね」と言った。私もiPhoneいじりはしょっちゅうするので、電車の中でのiPhoneいじりを安易に批判する気はないのだけれど、タモリの言葉は何となく心に残った。あと、ぼんやりと、「窓の外見ても、そんなに情報や面白いことはない。やっぱりツイッターやネットニュースで流れて来る情報の方が刺激的だ」とも思った。だけれども、『全っっっっっ然…』を読んで、やっぱりタモリの言うように、電車の窓の外にも限りなく情報というものはあるんだなと思った。なぜそこに情報を見て取れないのかといえば、一重に私自身が面白い人間ではないから。iPhoneの中にある情報は、ほぼすべてが誰かが編集して面白くしてくれたものだ。自分で見たもの、聞いたものをどれだけ面白がれるか。それにはこれまでの自分の経験と知識、そして想像力が必要だ。
2013.08.13
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【中古】邦画 レンタルアップDVD 鴨川ホルモー /【10P17aug13】■さくっと面白かった。栗山千明かわいい。小説はそれ程面白いと思わなかったのだけれども、そう思ってしまったのは私の想像力の貧困のためだったのかもと思いました。ごめんなさい。以上。ゲロンチョリン!
2013.08.11
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【中古】 日本の黒い夏 冤罪・松本サリン事件 /熊井啓(著者) 【中古】afb松本サリン事件のえん罪を扱った映画。疑われ続けた第一発見者の男性は、松本サリンから地下鉄サリンまで約9カ月間も疑われ続けたんだと改めて知った。私はまだ当時中学生で、ことの大きさは全然理解してなかった。■印象に残った言葉「私は私です。変わりようがありません」中井貴一が演じる地方テレビ局の報道部チーフの言葉。この人は、以前警察からの情報を鵜呑みにして容疑者を特定するニュースを流し、容疑者扱いされた少年が自殺してしまったという過去があり、それを悔いている役柄。松本サリン事件にえん罪の可能性があることを報じる番組を流した際に、視聴者からクレームが殺到し、スポンサーからも抗議が来る。で、局のえらい人から叱責される。「君は東京のテレビ局でも、報道の正義を振りかざして問題になったことがあるそうじゃないか」と言われたときの台詞。「私は私です。変わりようがありません」たぶん、この人は自分の過去の過ちはもちろん、自分の性格の問題点なんて言われなくてもわかっているんだろう。自分の短所を悔いて、そのまま押しつぶされそうになることはきっと誰にでもある。そして押しつぶされてしまうと何も出来なくなる。自分に能力が足りないから行動を起こさないというのは、一見謙虚に見えて卑怯でもある。何をどういわれても変えようがないことがある。動かざるを得ないことがある。自分の信念にそって動かなければ、自分が死んでしまうことがある。たとえ誰かに嫌われても。嫌われるのは怖いけれど、何も出来なくなるのはもっと怖いことだ。忘れないようにしたい。
2013.08.06
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【送料無料】タモリ論 [ 樋口毅宏 ]非常にキャッチー。タイトルが時期を抑えている。でもそれに尽きる本。アマゾンレビューで「これは論じてない」と散々言われているけれど、本当にそうで、ただひたすら自分の知っているエピソードを並べているだけ。並べて感想を言って面白ければいいんだけれど、絶望的に面白く…ない…。■「はじめに」の部分で著者は「お涙頂戴」の創作物を「低俗」と言い捨てて、お笑いという人を笑わすことを目的とした職業へのリスペクトを熱く語る。言っていることはもっとも。確かに人を笑わせるのは難しい。お涙頂戴はくだらない。でも、この著者の、この「はじめに」の書き方こそが、私には「お涙頂戴」的な安っぽいテキストに見えました。熱く自分の思うことを語れば、それで誰もが納得するわけじゃない。あなたのことを好きになるわけではない。という話を友人にしたら、「お笑い芸人は自分よりすごい前提でこれから書き始めます(自分はお涙頂戴しかできないから)って言いたいんじゃないの」と言われたが、そうなのかもしれない。■全体を通じて感じるのはタモリ論なのにさんまやたけしのことばかり書いているとか、論じられていないっていうアマゾンレビューはまったくその通りなので繰り返さない。私はどうにも、この著者の方は、「目上に媚びる」人なんじゃないかと思えて仕方ない。BIG3への批評が結局はすべてあからさまなよいしょにすぎず、「すごい」「すごい」「ついでに、こんなに細部まで覚えている自分ってすごいでしょ」にしか聞こえない。上から目線っていう言葉があるが、全体を通して下から目線すぎるのが気になる。批評って対等の立場からするものなんじゃないだろうか。あと、子どもの頃に見たテレビの記憶で書いている部分がいくつもあるが、小さい頃見たテレビの記憶を再度YouTubeで見ると全然違ったっていうことって結構ある。「CM明けのタモリは心なししょんぼりして見えたのを覚えています」みたいなのがたびたびあるけれど、それって本当の記憶か? ■最後の方にあるインタビューいいとものディレクターへのインタビューがあるが、これが笑えるほど何も聞き出せていない。ここでもまた、「僕はこんなエピソードを覚えています自慢」をして、相手が「よく覚えていますね」と笑ったとか、そんなことだけ。ディレクターは切れ者っぽくて、簡単には話を聞き出せなかったとか言っているが、これライターが同じ仕事したら完全に干されそうです。このディレクターの人に登場してもらった意味があるのか。■著者の人はツイッターで批判に対して「あなたたちはあなたたちのタモリ論を論じればいい」と言っているけれど、そゆこと言ってんじゃない。私たちが私たちのタモリ論を論じる自由があるのと同じく、あなたのタモリ論がつまらん!!!と言う自由はある。結論として、頭が痛くなるほどつまらんかった。有吉佐和子のことを説明する下りで、「最近の人は有吉と言うと、毒舌の有吉の方を思い浮かべそうだから」と言っていたが、有吉佐和子知らない知的レベル、もしくは若い層には面白く受け止められるのかもしれない。
2013.08.04
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【送料無料】ネットのバカ [ 中川淳一郎 ]『ウェブはバカと暇人のもの』の中川さんの新刊。ネットで勝つのは結局、ほとんどが現実世界の強者であり、各カテゴリで一人しか有名人は排出されないよ、という。自分もネットニュースに末端ながら関わっているので、中盤当たりで「これ知っている内容だなあ」などと思っていたところでちょうど中川さんの信じられないような1日の仕事量が明らかにされていてびっくりした。。。どうすればそんなに集中できるんですか。ビールばっかり飲んでるのに!
2013.08.04
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入江悠監督。■主演?の二階堂ふみという女優さんがすごい。制服の着崩し方がかわいいし、発声がきれいだし、足もきれいだし、元気が良い。画面の中に収まりきらないよう。完全にその場を楽しんでいる。登場する高校生役の男の子を始め、みんな演技が良いのは監督の演出が良いのだろうけれど、彼女はすごいなー。タイプです。一緒に行った人は保育園児のママでポールダンサー役の森下くるみさんが良かったと言ってました。確かに良かった。■浅い解釈で恥ずかしいけれど最も戦っている二人(二階堂ふみと森下くるみ)がライブを見ていない(見られない)ところに、逆説的な“エール”を感じた。走っている人は、人の批評をしている暇がない(人の批評も気にしない)。かもね。
2011.05.05
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■評判通りの映画だった。多少盛り上がりに欠ける気もしたけれど……。■ジョージ6世の妻エリザベスを演じたヘレナ・ボナム=カーターが大竹しのぶに似ていると思いました。以上
2011.05.04
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【送料無料】拝金『拝金』堀江貴文/徳間書店収監が決まってしまったホリエモン。ニコ生でやっていた記者会見、ホリエモンのことだから飄々としているのかと思ったら、それなりにショックが大きいようで、やつれていて(少し老けたように見えた)気の毒になった。彼女とかいるのかな。かわいそう。少し『25時』を思い出した。これから収監される(刑期は7年!)男性が恋人や友人と最後の時間を過ごす映画。■さて『拝金』は少し前に読んだ。読む前はまったく期待していなかった。全然期待していなかった小説や映画が面白いことは結構ある。『拝金』もそれ。物語の構成は別として、文章はアラがあるだろう……と思っていたのだけれど、全然そんなことなかった。かえってプロの作家にたまにあるわざとらしい、時代の感覚とズレた文体(何を時代とズレているかと感じるかは人それぞれだけど、ここでは主に20~30代が考える“時代”)よりも良い。山場になっても感傷的になり過ぎない文体。■女性のことホリエモンという人はいろんな面をメディアに見せていて、いろんな人がいろんな風に評する。ホリエモンのことを語る人は多い。有名人から一般人まで、頭の良い人からそうでない人まで、みんなが語りたがる。そういう人なんだと思う。いろんなことを言われている人だけれど、私が『拝金』を読んで感じたことで、しかもあまり世の中では言われてはいないような気がすることといえば、ホリエモンは結構女性に優しい人なんじゃないかということだ。小説の中で、乙部さんと思わしき女性とか、抱いたグラドルに対してとか、ヒロイン的な女性に対してとか、優しい。その優しさはもちろん、女性は男性と対等であるというような目線ではなくて、圧倒的に強いオスがメスを庇護する優しさに見える。そういうのって優しさなのか? と言う人もいると思うが、いいんじゃないの。オスとメスというから話がややこしくなるのかもしれない。集団の中で強いものが弱いものを(外敵から)守るような、ある意味動物的な優しさを感じる。「寵愛」というのは誰にでもできることではなくて、それは「対等な恋愛関係」よりも難しいことなんではないだろうか。今の日本で。
2011.04.26
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【送料無料】街場のメディア論『街場のメディア論』内田樹/光文社新書私は辞書を引くことが好きなのだけれども、内田樹さんの本を読んでいて辞書を引くことは少ない。複雑で含蓄があり(こういうのを含蓄って言うんだろうと思わされる)、ありふれた、使い古された、お茶を濁すような内容の話は一切ないのだけれど、その内容を誰にでもわかるような優しい言葉で、分かりやすい構成で、手順を踏んで書いている。おしゃべり上手な人だ。■これは心に止めたい「ほんとうに『どうしても言っておきたいことがある』という人は、言葉を選ぶ」(P94)自分の言葉を本当に理解して欲しいと思っている人は言葉を選ぶ。逆に、そうでない人は言葉に責任を持たない。自分が言わなくても、誰か他の人が言うならば、説明を尽くす必要がない。私はライターなので、しばしばたとえば凶悪事件の記事のまとめに、「再発防止のために、隣人との絆を強めよう」と書く。たとえば景気動向の記事のまとめに、「先行きの見えない中、各々が不安を抱えている」と書く。たとえば震災関連記事のまとめに、「ひとりひとりが、できることからやっていきましょう」と書く。間違いではない。間違いではないけれど、どこか空虚だ。それはもうすでに何人もの人が言っている言葉で、私が改めて言う必要もないことだからだ。私が一読者ならば、脳が文章を読み取る前に、目が無視するだろう。「この一文に有用なことは書いていない」と思う。アニメの中で使い回される、背景の木の絵のようなものだ。しかしもちろん、たまには自分が「これを言いたい」と思う記事を書ける機会もあるわけで、その記事を書いたときの気持ちよさを知っているから、この仕事を続けているのだと思う。■読者は消費者ではない「読者は消費者ではない」と筆者は言う。消費者とは、できるだけ安く、労力をかけず良いものを求めようという人だが、本を読む人とはそうではない。「『読者は消費者である。それゆえ、できるだけ安く、できるだけ口当たりがよく、できるだけ知的負荷が少なく、刺激の多い娯楽を求めている』という読者を見下した設定そのものが今日の出版危機の本質的な原因ではないかと僕は思っています」(P130)私は中学生の頃から、論説文よりも小説の読解の方が得意だった。これは多くの人がそうだと思うけれど、新書を1冊読むのは同じ長さの小説を1冊読むのの2倍以上の時間がかかる。経済が苦手なので、日経新聞を読む方が読売新聞を読むより時間がかかる。同じ小説でも、現代の国内小説を読むのに比べて、外国の古典を読む方が時間がかかる。けれど、それでは新書や経済的テキストや外国の古典を読まないかと言ったらそなことはない。自分の好物ばかり食べていたらいけないと小さい頃から言われたじゃないか。好きな本、得意な本ばかり読んでいても、達成感は感じられない。自分のレベルより一段高い本を一冊読んだということは、逆上がりができるようになったときや、50メートル泳げるようになったのと同じくらい嬉しいことのはずだ。それが読書の楽しさなのではないか。「お子様ライス」はそれなりにおいしい。でも、それが「お子様ライス」だという自覚があれば、良識のある大人は注文しない。「お子様ライス」だけを供給するばかりではなく、「これは大人の方が食べる『お子様ライス』です」という嘘をつき続けてはいけない。
2011.04.02
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杉浦日向子の江戸塾 笑いと遊びの巻 (文庫) (文庫) / 杉浦 日向子 著『杉浦日向子の江戸塾 笑いと遊びの巻』杉浦日向子/PHP文庫「遊びって、自分の人生なり、命なりを、時間なりスリルなりと取り引きしてやるものですよ。そういう意味では現代人は遊んでないということでしょう」(P133)「プロセスの楽しみ方は、経験とか知識を積んできた年長者のほうが上手なわけです。だから年寄や大人がより多く遊ぶ権利を持っていたというのが江戸時代なんです。若僧のうちは、なかなか遊びの達人にまでは至らなくて、年長者の教えを乞うという形になっている。大人とか年寄が大きな顔ができる江戸時代というのは、それなりに成熟した文化の時代だなと思います」(P140)「江戸の頃の豊かさというのは、天才とか、才のある人が、企業や大組織に取り込まれないで、遊びの中で才能を開花できたところにある。それがすごくいいですね。実学のほうに行かず、ホントの学問になった。私はホントの学問というのは、有益なものじゃないって思っているんです。有益になるのが実学で、役に立たないのがホントの学問。その学問を江戸の有能な人はきっちりできた。それが豊かさの証明になるのではないかと思います」(P145)「江戸の戯作の面白いのは、そのまんまを書かずに読む人のイマジネーションを刺激することに一所懸命になること。どれだけのキーワードでどれだけのイマジネーションが広がるかが勝負であって、リアルに書くってことは幼稚なことであるという理解なんですね」(P147)「私たちは常に右肩上がりでないといけないという強迫観念にさいなまれている。でも本来は去年と同じ年収で暮らせる社会のほうが幸せなんです」(P203)よく大人が「今の時代にあの人が生きていたら、何と言っていただろう」というようなことを言うのを聞いていたが、私が初めて実感を持ってこう思うのは杉浦さんだ。杉浦さんが20代前半でデビューした頃、日本はバブル期だった。バブルが終わる前に「隠居宣言」をして、約10年後の2005年に亡くなった。想像だけれども、アキバ文化を知っていたら(知っていたかもしれないけれど)、杉浦さんは興味を持ったのではないだろうか。内輪的、ガラパゴス的に進化した文化は江戸の洒落本と似ている。AKB48についてはどう思っただろう。twitterとか、facebookについてはどう思っただろう?iPhoneは? 電子書籍は?「東京、なんだかもうつまらないな」と思って江戸に還ってしまったのなら悲しい。■ハイライト私は「影響を受けた人は?」と聞かれたら真っ先に杉浦日向子さんの名を挙げるであろうほど、杉浦さんのことが好きだが、その一方で、「嫌いな作家は?」と聞かれてすぐにその名を思いつくのは林真理子さんだ。それで今回、杉浦さんと林真理子さんの対談があったものだから、これはもうなんて言うか。必見の取り組み。好物を食べるように、ゆっくり読んだ。好きなものと同じように、嫌いなものも気になるのって何でなのでしょう。とはいえ、あんまりこの対談では林真理子さんの嫌みな感じが鼻につきませんでした。冒頭の「まず、江戸時代の結婚のお話しから伺おうかしら」ってとこには思わず、「なんで上からやねん!」と突っ込みましたが、全体的に江戸時代について義務教育の教科書レベルの知識しかない(それでいいと思うけど)林さんが杉浦さんの話を聞いてピュアに驚きっぱなし。本当に単なる生徒役だ。カルチャー講座聞きに来たおばちゃんのようで取り立てて腹が立つこともなかった。あえて言うならば、「これで他の対談相手(田中優子・石川英輔・高橋克彦など)と同じ原稿料もらってんのか!」。
2011.03.31
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見知らぬ場所ジュンパ・ラヒリ/著。急いで読み飛ばしたくない作家・ラヒリ。短編がいくつかと中編が一つ。以前も書いたが、この人のすごいところは、人物の人生を長期間に渡って記録するにも関わらずページを必要としない点で、さらにそれにも関わらず、とても細やかに人物像を描くところだ。まるでドキュメンタリーみたい。扱うテーマ・設定が似ている場合が多いけれど、そうであっても否定する気にはなれない。面白いから。ただし切ないから困る。■こんな作品が日本にあったらそして私が書店員だったら、間違いなく『本屋大賞』で一票入れる。(本屋大賞にそこまで思い入れがあるわけではないけれど、『告白』が大賞を取ったときは心底がっかりした。書店員の人はあれを本当に中学生くらいの子ども含めて多くの人に読んでほしいの? 「文章を読み慣れていない人にも読みやすいから売りやすい本を選ぶ賞」なら納得する)
2010.07.25
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葬儀の日松浦理英子・著。福田和也さんが、(読んだ人は誰でも圧倒的な才能の前に自分の才能の無さに気付くだろう。読んで何も感じられないならば凡人以下)みたいなことを書いていたので(うろ覚えなので表現はだいぶ違うと思う)読んでみた。表題作については、……う~ん? イマイチ?時代が違うせいだろうか。濃密な世界の中に入っていく入り口を見つけられなかった。福田さんも松浦さんも仏文学出身で、確かにどこかフランス文学っぽい。そちらの人にはぴったりしっくりばっちりくるのかもしれない。私江戸だからよう……。私が10代のときに読めば? もっと飢えているときに読めば? 感想は違ったかもしれない。「渇く夏」の方が好きだった。
2010.07.24
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【ポイント6倍対象商品】Kitano par Kitano北野武/著、 ミシェル・テマン/著、 松本百合子/翻訳フランス人記者による北野武のインタビュー本を翻訳したもの。■驚いたのは北野武といえば評価はいろいろあれど、現在世界で最も認められている映画監督の一人だと思うのだけれど、本人はそれを認めつつも、まだ自分への評価の国内からの厳しさに悔しさを滲ませ、繰り返し自分は理解されていない、認められていない、言いたいことが伝わらないと口にするところ。こんなに大物でも、まだ「誰かに侮られている」という悔しさは払しょくできないのだろうか。目立つポジションにいる人ならば仕方のないことなのだろうか。最近の私といえば仕事で悔しい思いをすることが多く、そのほとんどが、「私の会社(※小さな会社を運営している)がもっと大きければ、こんな態度を取られることはないんだろうな」ということ。日々、イライラジリジリ鬱々している。それだけに、「自分が(日本の映画批評家などから)認められていない」と繰り返す大監督の言葉が印象に残った。■前半では自らの生い立ちを後半では日本の社会について語っている。現在の世の中で多くの人は、士農工商制度があったり将軍が統治していた時代よりも自由であり、庶民の人権が守られていると感じていると思う。でももしかしたら、現在の日本も案外、庶民の置かれている現状は過酷なのかもしれない。一小市民の声が政府に届くことなんて、万に一つもないのかもしれない。北野武がこの本の中で語っていることが半分でも当たっているとしたら、教育の仕方を少し考えなければいけないんじゃないだろうか。選挙で一票持っていれば本当に生活は守られるのか。
2010.07.23
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Hon・nin列伝セキララなオンナたち吉田豪/著。プロインタビュアー・プロ書評家、吉田豪さんのインタビュー集。インタビューされているのは荻野目慶子・中川翔子・土屋アンナ・麻生久美子・広田レオナ。荻野目慶子さんがすごい。世代が上の人なのでよく知らなかったが圧倒された。す、すごいー。
2010.07.22
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【中古】芸能・タレント ≪芸能・タレント≫ 元アイドル!【PC家電_171P10】【10P26jul10】吉田豪/著。細川ふみえさんの回が好き。「鉄骨飲料」で踊っていたイメージくらいしかなかったけれども、すっかりこの方が好きになった。
2010.07.21
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岩崎夏海(ダイヤモンド社) 【もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら】岩崎夏海/著。■読みやすいに、尽きる。私みたいな経済オンチでも勉強した気になれる。『マネジメント』みたいな経済書を、「どうやって読めばいいのか」≒「自分の場合に置き換えて読むためにはどうすれば良いのか」がよくわかる。ありがとうございました。100万部突破おめでとうございます。■でも……(ネタばれ)女子高生を殺さないでほしかった……。
2010.07.20
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にじんだ星をかぞえて上原隆/著■ひとこと感想涙とまらん。
2010.07.19
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悪の読書術福田和也/著■この本でまず著者が訴えているのは人はなぜ、服装が自分の印象を左右することについて敏感なのに、どんな本を読んでいるかが自分の印象を左右することについては鈍感なのか。レディコミとかコバルト文庫ならさすがに隠すかもしれないが、「世界の中心でなんちゃら」とか「なんちゃらクイールのなんちゃら」、それは「よそゆき」の本なのかと。それはビーサンで結婚式行くようなもんちゃうんかと。本だって、服装と同じようにか、もしくはそれ以上に「自分を装う」もの。「世界の中心で……」で感動するのはいいが、誰に対しても「私は世界の…が一番好きな本です」というのは、あまりに無垢すぎやしないかと。■あんまり関係なけれど芸能人に好きな本を聞くのって、ほとんど無意味だと思う。■確かに「好きな作家は何ですか?」と聞かれたときにすぐ答えられる人は、よっぽど無垢な人だなあと思う。■江國香織私は江國香織という人の小説が全くダメで受け付けなくて、大学時代に「江國が好き」と言っている友人たちを見て(男の子も女の子もいた)、「なんでこんな優秀な人たちが江國香織を好きなんだろう」と思っていた。わかりやすくて歯ごたえがなくて、ただ一般受けしそうなオシャレな小説だなあというイメージしかなかった。それが本書で江國香織の絶賛を読んで、「……じゃあもう一度読んでみようか」という気になった。新刊で買う気はしないけれど。■須賀敦子私の大好きな須賀敦子さんは「コンサバなワンピース」だそうだ。へぇ~。■物足りない点は挙げられている作家と書籍タイトルがそんなに多くないこと。作家は10人くらい、タイトルは約30冊。もっといろいろ本をおススメしてくれてもいいんじゃないか。『成熟への名作案内』読めってことか。
2010.05.05
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数独はなぜ世界でヒットしたか知人からいただいて。流行りの「なぜ~~か」タイトルだけれど、ビジネス本ではなく自伝。たぶん。楽しそうに仕事をしている人っていいなあと思わされる。外国語をほとんど喋れないけれど、世界各国をまわって現地の人と通訳なしで飲みに行く、話したいことがあればだいたいお互いのことはわかる、という話がすごい。日本のビジネスマンは移動中に寝てばかり、という話も覚えておこうと思った(自戒をこめて)。■メモしておこうと思った一文たとえば儲けや人間関係などのもろもろで、現在あんまりよくない状態が続いて気持ちがマイナス5まで落ち込んでいるとする。しかしマイナス5を知っていればプラス5の状態も予想がつく。ならば自分がゼロの地点にいると仮定して俯瞰すれば、どうすればいいかが見えてくるはずだ。
2010.05.05
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掏摸中村文則/著■一行あらすじスリを生業とする男の人の話■描写がいかにも芥川賞作家、という感じ。ところどころ暗くてねちねちとしていて、ちょっと自分よがり。悪い意味じゃなくて。■展開は芥川賞作家にどうやってエンタメ作品を書かせようか、編集者が頭を悩ませた感じ。悪い意味じゃなくて。面白かった。
2010.05.03
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2010年『日本の論点』(文芸春秋)より。「働くことの意味なんて、上機嫌に働いている人だけしか分からないもの」(内田樹)■これは読んで良かったニートの増加が社会問題となり、「働くことの意味がわからない」という悩みを抱える若者が少なくないと言われる日本。筆者は「人間だけが労働する」という視点から、「『労働』とは生物学的に必要である以上のものを環境から取り出す活動のことである、そういう余計なことをするのは人間だけである」と述べる。以下は筆者が述べていることをかいつまんだもの。ではなぜ人間は余計なことをするのか。筆者によれば、それは「贈与するため」だという。働くことの本質は「贈与すること」だという。それは、価値を認める他者がいて初めてそれが「労働」となることに起因する。たとえば、単にブログに文章を書いているだけでは「労働」にならないが、それを待ち望む読者が増え、その期待に答えようとブログを書くようになればそれは「労働」である。労働することによって人は収入や社会的地位を得る。しかし、労働によって得るものはそれだけではなく、他者と関わる際のコミュニケーションスキルであったり、新しい視野であったり、第三者からの「ありがとう」という言葉であったりする。そしてそれは、「あなたには存在する意味がある」という承認である。労働で何を得ることができるのかは、労働してみないと分からないが、労働によって他者からの承認が得られることを知っているのは、働いている人、それも「上機嫌に働いている人」だけだ。■筆者の目線が暖かい。「若い人たちがうまく働けないでいるのは、『働くとはどういうことか』についての定義があらかじめ開示されることを求めているから」としながらも、若い人に向ける目線は暖かい。決して見放してはいない。それは挙げられている2つの例(深夜のファミレスで働くアルバイトに出会ったときのエピソードなど)からもわかる。恐らく、現在も多くの若い人と友好的に接しているからこそ、こんなに人を納得させられる文章を書けるのだろう。「いまどきの若いやつは……」としか言えない年寄りにはなりたくない。自分の眺める景色が悪く見えるのは、自分のせいだろう。いつまでも心を柔らかく、視野を広く、多くの人の意見を聞きたいと思わせられた文章だった。
2010.04.25
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花衣ぬぐやまつわる…(上)田辺聖子/著戦前戦後を生き、虚子の「ホトトギス」同人だった俳人・杉田久女を取材したもの。タイトルにも使われている「花衣ぬぐやまつわる紐いろいろ」は、久女が俳句を学び始めて3年目で作った俳句なのだと知って驚愕。谺して山ほとぎすほしいまゝ 紫陽花に秋冷いたる信濃かな久女の墓を訪れたときの様子を的確に描写しながら、その人生の物悲しさを感じさせる導入部分が特に素晴らしい。ノンフィクションならではの事実のインパクトと、小説ならではの期待と余韻を味わえる一冊。
2010.04.25
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ヤフートピックスを狙え『ヤフートピックスの作り方』(奥村倫弘/光文社新書)は、ヤフトピを作り出すヤフトピ編集部編集長が書いた本で、『ヤフートピックスを狙え』(菅野夕霧/新潮社)は、ヤフトピを狙うニュースサイトの編集長が書いた本。■作り方ネットニュースの制作に関わっている人なら、きっと実際にヤフトピを狙ったことがあるか、ヤフーに配信されていないネットニュースの人でも、ヤフトピの動向には注目しているに違いないと思う。私もネットニュースの制作に関わるはしくれなので、ヤフトピの威力は常々感じている。「ヤフー社内でもヤフトピ班は隔離されていて、誰がヤフトピを選んでいるかはほんの一部の人しか知らない」という都市伝説を信じていた1人です。本書を読んでみたら、どうやら違うようだ。本書内にも名前が出てくる、あるニュースサイトの編集長さんに「ヤフトピはどういう基準で選ばれているのか(最近、ちょっと選ぶ傾向が変わってきたみたいだけれど)」という話をしたときに、あっさりと「PVの取れるものだよ」と返答されたのだけれど、それもどうやら違うようだ。ですます体の丁寧な語りの中で、「コソボは独立しなかった」の下りは考えさせられるものがある。「コソボ独立」という「歴史の節目の一つ」ともなるニュースは、PV数では圧倒的に低く、「R-1ぐらんぷり なだぎ2連覇」という記事の何十分の一だった。「コソボ独立は日本人にとって興味を持たれていない」=「コソボは独立しなかった」。同じように「アフガニスタンでは大統領選挙が行われませんでしたし、イエメンでは内戦が起きていません」という。私も「コソボ独立」と「なだぎ2連覇」だったらなだぎの方をクリックしてしまう1人なので、この著者の歯がゆさに赤面する思い。興味を持とうと思って興味を持つのは難しい。著者もそれがわかっているから、読者を責めるつもりはなく、ただ本当に歯がゆいのだろうと思う。こんなことからも、ヤフトピがPV稼ぎを考慮してトピックスを選んでいないのは明らか。ライブドアニュースの正反対。少し感動した。P80「本文のバリューが見出しを決定します。その逆ではありません。バリューが低かったり、フォーカスがぼけた記事を読んだりしたとき、編集者は『これでは見出しが経たない』という言い方をします。『見出しが立つ』とは、その逆のことにほかなりません。見出しが立ちやすい記事というのは、バリューが高く、フォーカスが絞られたものなのです」このシンプルな内容を実際に後輩に教えることの難しさといったら。■狙え二章までは「作り方」の著者にインタビューした箇所が多く、そのため、「作り方」の内容とかぶっている。三章からが、どうしたらヤフトピに掲載されるニュース(正確にはハッピーニュース)を作ることができるかの分析。「作り方」の最後の方で、著者は「どうしたらヤフトピに掲載されるのかとよく聞かれるが、そんな方法はない」ということを言っている。「狙え」は「こうしたらヤフトピに掲載されやすくなるよ」を説明しているのだけれども、結局最後では「元となる商品力が不可欠。付け焼刃の広報戦略はうまくいかない」という内容になり、「報道はコントロールできない」と結ぶ。PR会社や企業向けの体で書いているけれど、実際に書きたかったのは、ヤフトピにあがるニュースの主役である取材対象者たちの努力やひたむきさなのかもしれない(あと、ヤフトピにあがるニュースを作る側の努力)。■2冊を読んでニュースサイトに携わっているから面白く読んだが、一般の人がどれだけオモシロい内容なのかはわからない。ヤフーニュースはヤフー、mixiニュースはmixiが作ってると思っている人って未だにいるし。
2010.04.21
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なぜ小堺一機は徹子の部屋に招かれないのか?2007年か2008年ころの書籍。版元はTVBrosのニュース通信社。タイトルは当時流行っていた新書タイトルのパロなのだが、私は何を思ったのかうっかり、「なぜ小堺さんは徹子の部屋に招かれないのかって、そりゃ裏番組に出てるからだろうけれど、それだと当たり前すぎるから何かほかの理由が書かれているんだろう。下世話な裏話とかがイヤというほど書かれているんだろう」という無邪気な気持ちで本書を取り寄せてしまった。テレビブロスに、過去の本の広告が入ってたんだもの(ブロスも厳しいのだろうか、自社広)。読んでみたら、テレビ番組に関するクイズ本。そういえば「テレビ検定」って書いたあったわ。■しかし、読み進めるうちになかなかいい本で、どこがいいかというと、解説を書いている放送作家さんのテレビ番組に関する思い入れがとにかく熱い。「こういうところにまでこだわっている制作者に敬意を表したい」「~~で○○しているのは……という理由」などなど、手元に本がないので全く例があげられなくて申し訳ないのだけれど(ということは覚えていないということなのだけれど)、制作側だからこそわかる苦労やこだわりが分かってくる。知り合いに構成作家さんがいるけれど、かなり変わった人だ。人間的に本筋から1本も2本も外れているけれど、テレビ番組に関する愛というか執着心はものすごい。見ていて清々しいほどで、彼を通じてテレビ番組って面白いんだなあと思ったのだけれど、この本からもその「すがすがしい執着ぶり」を感じる。■だがしかし、取り上げられている番組にはもちろん素晴らしいものもあるけれど、中には「やらせ」とか倫理的にどうとかで、もろもろバッシングを浴びたものもある。そういったことにほとんど触れないのは、やや物足りない。制作側にしてみれば、熱い志と努力で作り上げたまぎれもない事実があるんだからいいじゃないか、ということかもしれないが、それってやっぱり身びいきだ。一般人はその苦労は知らないから出来上がったものがすべて。内側からの視点で見る番組の素晴らしさはよくわかったけれど、一般視聴者の客観的視線の中の鋭い指摘についても、なんらかの返答的な解説がほしかった。ように思う。
2010.03.28
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杉浦日向子と笑いの様式ユリイカの特集の数倍、杉浦日向子さんのことがわかった一冊。地方に行ったときに、地元の人に話しかけられて露骨にイヤな顔をする一面とか。そんなことでも知れてうれしい。これは恋です。自分でも気持ち悪い。今度、印象に残った文章を抜き出しておこう。
2010.03.23
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高峰秀子の捨てられない荷物少し前に読んだので簡単に書く。高峰秀子さんが大女優で現在は文筆家だということは知っていたけれど、その生い立ちの不遇さは知らなかったので、もろもろのエピソードがとても興味深かった。自伝の『わたしの渡世日記』も読んでみたい。筆者は、高峰秀子さんを「かあちゃん」と呼ぶほど親しい女性編集者。とても優秀な人で文章もうまいのだけれど、どこか真面目すぎて、高峰夫妻を尊敬しすぎている(どうしても遠慮がある)のがやや残念に感じる。でも面白い。昭和の大女優ってすごいな。「渡世」って言葉は、昭和の女優だからこそ似合うのでは。
2010.03.19
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純情ババァになりました。加賀まりこさんの自伝。こんな美女に生まれたらどうしたって普通の人生は送れないだろう。幸運も悲劇も同じくらいの強さで引き寄せる気がする。だから、彼女があの歳で現役で女優を続けて、こうして本も出していることは、いくつかの転機をうまく乗り越えてきた上での幸運のように思える。恐らく多くの人がイメージするより努力家な人だからなのかもしれない。なんて私ごときが偉そうに何を。60歳になっても恋愛することを望まない人の方が多いのかもしれないけれど、それだけに戦い抜く人生だなあという気がする。
2010.03.16
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【中古】文庫 無名仮名人名簿【10P26mar10】【PC家電_136P10】向田邦子・著向田邦子さんの素晴らしさはいったん置いておいて、昔の文章を読むと、今の文章との勝手の違いに驚くことがある。早足で書くのでだいぶはしょるけど、昔の文章の方が自由で奔放だ。よく読むと文意が通じない箇所があっても、エッセイの前半と後半で全然まとまらない文章になっていても、「そういうものなの」という感じで当たり前の顔をしておさまっている。これは、昔よりも文章を書く人読む人が減って、それだけ「形式にとらわれずに感覚的に遊ぶ」ことを楽しめる人が少なくなったからではないか。文章に慣れない人が多くなって、逆に形式にうるさくなった。少し文法が間違っていると、ダメ。誰にでもわかる文章じゃないと、ダメ。雰囲気じゃダメ。ネットなんて文章を書く上で最も窮屈な場所だ。なんでわざわざバカにもわかるように文章を書かねばならないのか。ネット上で「文才がある」という言葉を見るたびに唾を吐きたくなる。ぺぺぺぺぺぺぺ。
2010.03.14
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船に乗れ!(2)藤谷治・著。本年度の本屋対象候補作。冒頭部分の語りだけで、多くの人の心をつかむ作品。その後の展開も充分面白いけれど。したり顔のおじさんが「若いうちに一度は挫折を体験するべきだ」とか簡単に言えなくなるんじゃないか、という一冊。
2010.03.10
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【新品】[本] 学問 / 山田詠美山田詠美/著■山田詠美さんは本当に天才なのだなあと感じた一冊。読後の余韻が、ここ数年で読んだ本の中で一番だった。ところどころ腑に落ちない点はあるのだけれど(私の理解が浅いために)、それでも物語の世界観にうっとりする。悲しくて、残酷でさえあるのだけれどうっとりする。■一行あらすじあらすじは知らないで読み始めた方が面白いと思う。■ところどころにある仕掛けが面白い。たぶん全部見つけられていないので見つけたい。以下、反転で見つけられた仕掛け。※仁美が最期に一緒に暮らしていたのは心太の息子。※おひな様にいたずらした素子の最期は…。
2009.11.09
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窓ぎわのトットちゃん黒柳徹子/著小学校か中学校の時に一度読んだのかもしれないが、今回読んだらまったく覚えていなかった。もちろんタイトルはよく知っていたので、いつかもう一度(?)読んでみたいと思っていたところ、職場(下北沢)近くの古本屋で見つけたので購入。■一行あらすじおしゃべり好き過ぎて入ったばかりの小学校を退学になってしまったトットちゃんが自由が丘のトモエ学園に転入して……!? 笑いあり涙あり恋いありの、はちゃめちゃ青春ストーリー!■と書くとおちょくっているみたいだが、これは黒柳徹子さんの青春物語だ。「青春」とは、通常、中学生以上のティーンに使われる言葉。だが、たくさんの知識を得て、未知のものを知って、悩んだり笑ったり、特に他者との関わりの上で自分をさらによく知る過程を描いているという意味で、これは単なる小学校低学年の子どものお話ではない。■教育とはとても難しい問題だと思う。私の場合、大学を卒業して大学院で悶々とした日々を過ごしている時期に、初めてじっくり自分の成長過程について考えた(暇だったこともあって考えてしまった)。そして、子ども時代に受けた教育が、思った以上にその後の自分の性格、考え方、起こったことに影響を及ぼしているのに気付いてびっくりした。例えば、小学校低学年の頃に通っていたスイミングスクールでコーチの女の人から言われたきつい皮肉を今でも忘れることができない。思い返してみると、私は生意気なところがあったのかもしれないと思うし、もう半分では、だからって7、8歳の子どもに向かってあんなこと言わなくてもいいだろうとも思う。生意気だったなと自分を反省する背景には、ほかの大人に怒られてしょんぼりした過去とか、でしゃばりすぎて友達に疎まれた過去がある。あんなこと言わなくても良かったのじゃないかなと思う背景には、理不尽に人に傷つけられて腹が立った思い出がある。一つの過去に対してでも、それに関する思いは非常に複雑で、なおかつ自分のそれまでやそれ以降の経験によって、考えることは異なってくる。同じことを経験するにしても、それまでその人物が何を経験し学んできたかによって得られるものはまったく違う。もちろん後から挽回して、起こった事象をより深く理解していくことも可能だと思うけれど、これから経験していく出来事をより好意的に捉えていくならそれなりの過去が必要だ。土台のない場所に草木は芽生えない。■というわけで幼い頃の教育って、本当に重要だ。「一番楽しかったのは小学校のころ。これって変かなあ」と話す友人に、私は密かに羨望を覚えたことがある。幼い頃に受けた教育を最高のものだったと思えるトットちゃんは本当に幸せな人だ。■それにしても本書はベストセラーとなったという話だから、当時の人に対しても訴えるものが大きかったのだろう。それではその後、日本の教育は大きく変わったのか。多くの人が良く変えたいと思っても、なかなか変わりにくいものはある。その最たるものが教育だと感じる。すごく難しい。
2009.11.09
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下北沢藤谷治/著■とにかく下北沢がたくさん出てくる本です文中に出てくるお店はほぼ実在するお店。下北沢に詳しい方なら、出てくるお店をいくつ知っているかをチェックしてみても面白いのでは。■1行あらすじ下北沢でレンタルボックス店を営む「ぼく」の、とある1日。with桃子さん。■冒頭で「下北沢っぽさ」を笑う男の語りが出てくるのだけど、これには下北を好きな人もちょっと近寄りがたく感じている人も「あんまり好きじゃなーい」と思っている人も共感できるんじゃないかと思う。なんだけど、これについての小説としての反論というか答えが結局ラストまで出てこないまま終わってしまって、これはちょっとなんだかさみしい。著者が下北を愛するあまり、思わず「それでも下北は良い」という説明を書き忘れてしまったかのように思えることが残念。■でも良いですよ。清清しい本です。渋谷や新宿のように大きな街ではないけれど、賑わいのある街、下北。自分から中に入ろうと少し努力するだけで、すぐに溶け込むことの出来る街だと思います。
2008.06.01
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明日もまた生きていこう横山友美佳/著■仕事の関係で読みました■元日本代表選手の手記18歳でがんを発病、今年4月に21歳で逝去した元バレーボール日本代表の女性の手記。17歳の時に最年少で全日本シニアに召集されたのだとか。身長187センチ(189センチとも)。読んだ人の多くが、「どうして彼女が?」と思わずにいられないだろう。■出版元はマガジンハウス最近では「余命1カ月の花嫁」も出してました。なんていうか、こういうの、「絶対泣くノンフィクション」シリーズ。■ものすごくストイックな人手記の中で、高校在学時の練習を振り返り、「あの頃は無理をしすぎた。今でも、あんなに無理をしなければがんにならなかったのではと思わずにいられない」という記述がある。それまでに、日本の、そして世界のトップを目指すアスリートとしての練習の様子が描かれているだけに、この記述は胸に迫る。若い人の発症するがんは、多くの場合、ストレスが原因だという。もちろん著者はバレーボールが大好きだっただろうが、それは多くの我慢と引き換えの楽しさだっただろう。自分に対する厳しさが、がんという形で帰ってきてしまったなら悲しすぎる。救いがあるとすれば、彼女の21年間の人生が、誰から見てもとても濃いものだということ。私が世の中で一番憧れるのは、自分をコントロールすることに長けた、ストイックな人たちだ。■なんともはや私が高校生の時なんて……と比べることすら恥ずかしくなるような真っ直ぐさ。
2008.05.28
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小林少女公式HP■学生時代、実はラクロスをやってました。結構頑張ってました。その頃のコーチが、柴崎コウにラクロスの競技指導をしたっていうので見てきました。コーチを知っている人ならみんな気付くくらいに本編中にも登場していたので、そこのところは結構楽しめました。けど、なんか評判が散々ですね。<参考>小林少女はこんなにすごい!確かにすごい映画でした。特にオチがびっくらしますよ。ある意味必見。柴崎コウのことを別に好きではないけれど、かわいそうになりました。少し。映画の変なところはほぼ上の参考リンクで取り上げられているので改めて書きませんが、ひとつあまり突っ込まれていないことを書くと、江口洋介(小林拳の使い手で、マイナースポーツであるラクロスの知識があるとは思えない人)がいきなりラクロスのコーチになることが変だろう。絶対変だろう。あと、公式HPのブログに寄せられているコメント、やらせですよね?こういうみえみえのことは逆効果だと思うんだけどな。
2008.05.24
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イッツ・オンリー・トーク絲山秋子/著■確か芥川賞を取って数年後にすぐ直木賞候補になってなかっただろうか、この人。デビューしてからすぐにトントン拍子で売れたイメージがあります。読んでみたいなーとは常々思っていました。今回、古本屋で200円で買いました。■表題作のあらすじは元エリートOL、現ニートに近い絵描きの女性の鬱々とした日々。ニートの従兄弟やら区議会議員候補でEDの大学の同級生や、893やらが出てくる。■著者の年齢と名前からもっと落ち着いた作品を書くイメージがあったので、ちょっと意外だった。どちらかというとガッカリ寄りの意外さ。女性作家には最近こんなことをこういう書き方いる人たくさんいるんじゃなかったけ?というガッカリ感。■だがしかしもうひとつの短編「第七障害」は良かった。完全に私の好みかどうかの問題ですが。「大会中の事故で騎乗していた馬を死なせてしまった女性の再生までの物語」とあらすじを書くと、ちょっとした映画にでもなりそう。■この印象の違いはただ単に題材の違いでしょう。きっと。乗馬の世界を私はよく知らないので新鮮だった。主人公の女性の馬に対する真摯さに感動するとともに、自分や周囲を嫌う鬱々とした感情に共感。■もう一冊読んでみようと思いました。古本屋にあったら。
2008.05.23
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二都藤谷治/著■あらすじ一人の男が、現在の居住地である東京と、実家のある鎌倉を理由あって行き来する。東京、鎌倉で、それぞれ待つ女がいる。東京での描写は現代仮名遣い、鎌倉の描写は旧仮名遣いで書かれた小説。■感想鎌倉で待つ女の方の終盤の描写で、男が「帰る」「仕事で帰るわけではない」と言った後に、すっと冷めた表情になって毎週見ているドラマを見るためにテレビをつけに行くという箇所がある。女性って怖いんですね、と思った。下北沢の書店店主・藤谷治さんが11冊目の小説-鎌倉と東京舞台に(下北沢経済新聞)
2008.05.12
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ねこのひげ公式HP先月くらいに渋谷でやっていた。今はもう上映が終わっています。■かんたんあらすじ世田谷・東松原で同棲する男女。出版社に務める女は前の夫と別れているが、男はまだ妻子もち。同級生や近所の友人や会社の同僚、同居する猫、そしてお互いの母。それぞれとの交流によって、少しずつ前進するふたりの関係。■猫がかわいい。■葛藤主人公2人は、とても普通で善良な人たちなんだけれど、出会ったばっかりに不倫してしまって、お互いの家族を傷つける。もー、こういう悩みは絶対に持ちたくないものだ。絶対。私は大切な友達に「すごく好きな人がいるんだけど、不倫なの」と打ち明けられた時、「誰かを傷つける恋愛は幸せになれないよ」と言うだろうか、「好きならば頑張れ」と言うだろうか。なぜだか私はこういうとき、奪われる方の女性の気持ちに感情移入しやすい。イヤだなあ。夜更けのチョコを食べながら、もぐもぐ。
2008.05.11
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死刑台のエレベーター[完全版] / マイルス・デイヴィス■二行あらすじ男:人生で一番大事な日に、エレベーターに閉じ込められちゃった。困ったな。女:あの人ったらどうして来ないのかしら、この大事な日に。アンニュイだわ……■ねたばれするかんたんなかんそうぴくりとも笑わない主人公の女性が、最後に映し出される写真の中でだけ幸せそうに笑っているのが印象的。笑っている表情がすごくきれいで切ない。
2008.05.10
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2月ごろ見た映画。今はもうたぶんやってません。以下、mixiに書いた感想をコピペ。なぜコピペするかといえば、日記記入率を少しでも上げたいから。=========================================================================半分仕事、半分プライベートで渋谷UPLINKでやっている『東京ソーダ水』というドキュメンタリー映画を見てきた。 『東京ソーダ水』 http://tokyo-soda.com/ UPLINK http://www.uplink.co.jp/top.php UPLINKは座席が50席程度、それもソファとか普通の椅子が並べてある本当にミニシアターなんだけれども、上映が始まってみてびっくり。 木曜19時からの回、観客が私ひとりだった。 さみしい気もしましたが、カップルが1組と自分だけ、みたいなシチュエーションよりずっとましだと思って気楽に楽しむことに。 上映が終わってまたびっくり。場内が明るくならないし、後ろのドアも開かない。手探りでドアを開けて「すみませーん」と言ったら奥のほうから店員の男性が「すみません、すみません」と言いながら出てきた。 少し楽しかった。 というのはいいとして、『東京ソーダ水』。 想像していたより面白かった。 冒頭の野暮ったい東京の風景と10年前のNHKみたいなナレーションには困惑したが、それからはまずまず。 東京で暮らす8人の女性の生活をただ切り取って並べるだけの映像がずっと続く。 ひとりは26才でタレント兼芸能事務所の社長だったり、ひとりは美人で繊細な看護士さんだったり、ひとりはポールダンサーだったり、ひとりは下北沢再開発の反対運動に参加する元大企業のキャリアウーマン現無職だったり。 カメラは彼女たちの生き方や考え方を肯定するでも否定するでもなくただ映し続ける。完全なる傍観。 東京という「空洞の都市」で、彼女達が一生懸命に行動すれば行動するほど、必死に「自分らしさ」を追い求めれば追い求めるほど、明るさを求めて笑うほど、その情熱は行き場を無くして虚空に舞うだけ。 時代に流されやすいのはいつも女性だ。それは責任を与えられていないからなのだと思う。 見終わって、この監督は本当に残酷な人だなと思った。 カメラを廻しながら彼女たちと会話を交わしているけれど、彼女たちの人格は、本当は必要としていない。 都市の中にある「記号」として、彼女たちの表面を映しとっている。 これは完全なドキュメンタリー映画で脚本なんてないのだけれど、それでも、彼女たちの生き方はまるで誰かが頭の中で思い描いただけのように見えてしまう。 東京の女の人たち。 「自分らしく」生きるのではなくて「誰かと同じように」生きる方が、よっぽど自然なのに。
2008.05.09
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てのひらの迷路石田衣良/著■短編集自伝的な短編集が多く、それぞれの編の前に筆者のその編に対しての思いが載っている。どうしてこの短編を書こうと思ったのかとか、この短編を書くときは締め切りが迫っていたどうだとか。■なんというか小説を書きたいと思っている人は読んだらいいと思う。どれだけ売れっ子小説家になると、好き勝手なことを書けて楽しいかとか、お金の自由があって楽しいかとか、自分の作品を自画自賛する場が与えられているって楽しいかとかがわかると思う。■あのドラマ化された長編の方が面白いらしいので読みたい気はするが、人から借りる機会がなければ読まないと思う。
2008.05.08
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アッコちゃんの時代林真理子/著■林真理子さんあまり好きではない。というのはやんわりとした言い方で、本当はとても好きじゃない。例えば数年前、まだホリエモンがイケイケだったころ「彼はもっともっとすごくなるだろう」ということを書いていて、それは別にいいのだけど、その「もっともっとすごくなるだろう」ということを言うために、当時のホリエモンのモデルの彼女(名前を忘れたけれど吉川ひなのではない)を持ち出して「今はあのクラスのモデルと付き合っているけど、そのうち一流の女優さんと付き合うようになるだろう」とか、そんな内容のことを書いていて、単純にそのモデルの彼女を見下した感じとか、そういうことを言っても私なら許されるだろうと思っているだろうところとか、モデル(職業)のランクがそのまま人格のランクにでもなるかのようなくだらない物言いのすべてが嫌いだ。■嫌いだけれどもこの作品は発売された当時から興味があった。バブルが弾けたころ私は中学生だったと思う。だからバブル時代を全然知らない。うちの両親は公務員だから、全然バブルの恩恵なんてなかった。バブルの頃は「公務員なんてダサい」というイメージがメディア全体にあったと思う。少なくとも私は「うちの両親は儲からない職業なんだな」とばかり思っていた。そんなわけで、バブルという時代にとても興味があった。広末涼子の「バブルへGO!」も見に行ったし。■それで読んだよどう好意的に読んでも、出来の良い作品じゃないと思う。林真理子は嫌いだけれど、面白かったら面白いと言います。この作品は面白い面白くないの前に、手抜きばかりが目立つ印象。せっかく、「バブル期の魔性の女」という面白いテーマを扱っているのに、なまじその女性が実在して現在も生きていて筆者が取材できてしまったせいか、中途半端な人物像になってしまっている。好き勝手に人物像を描くことができないのはわかるが、作品中には何度も「これは小説。実在の人物を基にしたフィクション」と書いているのだから、もっと明確な味付けをしないといけないのでは。何を遠慮しているのか。会ったことのないモデルの悪口はかけても、実際に会ったら及び腰ですか。小心者め。それから、端々の矛盾と同じ描写の繰り返しが目立つ。もちろん、作品の技巧としてあえて矛盾する主人公の言動を書いたり、同じような感情描写を繰り返し書くことがあることくらいは私も知っている。だけども、この作品の中でそれは「技巧」であるというよりも「雑」さゆえに思われてならない。忙しかったんでしょうか。美味しいものを食べ歩くのに。■作品の中で何度か「アッコちゃん」が、取材に来た女性小説家(林)を見て、「この小説家は一緒にご飯を食べながらメモも取らない。話も聞いているのか聞いていないのか、ただ美味しそうに寿司をつまんでいる」というような記述がある。自分くらいになるとメモ取らなくても書けますよって言いたいのかもしれないが、書けてませんよ。■作品の最後で手元に本がない上に読んだのが半年前なので不確かだが、確か、「どうせ私(アッコちゃん)の気持ちは、美しくない女(林)にはわからない。美しくない女(林)に書ききれるはずもない」というような記述があるが、確かにそうだったんでしょうね。というか、言い訳するな。■残念なことにアッコちゃんがあまり魅力的に感じられない。残念です。
2008.05.07
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エロ街道をゆく松沢呉一/著。■ひと言感想■人の数だけエロがある。世界の広さを感じました。私なんて全然エロくないんだな、と思った。しょんぼり。
2007.11.19
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キオミ内田春菊/著。■この方の小説を■読んだのは初めてかも知れない。以前にあるとしても8年くらいは前だと思う。こんなに面白いと思わなかったし、面白がれるとは思わなかった。ビックリ。■それで■男の人の小心っぷりとかセコさとか幼さを描かせたら、この人は天下一品だと思った。そんな男を見ている女性の方は、みんな仕事ができて稼いでいてセックス好き。あ、本人か。■表題作は■芥川賞の候補だそうな。妊娠中の嫁さんにいたわる言葉ひとつなく浮気に走る自分勝手ナルシスト男と、旦那に愛想を尽かしてとうとう浮気しちゃう奥さんの話。よくまあ、ここまでイヤな男を描けるもんだと思う。こんなにムカつく男の人は話に聞いたこともない。と、思う私は幸せなんだろうか。それとも、わたしが今までに見たムカツク男の全ての要素をうま~く書くことができればこうなるだろうか。ラストの数行、衝撃的なんだけど、伏線が全くないので「なんでそれ?」という感じがただただ。ただ、ラストがこうでなければ、作品のタイトルが「キオミ」で、この主人公の奥さんの名前だっていう必然がない気もする。自分の人生の成り行きを、客観的に見つめているもう一人がいるような。客観的にならなければ受け入れられないような現実。■でも■もう一冊、この作者の本を手に取ろうという気にはならない。好きなのだけれど、好きだからっていうのもあって、すぐ読んですぐ理解できてすぐ感想が言えるだろうってことが予想できる。嫌いなものを食べなくちゃ。と、いつになったら思わなくてすむんだろう。
2007.11.18
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誰にも見えない藤谷治/著。■あらすじ少し■私立の女子中学校に通う瑠菜の日常。日常はなんてことない。なんてことなさすぎるから、他人にはもっとなんてことない。不安や叫びは誰にも見えない。ただ透明に溜まっていくだけ。■この作者の人は■40過ぎてから小説を書き始めたという男性。それでよく、こんなにしっかりと女子中学生のことを書けるなぁと思う。自分が小学生や中学生だった頃、小学生や中学生を主人公にした小説を読んで、「本当の小学生や中学生ってこういうんじゃないのになあ」と何度も思ったけれど、そのうちに思わなくなった。これは私がもう小学生や中学生の気持ちをわからなくなってしまったっていうことだろうか。それとも、ひとつの事例を通して普遍を描くことの意味を理解できるようになったからなんだろうか。自分が小学生や中学生の頃だって、私は日本の、東京の、あるひとつの公立学校の、ひとりの生徒に過ぎなかったわけで。中年の男性が女子中学生を主人公にして小説を書くってだけで、かなりスゴイことなんではないかと。しかもエロいわけじゃないんですよ。全く。青春小説。服装のこととか、メールについてとか、私立受験のこととか、恐らくよ~く調べたんだろうなあ。■あああ■戻りたいなあ。中学生の頃。でももう受験はイヤだなあ。
2007.11.17
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木原浩勝/著。耳袋シリーズの木原浩勝さん。耳袋って書いただけで、ゾゾゾゾゾゾ。夜だし怖いので詳しく書きたくありません。でも本書はそれほど怖くないよ。怖いところもちょっとあるけど。
2007.11.16
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ドストエフスキー。■むかしむかし■中学生の頃、もー大好きで大好きでたまらなかった塾の国語の先生がいた。だって、中学生の読書感想文に小林秀雄の文章を引用して講評を書いたりするんですよ。その先生に誉められるのが嬉しくって、一生懸命書いたものです。それで、その先生と数人の友達と何かの時にゲームをして、「負けたら来週までに読書感想文を書いてくる」ということになった。確か、先生が書いた「読書感想文」を読んでみたくて、私がそんなことを言い出したんだと思う。それで、そのゲームに負けたのは私と先生で、私は「100万回死んだ猫」で10枚、先生は何か他の本で5枚の感想文を書いてくることになった。どうしてそのタイトルと枚数になったのかは忘れた。その時に先生が書いてきた読書感想文が、『白夜』のものだった。今でも持ってます、その感想文。■それで■何十回もその感想文を読みました。あらすじがほぼわかるように書いてある文だったので、『白夜』を読む前から最初から最後までほとんどストーリーは知っていた。最初に心酔する人の感想文を読んでしまったので、その後で作品そのものを読んでも、その人と同じ読み方しかできなかったのでした。当たり前。■それで■今回、12,3年ぶりに読みました、『白夜』。本とは年齢を重ねるごとに読んだときの印象が変わっていくもの、ってよくいいますが、全然変わってなかった! 全然変わってなかった!やっぱりまだ、どーしても「感想文」の印象が強烈なのかも知れません。でも、この主人公を現代の言葉でひと言で表すならば「ひきこもり」とか「ニート」なのだけれど、そういえば、「ひきこもり」「ニート」って言葉は10年前にはなかった、はず。オタクはありましたね。■でも■すごく多弁なひきこもり、なんですよね。饒舌。
2007.11.15
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永遠も半ばを過ぎて中島らも/著。■この方の■小説を読むのは初めて。■登場人物を並べるだけのあらすじ■不眠症の写植師と、その同級生の詐欺師と、途中から登場する女性編集者のお話。■タイトル■「とわもなかばをすぎて」ってカッコイイですね。タイトルだけで、中身がどんなでも許せてしまいそう。タイトルを聞いただけで最後まで読みたくなります。■人の話を聞いて■友達がこの本を薦めてくれまして、読み終わった後になってその紹介の仕方が上手かったんだなとつくづく思ったので、その紹介を再現してみたいと思います。============================-写植師が主人公なんだけどね、その写植師は不眠症なの。全然眠れないから仕事してばかりいるのね。そんで、クライアントの人が、「いや~、あなたほど仕事が早い人は他にいない、他の人はみんな遅れる」って言うんだけど、その写植師は「それは他の人はみんなちゃんと夜寝てるからですよ」って答えるの。で、その写植師のところに詐欺師がやってくるのね。詐欺師がよく効く睡眠薬をくれるんだけど、それを飲むと確かにぐっすり眠れる。でも、起きてみると、書いた覚えのない文字が写植機に打ち込まれてる。詐欺師がその文章を見て……============================-以下、内容に触れすぎるので割愛。■酒が■美味しそうだ。う~ん。話のポイントにあるのが、ず~っと酒ですね。さすがです。
2007.11.13
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