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じんさん0219 @ Re[1]:(σ・∀・)σゲッツ!!(07/14) 大悟の妹☆さん >“大悟”ですけどねー(  ̄▽…
大悟の妹☆@ Re:(σ・∀・)σゲッツ!!(07/14) “大悟”ですけどねー(  ̄▽ ̄)
じんさん0219 @ Re:日本代表残念でしたね(o>Д<)o(06/15) プー&832さん 覚えとりますよ。 プーさん…
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じんさん0219 @ Re[1]:たどりついた...民間防衛。(02/07) たあくん1977さん >どうもです。 > >こ…
2007年12月05日
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***********************************************No.8

信康の自刃は、ふたたび家中へ、大きな動揺をもたらした。

噂は噂を生んで、岡崎では、酒井忠次と大久保忠世を罵る者がふえていった。

「.....若殿を殺したのは、酒井どのと大久保どのじゃ。あの両人が若殿を信長に悪しざまに讒言して殺したのじゃ」

「.....いや、そればかりではない。その前非を悔いて、必ず大久保どのが、若殿のお生命を助けるに相違ない.....そう信じて大殿は二俣城へお預けなされたのだ」

「.....そうじゃとも、ご親子の上はそうあるべきところ。ところが、それを助けもせいで、みすみす殺してしまうとは、このうえない大不忠者じゃ」

「.....それでご遺骸はどうなされたのであろうの」

「.....二俣城外の、何の変哲もない場所に埋められたのでな、岡崎から首を盗みに行った者があるそうじゃ。あのような、立派な大将はもう出るものではない。それゆえ若宮八幡の近くに首塚を作り、やがてそれを神に祀る魂胆と聞いている」

そういえば、遺骸を葬った二俣城外(後に家康、清滝寺を建立)のほかに、岡崎にも首塚らしきものが建ち、さらに、徳姫のもとへ遺髪が届けられたという噂までが立っていた。

徳姫はひそかに榊原七郎右衛門の妹を二俣城へつかわして、遺髪を取り寄せたといわれ、そのせいか、榊原七郎右衛門清政は、これも家禄を捨てて一族の康政の屋敷に蟄居していった。

いずれもみな信康を惜しむあまりの風聞だったが、その風聞の広がるにつれて、築山御前の幽霊を、城下のあちこちに見たという者までが現れた。

天方山城は、信康の遺骸の始末を終わると、そのまま高野山にかくれて、再び浜松へ戻ることを聞き入れなかったので、事の報告は、服部半蔵が一人で家康に報告しなければならない羽目になった。

家康は半蔵が戻ってくる前に、すでに信康の自刃を知っていたが、

「服部半蔵どの只今立ち帰られました」
伊井万千代にそう告げられると、

「よし、これへ通せ。これへ通せ。これへ通して、みなしばらく遠慮せよ」

と言ったが、思い直したように、

「よいよい、みなもいてよい」

大きくうなずき返して半蔵を待った。

庭先へ細い時雨(しぐれ)が降りしきって、木犀(もくせい)の黄色い花がしめった地面いっぱいに散っていた。

服部半蔵は、げっそりとやつれていた。鬼半蔵の異名をとり、ぎろりと大きく眼をむくと、思わず人に視線を伏せさせるほどの男が、まばらに頬ひげを伸ばして、眼のまわりに黒いくまを作っている。

「半蔵か、ご苦労だった」

家康が声をかけると、半蔵は持て余していたものを投げ出すように襖ぎわに坐った。

「大殿!ご苦労ではござりませぬ。この半蔵に切腹を」

家康は、わざとそれは聞かぬふりをして、
「信康の切腹ぶりは、どうであった。取り乱しはせなんだか」

感情をおさえた声で、そっと脇息(きょうそく)を前におき直した。

***********************************************No.9
参考 山岡荘八・徳川家康第七巻/後の月より


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*この書き込みは営利目的としておりません。
個人的に一人でも多くの方に購読していただきたく
参考・ご紹介させていただきました。m(__)mペコリ





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Last updated  2007年12月05日 10時26分50秒
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