今日の気持ちを短歌におよび短歌鑑賞

今日の気持ちを短歌におよび短歌鑑賞

2014.01.16
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白浜短歌会一月歌評(一月二十日)下書き(1)

                                A子さん

新年を迎えていただく雑煮餅力みなぎり今年も頑張る

我が宝幼少時代の辞書二冊古辞典なるも大役果す

1.新年を迎えて作者の決意を歌にしたようです。なんとか年を越して新年を迎えることが出来

た。そんな喜びがこもっているようです。それは、「新年を迎えて」の「て」一字にこめられてい

るように感じました。「迎えいただく」でよいのですが、「て」一字が加わったおかげで、やっ

と、なんとか新年を迎えることが出来「て」いただく、という思いがこめられるように感じまし

た。


 参考: 新年を迎えていただく雑煮餅力みなぎり頑張れるかも

2.「古辞書」は「古い辞書」の意味ですね、「古語辞典」ではないですね。「我が宝」「大役果

たす」というような言葉は、やはり説明的に思えます。こういう言葉を使わずに出来たら気持をあ

らわしたいと思います。

 参考: 幼少の折贈られし辞書二冊古くなれども今も役立つ


正月                C子さん

穏やかな正月日和お宮まで浜辺を歩き八千歩なる

初初し嫁を迎えてお正月楽しき時は早く過ぎたり

1.「八千歩」という具体的な表現がいいと思います。そこに、作者の気分なり体調なりが含まれ

ていると思います。

2.「迎えて」は「迎えし」と過去のこととすると「早く過ぎたり」が生きてきます。「迎えて」

とすると、「過ぎたり」と同じ時となります。

参考: 初初し嫁を迎えしお正月楽しき時は早く過ぎたり


                H子さん

初孫がきみを想いし短歌(うた)便り届きましたか切手貼らずも

セーターは暖か色と決めた朝一月の風エールとなりぬ

(お孫さんの歌)

忘れないよにぎって歩いたじいじの手教えてもらった草の名前も

1.この歌はお孫さんの歌とセットにしないと分りにくいかもしれません。そのままですと、単な

る幼い子が切手も貼らずに出した手紙と思われるかもしれません。短歌の第一段階としまして、分

りやすくするという努力が必要のようです。「想う」と「偲ぶ」とか。「切手貼らずも」も現実世

界からあの世を見てる感じでいいと思います。「届きましたか冥土の君へ」などとするとそのもの

ずばりで分りやすくなると思います。

参考: 初孫がきみを偲んで短歌便り届きましたか冥土の君へ

   : 初孫のきみを偲んだ短歌たより届いたでしょう切手貼らずも


2.これはこれでよろしいかと思います。特に、ご主人が亡くなられたことなどを考えますと、な

かなか深みのある歌だと思います。「暖か色」が良いか、「明るい色」が良いか。「決めた朝」に

深い思いを感じます、心の葛藤を感じます。「一月の風エールとなりぬ」はいいとおもいます。前

向きになった心を、がんばってと風がエールを送ってくれているように感じたのでしょう。


参考: セーターは明るい色と決めた朝一月の風エールとなりぬ

3.お孫さまの歌、良いと思います。何か宣言のようにも思える、強い意志の歌になりました。草

の名前など具体的であればなおよろしいかと思います。「忘れないよ」の「よ」は不要と思いま

す。もっと言えば「わすれない」という言葉も出来たら使わないで気持を表したいと思います。注

意したいのは、短歌は相手に言葉で意志を直接的に伝えるというよりは、自分自身に語り、問いか

けることによって、読者に生身の自分を見てもらう、そんな風にわたしは考えます。たとえば、

「わすれない」は、まず「わすれそう」という心持があって、それを打ち消すために、「わすれな

い」と強く発言する。「わすれそう」と歌うのは、正直に読む人に訴えるでしょう。「わすれな

い」も相手に言っているのではなく、自分自身に言っていることばであることによって詩になって

いくのだとわたしは考えます。

参考: 手を引いて歩いてくれたじいじの手教えてもらった草の名前も


                             C子さん

白(しら)飯(いい)の御飯頂き九十年寿命をいただき明日に向ふ

目も耳も五感も元気独り棲む厨に生活のサンマを焼けり

嫁ぎたる娘は独りの老母(はは)案じ毎?の安否電話して来ぬ

1. 「御飯頂き」「寿命をいただき」の重複が気になりました。前向きな気持がよいとおも

います。

参考: 白飯のこの有難さ九十年寿命いただき明日に向う

2.「目も耳も五感も」の五感の中に視覚、聴覚が入っていますから、この表現はどうでしょう

か。「サンマを焼けり」は良いと思います。

参考: 目や耳や五感は元気独り棲む厨に生活のサンマを焼けり

3.「毎」の次の字が読めませんでした。「毎日」の「日」でしょうか。自分を「老母」と第三者

的に表現する方法もひとつやり方です。「嫁ぎたる」がよいか、「嫁ぎいる」がよいか。「嫁ぎた

る」であると、嫁いたばかりの感じを与えます。「案じ」とか「安否」とかいう言葉は作者の発想

です、「毎日電話してくる」この事実が大事です。「娘は」がよいか、「娘が」がよいか。

参考: 嫁ぎいる娘が毎日独り棲むわれにどうかと電話して来る



                               D子さん

正月に集ううからの笑い声この笑顔こそ我が家のたから

医療費の一割負担ありがたく支払額に胸なでおろす

1.「正月に集ううからの笑い声」これが事実でしょう。下の句は作者の思いです。これは短歌の

作り方として一つの方法です。「我が家」がよいか、「我」がよいか。短歌は自分の思いを表すも

のです。

参考: 正月に集ううからの笑い声この笑顔こそわが宝物

2.「医療費の一割負担ありがたく」は事実でしょう。問題は「胸なでおろす」です。たしかに、

こういう喩をすることがありますが、あまりにも平凡、一般的で詩には不向きと思います。もう少

し事実に即した言葉がほしいと思います。

参考: 医療費の一割負担ありがたし支払額にほっと息吸う




                                   F子さん

足腰の老化止めんと歩む道花を見ながらよちよちあるく

朱印帳めくりて見ればかずかずの思い出多し老にし吾は

1.よいと思います。ご自分の老化を見つめている目になかなか強いものを感じます。

2.「朱印帳」がわたしには身近に感じられませんが、アルバムのような感じでしょうか。思い出にひたるのではなく、現在の自分に向けるところがすばらしいと思います。「老にし吾は」に深い思いがこもっています。


                      つづく





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最終更新日  2014.01.16 19:11:52
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