今日の気持ちを短歌におよび短歌鑑賞

今日の気持ちを短歌におよび短歌鑑賞

2014.01.16
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白浜短歌会一月歌評(一月二十日)下書き(2)




                                   D子さん

足腰の老化止めんと歩む道花を見ながらよちよちあるく

朱印帳めくりて見ればかずかずの思い出多し老にし吾は

1.よいと思います。ご自分の老化を見つめている目になかなか強いものを感じます。

2.「朱印帳」がわたしには身近に感じられませんが、アルバムのような感じでしょうか。思い出

にひたるのではなく、現在の自分に向けるところがすばらしいと思います。「老にし吾は」に深い

思いがこもっています。



                      F子さん

曲折の多き天城路母さんは先行く車に付かず離れず

裸木となりたる庭の河津桜はや花芽つけ寒風(かぜ)に耐えてる(耐えおり)

悪しきあと良き事あれと念じつゝ見上げる空に上弦の月

1.「付かず離れず」がキーワード、この歌のポイントでしょう。この言葉に作者がたくしている

思いはどのようなことなのでしょうか。「お母さん(お嫁さんのことだと思います)の控え目な感

じ」であったのでしたら、「先行く車に付きすぎず行く」など、あるいは「離されず行く」など、

作者の思いがいま少しはっきりするとよいかもしれません。


2.「耐えてる」と「耐えおり」は意味的には相違がないでしょう。「耐えてる」は口語で「耐え

おり」は文語です。口語はくだけた感じ、「耐えているなあお前」といった呼びかけるような感じ

でしょうか。「耐えおり」はやはり格調をもって、「耐えておるんだ」と自分自身に言い聞かせる

ような感じでしょうか。


3.「あと」は「後」にしたほうが分りやすいと思います。「上弦の月」がよいと思います。これ

から満月になっていきます。


                                  G子さん

嫁や娘(こ)に夫を頼みて入院す専念せよと言葉かけ来る

この痛み引きずるよりもオペを受け治る痛さにのぞみをかけて


1.作者とご家族とのありようがよく分る歌です。作者はご主人のことが心配なのでしょう、それ

を多分くどくど娘やお嫁さんに頼んだことでしょう。娘さんやお嫁さんの方は、心配ないから自分

のことだけ考えてと言葉をかけたのでしょう。その言葉は、作者にとってはとても有り難いことな

のでしょう。


2.「治る痛さ」という言葉が光っているように感じました。「受け」を「受く」と終止形にする

と、「のぞみをかけて」に対応して良いと思います。あるいは「のぞみをかけて」を「のぞみをか

ける」と終止形にすると「オペを受け」と対応してよいとおもいます。



         監視カメラ            原 明男

「がんばれ」を孫の背中に連呼して共にみなぎる心を晒す

トラブリて四苦八苦するわが態に監視カメラも苛つきてゐむ


1.「心を晒す」、「晒す」が作者の偽らざる思いなのでしょう。正直に表現することを良しとし

ているようです。少しやりすぎたなあと言った作者の反省がここに表われています。孫がそれだけ

可愛いということなのです。お孫さんをかわいいとかいう直接的な言葉で表現していませんが、こ

の歌全体からお孫さんへの愛情が滲みでています。これが短歌だと思います。


2.なにかトラブルがあったようです。作者は年齢的なことは少しも触れていませんが、「監視カ

メラも苛つきてゐむ」の「も」は、作者自身も苛ついていることを暗示しているように感じまし

た。それは、あるいは年齢のためなのかもしれません。若いときには、感嘆に処理出来たことが、

年齢とともにトラブルとなってしまうことがあります。この歌の背後にそんなものを感じました。








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最終更新日  2014.01.16 19:15:27
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