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2015.10.01
鑑賞:歌集「悲しき玩具」(三十七)(下書き) 後藤瑞義
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鑑賞:歌集「悲しき玩具」(三十七)(下書き) 後藤瑞義
(注)歌の順序は歌集の順序によります。
戸の面(も)には羽子突く音す。
笑ふ声す。
去年の正月にかへれるごとし。
面(も)」などという言葉も、短歌を作るようになって見ればなんとか分るような
気がします。たとえば「水面(みなも)」などという読み方も短歌を作るようにな
って知ったのでした。「戸の面」の意味は類推してなんとか分るんですが、
「戸」でなくて「外(と)」ではないのか、「面」とはなんだろうとか色々考えます。
わたしをここで出す必要はないですが、「外よりは」などの表現がわたしなど
のせいぜい出てくる言葉です。しかし、「戸の面(も)には」がやはりいいよう
に思います。「地面(じめん)」というしっかりしたイメージも浮かびます。
羽子板(はごいた)や羽子突(はねつ)きなど分らない若い人もいるでしょう。
わたしにしても、子供の頃の思い出です。正月になると今も思い出す、今で
は見られない風景です。
「笑ふ声す。」がやはりいいです、こういう言葉を使うことに感心します。「喜ぶ
声す。」「楽しむ声す。」「はしゃぐ声す」「子供の声す」ではなく「笑う声す。」が
やはり直接的で心にひびくような感じがします。と同時に啄木は「笑い」のあ
まりない生活環境のなかにあったのではないでしょうか。あるいは「笑い」が
回りにあったとしても気づく余裕がない生活だったのかもしれません。啄木は
「笑い」に新鮮な感動を受けた、そして「笑ふ声す。」の言葉が出てきた。短歌
を作っている人間としてそんな想像をするのです。
「去年の正月に」がやはりいいと思います。「子供の頃に」などでなく、「去年
の正月に」とするところがやはり啄木なのでしょう。常に前を向き後ろをあまり
ふりかえらない、そんな生活態度をこの歌で感じました。そんな、緊張した生
活のなかでちょっぴり息ぬきが出来た啄木でしょうか、そんな啄木の姿が浮
かんできます。
戸の面(も)には羽子突く音す。
笑ふ声す。
去年の正月にかへれるごとし。
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最終更新日 2015.10.01 13:55:12
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