今日の気持ちを短歌におよび短歌鑑賞

今日の気持ちを短歌におよび短歌鑑賞

2017.08.05
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
短歌鑑賞 歌集「悲しき玩具」(47)    後藤瑞義(人徳)

(注)歌の順序は歌集の順序によります。

青塗の瀬戸の火鉢によりかかり、

眼閉ぢ、眼を開け

時を惜めり。

火鉢などもすっかり見かけることがなくなりました。わたしの少年時代の記憶のな

かにある火鉢も、そういえば瀬戸の火鉢で、青色をしていたのです。もっと温かい

色が良いと思うのですが、やはり青色だったのです。


外側は青色に塗られている瀬戸物の火鉢、そのあやふさ、一方内側はカッカと赤い

炭が燃えている、その情熱。それらを想像したとき、わたしは何か青春時代を暗示

しているようにも思えたのでした。

さてその火鉢に作者は寄りかかっております。ぽかぽかと良い気分でいる啄木の姿

が浮かびます。「眼を閉じ」はまさにうっとりとして火鉢に寄りかかっている感じ

です。

ただ、気になるのは、やはり結句の「時を惜しめり。」です。うっとりとしている

ところに、突如冷水を浴びせられたような感じです。温かい火鉢によりかかって

うっとりしているだけの歌でもよいように思うのですが、啄木は何を考え何を感じ

たのでしょうか。

青春を暗示するような青塗りの火鉢の温かさによりかかって、このようにうっとり

として時を費やしていてよいのだろうか。いやいや、自分にはそんな余裕はないの

だ、こんなことで時を費やしていてはいられないんだ。「眼を開け、/時を惜しめ

り。」がそれを物語っているのではないかと思うのです。物事が思うようにはかど

らない感じの啄木、自分は長くは生きられないだろうと悟っているような啄木、

「時を惜しめり。」が哀しく胸に迫ってくるのです。


青塗の瀬戸の火鉢によりかかり、

眼閉ぢ、眼を開け

時を惜めり。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2017.08.05 09:37:21
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: