明石海人歌集
白描(37)
岩波文庫より
(注)明石海人(本名野田勝太郎)は、大正7年沼津町立沼津商業学校(現:県立
沼津商業高等学校)卒業で、私の先輩であることを知りました。
鬼豆(3)
除夜
年祝(ほ)ぎのよそほひもなく島の院に百八つの鐘ただ静かなり
島山の鐘の撞木の丈(たけ)ながの綱手の垂れに朝は凪ぎつつ
元日をきたる年賀の文ふたつうちのひとつはふるさとの子より
追羽子の音もあらなく元日のこの静けさをひとり籠らふ
宵の間の疾風(はやち)は落ちて枯庭に霜は降るらし月かげり来ぬ
砂浜にむしりすてたる白き羽毛(け)のしづけさ深し陰(くもり)冷えつつ
(つづく)
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