編集より(歌誌「賀茂短歌」9月号)
「世間体」
白浜短歌会9月の作品のなかに次のような短歌がありました。
今朝の風秋のにおいは本誘う阿部謹也氏で「世間体」読む
参考までに私の(評)も書いておきます。
(評)「今朝の風秋のにおいは」という表現に感服しました。古今集、藤原敏行
の
「秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる」を思
い出したからです。それはそれとしまして、作者は風のにおいに秋を感じ、
本を読みたくなったようです。阿部謹也という著者についての知識をわたし
は持ち合わせていません。ですから、「世間体」という本も読んだことはあり
ません。しかし、「世間体」という題名にひかれます。作者も「世間体」につい
て思うところがおありなのではないでしょうか。日本独特の風習なのかわか
りませんが、世間体が良いとか悪いとか言われ、私達はとかく行動が制約さ
れる息苦しさがあります。「世間体」とは何だろう、どうしたら「世間体」とうまく
付き合っていけるのか、誰もが関心のあることです。
私はこの短歌を読みまして、世間体と短歌との関係をふと思ったのです。わ
たしは選評などのときによく、常識にとらわれないようにと言っていました。そ
れは、世間体にとらわれないでといっても通じるような気がしたのです。インタ
ーネットで調べましたところ同著者の「世間とは何か」という題名の本がありま
したので注文しました。何か作歌の上でヒントが得られるのではないかと期待
しています。
(注)阿部謹也:一橋大学学長などを歴任され、専攻はドイツ中世史です。
後述
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