2019.04.01
カテゴリ： 短歌
渡辺幸一氏の短歌（４）
（注）渡辺幸一氏はイギリス在住 、
第４１回角川短歌賞を受賞しています。
掲載につきましては、許可を受けました。
渡辺幸一氏は、郷隼人氏をはじめ海外在住の歌人をご自身の短歌誌
「世界樹」（自費出版）で紹介したり、海外歌人のまとめ役としまして
精力的にご活躍しております。
獣（けもの）の声（１）
（２００５年５月１５日発行；世界樹 二号より）
丘越えて奔（はし）りつつ時の間を不穏なまでに雲はかがよふ
中空（なかぞら）にほとばしる水あるごとく樹々とよむなり風に撓みて
忘れゐし旋律をふと思ひ出づ真冬の朝に虹架かるとき
年古りし素焼きの壺のある部屋にすがしき水の匂ひが満ち来
あえかなる微笑のごとくイギリスの暗き二月に桜が咲きぬ
（つづく）
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