3月27日(金)
一遍上人語録(90)
岩波文庫:昭和60年5月16日発行
巻下(9)
門人伝説(9)
八
又云、浄土を 立 るは、 欣慕 の 意 を生じ、願往生の心
をすゝめんが為なり。欣慕の意をすゝむる事は、所詮、
称名のためなり。しかれば、深心の釈には、「 使人欣慕
《人をして欣慕せしむ》」といふなり。浄土のめでたき
有様をきくに付て、願往生の心は 発 るべきなり。此心が
おこりぬれば、かならず名号は称せらるゝなり。されば、
願往生のこゝろは、名号に帰するまでの、 初発 のこゝろ
なり。我心は 六 識 分別 の妄心なる故に、彼土の修因に非
ず。名号の 位則往生 なり。故に他力往生といふ。 打
まかせて人ごとにわがよくねがひ、こゝろざしが切なれ
ば、往生すべしとおもへり。
注
欣慕の意 :弥陀の浄土を欣び慕う心。
使人欣慕 :観経 疏散善義に、「決定して深く信ず。釈迦
仏、この観経の三福・九品・定散二善を説いて、かの
仏の依正二報を証讃して、人をして欣慕せしめたまはむ
ことを」とある。
六識分別 :眼・耳・鼻・舌・身・意の六種の認識のはた
らきで知りわけること。
打まかせ
:一任する。まかせる。
(つづく)
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