7月30日(木)
鈴木菊江さん九十七歳の短歌(平成27年3月)
(令和2年5月9日百二歳九か月にて亡くなられた
鈴木菊江さんの短歌です)
鈴木さんの満九十七歳七か月の短歌です。
握力のにぶるこの頃右左両手でゆこうと蛇口をしめる
飛ぶ鳥のいづこゆきしやきさらぎの雨はしとしとわが胸にふる
二才兒は泣いて笑つていたづらをしてお利口さんとほめられる
きさらぎの風にふるえる雲間には春の鼓動がぢっと待ちをり
ふきのとう笑まうが如く萌え出でて空の色まで明るくなりぬ
飛ぶ鳥のいづこゆきしやきさらぎの雨はしとしとわが胸にふる
(評)鳥が今飛んで行ったのでしょう。そして、ふっと視界から消
えてしまったのでしょう。そのちょっとした欠落感、それは亡くなら
れたご主人のことが頭をよぎったのではなかったでしょうか。時は
如月、ご主人が病に臥した思い出が頭をよぎったのではなかった
でしょうか。「きさらぎの雨しとしとわが胸にふる」が切なくこころに
響きます。決して感情をあらわに表現しない作者です、それゆえに
なおさらこの言葉がこころに響くのです。
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