8月30日(日)
中村憲吉歌集(58)
中公文庫:日本の詩歌6より
昭和五十一年四月十日初版
歌集「しがらみ」(19)
大正十年(1)
池の家
池のかぜ寒くつのりぬ 夜 くだちて屋根一ぱいに雨のふる音
秋ふかき寒さに入りぬ 宵 よひの癖となりつつ雨ぞ降りける
昨日 の 夜 より雨とみに寒し 家 のうちは 妻子 が 不在 の畳のひろさ
夕焚 きし 風呂 はそのまま入るひとなし 二 たび入りて 寝 につく我れは
柱なる幼きものの 紐 ごろも 此 のあひだより 脱 ぎて掛け
池どりの 啼 かぬ 雨夜 かもをさな 児 の 行 きし山国雪かもふらむ
(つづく)
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