10月28日(水)
歌集「乳房喪失」(昭和29年)(4)(抜粋)中城ふみ子
子を抱きて涙ぐむとも何物かが母を常凡に生かせてくれぬ
硝子屑の上に来て青き夕あかりたれか酷薄のことばきかせよ
幻のなかに住みゐし幾日かひそかに殖えをり春の蜘蛛の子
背のびして唇づけ返す春の夜のこころはあはれみづみづとして
かがまりて君の靴紐結びやる卑近なかたちよ倖せといふは
(つづく)
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