ジョナサンズ・ウェイク

ジョナサンズ・ウェイク

いさましいちびのトースター



目覚ましラジオ「それでは只今より、長くて苦しい冒険の道のりを経た電気器具たちとのインタビューを行いまーす!ジリリリリリリリ・・・・・・」

掃除機「これこれ、ラジオや。記者さんの役割をうばってはいけないよ」

ラジオ「ジリリリリリ! へへっ」

記者「それじゃ早速ですが質問に移らせていただきます。あ、電気毛布さん、そんな隅っこに隠れていないで、どうぞこちらへ・・・」

卓上スタンド「(ライトをチカチカさせながら)おいでよ!」

トースター「スタンドの言う通りさ。さぁ照れてないで、僕のとなりへ」

記者「トースターさん、どうも。これでそろいましたね。さて、今回の大冒険のキッカケは何だったのですか?」

トースター「僕がお答えします。それはだんな様が、僕らを置き去りにしたまま三年間も帰ってきていなくて・・・」

ラジオ「正確には、二年と十ヶ月と三日だよ」

トースター「・・・それで棄てられた僕たちは、自分達の力でだんな様を探しに行こう、ということになったんです」

記者「なるほど。しかし電気器具が五台の長い道のりを行くとなると、大変だったでしょうね」

スタンド「ピカーン! その通り! ほら毛布も何か言いなよ」

毛布「・・・・・・。(体をくるませる)」

掃除機「おぬしは本当に照れ屋さんじゃのぉ、ふぉっふぉっふぉっふぉ・・・ふぉ?! ごほっごほっごほっごほ・・・(ゴミを口から吐き散らす)」

記者「ぺっぺっ。掃除機さん、大丈夫ですか?」

掃除機「ごほごほ。ごほ。もう大丈夫じゃ。すまんな、最近はめっぽう古くなってのぉ」

トースター「・・・最初は移動すら無理だと思っていましたが、みんなで智恵と力を合わせて、小さな乗り物を発明することに成功したのです」

ラジオ「(CM調に)乗ってしまえば気楽な旅。安全で快適そのものです。ジリリリリリ」

トースター「・・・続きは僕たちの活躍する本編をお楽しみください!(チーン!)さぁ、こんがり焼けたきつね色のトーストを召し上がれ!」

※「いさましいちびのトースター(トーマス・M・ディッシュ)」ハヤカワSF文庫


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