先日、駒沢公園ハウジングギャラリーステージ1にて『地震に強い家ってどんな家』
というテーマでセミナーを開催させていただきました。
駒沢公園ハウジングギャラリーステージ1
http://www.e-a-site.com/exhibition/cat76/cat89/cat126/tenji.php
予想を超えるご参加の方々に恵まれ、セミナーは予定時間で終了したものの、
ご参加からのみなさまからの質問がたくさん!
特に、『制震』について詳しく知りたい!という方々がほとんどでした。
耐震・制震・免震のお話はもちろんですが、地震と津波の発生メカニズム、
東日本大震災のスペクトル解析、不同沈下にかかる住宅修繕にかかるコスト、
地震保険はなぜ半額なのか、東日本大震災で転倒した家具、転倒しなかった
家具の固定方法の違い、なぜソーシャルメディアは震災直後でもつながった
のか、非常食の手配と調理方法、津波が襲ったエリアで明暗を分けた避難所
について・・・
東日本大震災以降、ずっと続く余震を前に、首都圏にお住まいの方々も現在
のお住まいや震災発生後の被災地のナマの声について、報道だけではわから
ない現実を少しでも知ろうとしている様子でした。
そこで、今回はそのセミナー内容から抜粋して耐震、制震・免震について、
それぞれの特徴を解説します。
耐震とは、読んだ字のごとく地震に耐えること。=普通の地震では大きな損傷がなく大震災では倒壊しない程度の損傷が発生するレベル
●地震の揺れが直接建物に伝わる。
●強風(台風)ではほとんど揺れない。
●地震のたびに、建物の損傷が進む。
●免震と比較して、格段に家具が転倒する。
●現在の建築基準法では、ほぼすべての住宅が耐震住宅となる。(追加費用がない)
●軟弱地盤の制約はほとんどない。(地盤改良が必要になる場合があります)
●地下室などの設置制約はない。
制震とは、揺れを軽減すること。=普通の地震では大きな損傷がなく、大震災では建物内部でエネルギーを吸収する
●地震の揺れは直接建物に伝わるが、2階から上階の揺れが軽減される。
●強風(台風)では、ほとんど揺れない。
●建物損傷については、制震装置が建物の揺れ(振動エネルギー)を吸収するので、 建物全体ではほとんど損傷しない。
●家具転倒は2階から上階が軽減される。
●設置コストは30万~100万円。
●軟弱地盤の制約はほとんどない。(地盤改良が必要になる場合があります)
●地下室などの設置制約はない。
免震とは、建物に揺れを伝えないこと=普通の地震では大きな損傷がなく、大震災でも地震のエネルギーを伝えない構造
●地震の揺れは直接建物に伝わらない。
●強風(台風)のときは2階から上階が揺れる。
●建物が大きく揺れないので、建物の損傷が大幅に軽減される。
●家具の転倒は、階数を問わず大幅に軽減される。
●設置コストは350万~550万円。
●軟弱地盤などでは免震装置の設置が困難。
●地下室の設置は困難。
耐震住宅・制震住宅・免震住宅のメリットとデメリットは以下の通りです。
●耐震住宅
一般的な木造の「耐震住宅」は、強固に固められた基礎の上に土台がのり、
その上に柱が立ちます。 現在はすべての住宅が【耐震住宅】仕様です。
●制震住宅(追加工事費は50万円~100万円)
制震装置は、大地震にずば抜けて効果を発揮するのではなく、振動エネルギー
を吸収して損傷を大幅に軽減できるようにする装置です。
家具の転倒に対しては、転倒防止金具などを用いることで、ほとんど免震住宅と同じ
程度の被害まで押さえ込めます。
●免震住宅(坪あたり10万円以上の追加料金)
免震装置は、大地震が発生したときに家具の転倒や建物の損傷を防ぐという点では、
抜群の効果を発揮します。
しかし、大きな地震でないと作動しないとか、台風のときには揺れる心配があったり、
装置の価格が高いとか、液状化するような地盤には向かないなど、価格以外にも
いろいろな制約条件があります。
たまたま私の場合は、私の家族以外の両親・親族・仲間たちのほとんどは被災して
います。
各報道機関が発表している現地写真も自分にとってあまりにも身近だった風景。
2ヶ月近く経っても観るだけで心が締め付けられます。
でも、これから家を建てる、またはリフォームをご検討される読者のみなさま。
快適な仕様であることはもちろんですが、その予算のいくばくかを耐震性の向上や
制震装置・免震装置を設置する予算に振り向け、将来起こりえる大震災に備えて
おくことは、もはや必須条件であるといっても過言ではないでしょう。
故郷から遙か離れた地で、家族や仲間の身を案じ、故郷を案じる気持ちは、
体験したものでないと決してわかりません。
その待つ側の不安を少しでも解消できるのが、耐震性の向上や制震装置・免震装置を
設置し、家具の転倒防止を図り、負担にならない範囲で非常食や携帯充電器を確保し、
家族で避難路を確認しあうことなのです。
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