不良中年・天国と地獄

不良中年・天国と地獄

2006年01月19日
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カテゴリ: DVD


原作はヘミングェイの短編小説です。ごく若い頃に読みました。手法としては、‘意識の流れ’を使っています。心理描写が多く、ヘミングウェイにはめずらしく、内省的な短編でした。

映画も原作と同じく、主人公の小説家ハリー(グレゴリー・ペック)の回想という形式を採っています。ただ、内容は3人の女との恋愛が中心で、原作とはちがったメロドラマに変容していました。

モデルのシンシア(エヴァ・ガードナー)伯爵令嬢のリズ(ヒルデガード・ネフ)裕福な未亡人ヘレン(スーザン・ヘイワード)と、3人3様の恋愛模様です。この中で、一番激しく愛し合ったのはシンシアでしょう。

初恋に敗れてパリへ渡ったハリーは、エミールのバーでシンシアと出会いました。酒場の片隅で、お互いのタバコに同時に火をつける、という有名なシーンがあります。これはヘレンと2度目に会うところでも使われました。場所はセーヌの橋の上。なんともロマンチックです。

特筆すべきは、エヴァ・ガードナーの美しさでしょうか。典型的なハリウッドの美人女優、というタイプです。ラテン系の血が混じっているのでしょうか、ややつり上がった目が魅力的です。「裸足の伯爵夫人」の彼女も、ミステリアスで素敵でした。

小説家になりたかったら狩りをしろ、と叔父から猟銃をプレゼントされたハリーは、執筆の合間を縫って、アフリカへ出かけます。撮影当時は、CGはありませんでした。ここに描かれた動物の生態は、ほとんどロケでしょう。

カバの大群の水浴び、大地に群れる野生の動物たちと咆哮、真正面から突進してくる犀。死臭をかぎつけて空を舞うハゲタカ、闇を徘徊するハイエナ。この映画の見どころのひとつです。

女は冒険よりも、都会での落ち着いた生活を求めます。現実的な選択でしょう。それに対し、男は永遠のロマンチスト。この違いが、しばしば破局を招きます。

シンシアとの別れも、それが原因でした。再会したのは、スペインの戦場。二人とも内戦に巻き込まれたのです。重傷を負ったシンシアは、戦場の花と散りました。ここはちょっぴり泣けるシーンです。

原作と違うラストは、この作品がメロドラマであることを証明しているでしょう。監督はヘンリー・キング。職人肌のベテランです。手慣れた演出で、カットバックなども、音楽を使ってわかりやすく切り替えています。

往年のハリウッド映画らしく、パリやアフリカのロケにはお金をかけているようです。3人の女のキャラクターも、わかりやすくていいでしょう。メロドラマとして、すれすれの合格、と評価しておきます。





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最終更新日  2006年01月19日 20時31分55秒
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