猫じゃらし

猫じゃらし

ごめんね。桜


原因は 断線による漏電。
我が家は築22年で、知り合いの大工さんに建ててもらったのですが
電気コンセントの配置が恐ろしいほどひどいものでした。
左右にふすまがあり、真ん中の壁半間にコンセントがあるとか。
片方を開けると、その壁のいちにふすまがいくので
そこ使えないんですけど・・・
柱の途中や、柱の下など考えられないところにありました。

そういう不便な造りだったので、延長コードを引っ張って
隣の部屋にまで引き込まないと電化製品が使えなかったのです。

火事を発見したとき火柱は40センチほどでした。
ちょうど夕飯を作っていて 初期消火はしたものの火の勢いがすごく
5分もしないうちに1メートルになりました。

119に電話して、2Fで室内飼いしている桜を助けに行ってくれと
家の人に頼みましたが、階段すぐ横の部屋が発火元で煙がすごく
もう2Fに行けないといわれました。

私は なんとか桜を助けたく、発火元の隣の部屋奥にある浴室の
シャワーを放水したりして 火の回りをゆるめようとしました。
そのうち煙で息ができなくなり、ふすまなどをぴっちり締め
放水しっぱなしの状態で 家を脱出しました。

消防署に電話したし、本当に一部分しか燃えてないので
ボヤで終わるとその時は思っていました。

ところが、消火がはじまったのは もっと経ってから。
理由はいろいろあるのですが、我が家が角地に近かったこと。
前に市道がありバスが走っていたこと。
街中で車の通りが激しく、交通整理にとても時間がかかり
そのOKが出ないと消火がはじまらなかったのです。

消防隊員に2Fにいる猫を助けてくれと
何度も何度も頼みましたが
彼らにとって法律の問題もあるのでしょうが
猫はモノなのです。無視されました。

自分の見ている目の前でひとつの命が消えていく辛さ。

桜は きっと泣き叫び私の姿を探したことでしょう。
不安で不安で 私のことを呼び続けたと思います。
桜 ごめんね。
長生きしてねって 毎日のように言っていたのに
こんな風にあなたの命を奪った自分がみじめでみじめでなりません。

桜ごめんね。本当にごめん。
助けたかったよ。自分が2Fに走っていけばよかった。
あなたを抱いて 窓から飛び降りれば良かった。
あなただけでも離してあげられれば・・・

もう1匹いた猫は危険を察知したようですぐに飛び出して行きました。
この猫は 家を自由に出入りしていたので 2Fで隔離するように桜を飼っていたのです。
もう1匹の猫の タマも結局見つかりませんでした。
人懐っこい猫だから どこかでかわいがられていると信じています。
そうでないと もっとつらいから。

桜が最後にどんな思いをしたんだろうと
想像すると涙が止まりません。
どんなに怖い思いをさせてしまったんだろう。

つらい病気を乗り越えて生きてくれたのに。
桜がいたから 楽しい時間がたくさん持てたのに。
桜 ごめんね。悪いママでごめん。どうしてあげることもできなくてごめん。

桜がいたから たくさん楽しい思い出ができました。
桜の寝姿を見て笑ったり、たくさん笑えました。
病気の時は 泣いて泣いて毎日を過ごしました。
それ以外は 私 ずっと1日1回は 笑っていたと思う。
桜ありがとう。そして 本当にごめん。



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