日々のあぶく?

日々のあぶく?

October 13, 2009
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追い詰められる人を描く時の有川浩の設定は容赦ない。
もっと(内容が)重くてページが進まないかと思ったが、そこは突きつけながらもさらりと描き、
目線は優しく、救いはある。

~ネタバレメモ~

酒癖の悪い父親の一回の過ちがもとで、母親は近所中からいじめられ続けていた。
そんなことも知らず、怪しい新人研修に不審を持ち、3ヶ月持たずに会社を辞め、
その後も好き勝手にバイトをしては辞めて引きこもりを繰り返し、
再就職活動も真面目に取り組まなかった武誠治。
母親が重度の鬱病と全般姓不安障害など、複合した精神病に罹ってしまったのを知ったのも、
母親と同じに疎外されていたことに気付いて耐え、母を支えていた地方に嫁いだ姉からだった。
母親の現実を目の当たりにし、愕然とし、
プライドは高いが子供っぽく、母の病に目をむけない父に落胆しつつ、
生活を改めようと決心する誠治は、就活と夜の工事現場のバイトに精を出すことに。
理解のない父親に苛立ち、母の病に対する勘違いでさらに追い詰めたりもしてしまうが、
就活の、今までサボってきたことに対する現実の厳しさに向き合い、
母を追い詰めた近所の目とも対抗し、
自分を励まし、相談に乗ってくれた工事現場のおっさんたちがいて、
自分を一番高く評価して買ってくれた土木会社に就職を決める。
就職した途端、とんとん拍子に話は進み、誠治の仕事を認めた社長(作業長)・大悦から
誠治のような社員を増やしたいとのお達しが。
自らの経験(駄目だったころの素質を見抜くなど)を生かした募集要項、選考を経て
ゆくゆくは現場監督希望という異色の女性・千葉とお調子者だが、真面目な豊川を採用。
母親に負い目があるため、自分を優先に考えられなくなったという誠治に
千葉も、豊川もまだ間に合っていると告げる。
そして、就活、仕事を通して父親との距離も縮め、お金も貯まった誠治は、
この環境から離れることが、母の一番の薬になることから
姉の渡してくれたお金もあわせて、引越、家を買うことを父に提案する。
父もその金は受け取るが、ローンは自分が払いきれるところを買うことを条件に引越を受け入れる。

タイトル通り、フリーターだった男が一人で家を買うわけではないのだが、
崩壊寸前の家族が寸前でとどまり、復活、再生していく姿が優しく描かれている。
誠治の就職、就社からの話はサクセスストーリーといってもいいか、も。
仕事の評価は高いが、プライドも高く、酒癖悪くて子供っぽい一面も持ち、
自分の妻の病状を「弱い人間がなる」となかなか認めない父親・誠一の姿は
現実、多いのかもしれない。だが、そんな彼にも救い?作者の優しい目は注がれている。
真面目に、真摯な言葉を交わす誠治と千葉を見つめる豊川目線の書き下ろしが可愛い。





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Last updated  October 13, 2009 01:51:35 PM


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