恋愛病院『ラブホスピタル』

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2004年05月15日

最高にして最強の・・・１～史上最低？！～

(3)

テーマ：連載小説を書いてみようｖ(10180)

カテゴリ：カテゴリ未分類

『彼、浮気してるよ』
「うん、知ってるから」

友人は言葉には出さないまでも
えっ、と言う間が電話ごしから伝わって来た

「あの人…そう言う人だから」
『…そか』

電話を切ると、あたしは確信犯だと知り
声を殺しながら涙だけを流した

そう、あたしには、付き合って2年になる恋人がいる。
今までは疑いだけの『浮気』だったが、どうやら確信犯らしい
だけど…あたしは今もこれからも見て見ぬ振り…。

浮気の一つや二つ、男はそれだけの甲斐性がなきゃ！

…なんて思っているわけではない。
ただ、彼に話すのが怖かった。
失うのが、怖くて…浮気相手の女の元に行くかもしれない怖さが
自分の感情の全てを殺していた。

デートしていても、彼に入るメールが気になって
彼が携帯をチェックしている間、ずっと彼の表情を見つめていた

（女、からだ）

だけど知らない振り。
苦しかった、、自分で自分の心にムチ打って何もない事にしてるなんて
自分の心をいじめてる。それでも、傍にいたかった。

そんな夏のある日、あたしは親友の由美とランチをしていた。
恋人の浮気のことを、ただ彼女に報告するだけのあたし。
特別、気持ちを高めることもなく、ただ淡々と彼女に話す。

「困った男よね～。まぁ、メールくらい気にしてても仕方ないけどね」

泣きそうだった。

そのメールくらいに、強烈な恐怖を覚えている自分。
親友には、自分の感情を知って欲しかった。
だけど、誰かに泣きついた時点で、負けるような気がした。

氷が溶けて、薄くなったアイスティーをかき混ぜるあたし。
由美は、黙って外の景色を眺めていた。

沈黙の時間が続いたその時、由美の携帯が鳴った。

「あっいっけない！忘れてた」
「今から、約束でもあるの？」
「う～ん。」

由美は、あたしを一人にするのをためらっているようだった。
そう…由美はあたしが強がっているのを全て知っていたのだ。

「そうだ、今から会社の同期と会うんだけど…来る？」
「えっ？」

今年、由美は就職したのだが、その同期は男ばかり。
いつも「異性を感じさせない男」なんて話には聞いていたけど
出来た女でいたかったあたしは断るつもりだった。

（恋人以外の男に会うなんて…ダメだよね。）

そう思って断ろうと思っていた自分に、待ったがかかった。

浮気してるんだから、相手は楽しんでるのよ
彼は浮気をしている。あたしだって、少しは羽を伸ばしたって…。

「夜から予定があるから、それまでなら良いよん」
あたしは、軽いノリで彼女の誘いをＯＫした。

由美の車で、待ち合わせの場所へ向かった。
助手席のあたしは、国道を走る車の中で、追い越す車の中から
彼と同じ車を見た瞬間、彼のことを思い出した。

（あたしが悪いんじゃない、彼が…）

自分の心にある罪悪感を彼の罪で消していた。

そんな時、由美の携帯が鳴った。
「同期からだ。運転してるから電話でてよ」と由美が言った。
あたしは、特に拒む事もなく電話に出た。

これが…彼との最初の出会いの瞬間だ。

『お～！俺やぁ！今どこにおんねん？！』

ぶっきらぼうな関西弁。
彼女の携帯に電話してきた彼は、由美が出ていると思って
いつもの口調で話しただけだったが
なんだか、一気にテンションが上がった自分がいた。

「車だけど！って言うか、あんた誰？」
「……」

由美の電話にかけたはずなのに、由美とは明らかに違う声と口調に
彼は一瞬ひるんだが、すかさず笑いながら答えた

「お前こそ誰やねん（笑）！！」

そんな関西の彼のノリに恋人の存在が、静かに消えていた。
存在が消えたことに違和感がないくらいに、楽しい時間。
少しの間の罵声の浴びせあいトーク。

最高にして最強の二人は、史上最低の出会いだった。
だけど、心地が良かった。
こんな出会いは…人生で最初で最後だろう。

あたし達は指定されたファミレスに向かった。
待つ事10分……。

彼が来たのだ。

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