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2011/04/02

このたびの大震災で、友人の石川ゴエさんのお姉さん（利子さん）が、亡くなられました。

「（勤務先の）老人ホームに取り残された人を避難させに行く」。
とのメールを残して、行方不明になりました。
およそその10日後に利子さんが遺体で見つかりました。

それに関してこのたびゴエさんから新しい情報が寄せられましたので、記事を下に転載させていただきました。
こんな事って現実にあるのだと感動をおぼえました。

あらためてご冥福をお祈りいたします。
そして、新しい命の誕生を心から祝福させていただきます。
*******************************************************

【東日本大震災】No.42　別れの日、新しい命　「生まれ変わり」に希望

生まれたばかりの赤ちゃんを抱く香里さん（右）と夫の高橋大介さん。
娘の名前は琴音と決めた＝28日、宮城県大崎市
「無事生まれたよ」。
別れの瞬間、病院にいる妻から長女の誕生を知らせる携帯電話のメール。

宮城県女川町で母　利子さん（55）を亡くした福島県本宮市の会社員高橋大介さん（29）。
利子さんが埋葬される１時間前に新しい命を授かった。
「希望を持って生きていく」。
そう誓った。

大介さんは宮城県内の高校を卒業後、仙台市の会社に就職。
半年前に転勤のため夫婦で福島県に引っ越した。

地震発生後、女川町の実家の家族や、
里帰り出産のため宮城県大崎市にいた妻香里さん（27）は無事だったが、
利子さんだけ連絡がつかない。

携帯が通じるようになった２日後、妹の携帯に利子さんが地震直後に送っていたメールが届いた。
「（勤務先の）老人ホームに取り残された人を避難させに行く」。
それから約10日後に利子さんの遺体が見つかる。

多くの死者が出た女川町では火葬はできない。
出産予定日が過ぎていた香里さんは埋葬の場に出ることをあきらめた。
香里さんが
「最後に一目会いたかったな」
と思っていた埋葬前日の未明に、陣痛が始まった。

２８日午前９時、利子さんの初孫となる娘が生まれた。
「生まれ変わりなのかな」。
大介さんが最後に利子さんに会ったのは地震の約１カ月前だ。
「母が初孫を一番楽しみにしていたんじゃないだろうか」。
高校卒業後、あまり連絡を取っていなかったことを悔やむ。

「狙い澄ましたようなタイミングで生まれた。
　人は死んだら終わり、じゃないような気がしている」
と大介さん。
生まれたばかりの赤ちゃんを抱きながら香里さんは
「いろんな災難が重なったから、我慢強い子になるんじゃないかな」
とほほ笑む。

琴の音のように優しい子に育ってほしい。
娘の名前は琴音と決めた。

「次来るときは連れてくるよ」。
大介さんは最後までひつぎの前に残り、利子さんに別れを告げた。

http://photo.sankei.jp.msn.com/essay/data/2011/03/0329wakaenohi/