2003/10/27
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カテゴリ: 国内小説感想
 筒井康隆『寝る方法』が選ばれてるのを見て、文字通りの笑いは期待していなかった。

獅子文六『無頼の英雄』
船橋聖一『華燭』
正宗白鳥『狸の腹鼓』
小沼丹『カンチク先生』
開高健『ユーモレスク』
堀田善衛『ルイス・カトウ・カトウ君』
花田清輝『伊勢氏家訓』
筒井康隆『寝る方法』
北杜夫『箪笥とミカン』
杉浦明平『海中の忘れもの』
椎名誠『日本読書公社』


 外国人の拙い日本語に笑うというのは安易な笑いで、それだけだと後味が悪い。『ルイス・ルイス・カトウ君』のルイス・カトウ・カトウ君は、日本人キューバ移民の息子。古き良き日本語を交えつつ、拙い日本語を話す。作者と話しているうちに現代風日本語が音声感染して古き良さが失われていく様をうまく活写しているからまだ良い。


「そのころ、あなたは何をしてたの?」
「革命が学校行けチウテ・・・・・・」
 革命が学校へ行け、と言ったか。

『ルイス・カトウ・カトウ君』


 漫才にもなる。
『寝る方法』に感心した覚えがないのは、短編集「エロチック街道」の収録作品のせいでもあった。『中隊長』『昔はよかったなあ』『日本地球ことば教える学部』『インタヴューイ』『寝る方法』『かくれんぼをした夜』『遍在』『早口ことば』『冷水シャワーを浴びる方法』『遠い座敷』『また何かそして別の聴くもの』『一について』『歩くとき』『傾斜』『われらの地図』『時代小説』『ジャズ大名』『エロチック街道』一目見て分かる通り、いくつかの夢物やノスタルジー物や時代小説をのぞけば、かなり作風が被っている。『寝る方法』『冷水シャワーを浴びる方法』などはまったくの同工異曲。大昔『偏在』の意味が分からなかった。作品を書いた意味が。それでも今回『寝る方法』だけを読めば、まあまあ面白い。


 このベッドの端に生じた傾斜によって当人は床に落ちるのであるが、この時人体が受ける落下の際の衝撃の強さはベッドの高さに比例する。即ちベッドの高さが床上三十センチに満たなければ、個人差はあるものの臀部自身の弾力によって衝撃が緩和され、多くは人体の損傷を免れる。ベッドの高さが約五十センチであれば骨盤最下部にある左右の座骨に軽度の打撃を受け、一メートルの高さから落下した場合は尾底骨及び恥骨連合に受けた打撃が脊椎骨にまで達し、数分間は直立及び歩行が困難となる。二メートルであった場合骨盤の損傷は甚だしく、打撃が脊髄を通じて脳にまで及び、これは一時的な視力喪失、呼吸困難、言語能力不能、難聴などを招く。以下、高さに比例して人体の損傷はより大となり、ベッドの高さが十五メートル以上であった場合はほぼ確実に死ぬ。

『寝る方法』より


 が、やっぱり途中で飽きる。最近文芸誌に載った筒井康隆のいくつかの中短篇を読んでも、もうあまり面白いとは思えない。時が経った。少し寂しい。
 あとは『日本読書公社』くらい。


2003年 講談社文芸文庫





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Last updated  2004/10/29 01:19:01 AM
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