琴音の徒然草
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電子書籍を使うようになって、本との距離感がぐっと近くなりました。この本もその一つ。面白いって勧められたのが、今から5年ぐらい前。信頼できる友人からのお勧めだったので、興味は持ちつつもラノベでしょ?っていう偏見と、実際本屋で買うとなるとなんとなく優先順位が下がるという性質上、読んでおりませんでした。何事も、偏見はいかんよね、本当に。映画の話しで本格的に思い出したのと、電子書籍の気軽さからなんとなく一冊購入。やられました。なんだこれー!って感じです。あらすじを纏めるのは苦手ですが、ざっと書くと....。昭和最終年度に、成立したメディア良化法。出版、発表後の媒体を取り締まる、という名目で表現の自由の侵害には当たらないという苦しい言い訳のもと、これにより、合法的な検閲が可能となった日本。これに対抗する法として成立したのが図書館の自由法。「図書館の自由が侵される時、我々は団結して、あくまで自由を守る」という一文を以って。二つの組織の争いは次第に激しさを増し、図書館側は図書隊という自衛組織を持つに至る。それから30年後の世界。表現の自由、本当の差別とは、検閲が生むものとは何か?そして、自由を守るための、武力行使は、果たして「正義」なのか。こんな感じでしょうか。登場人物の事はあえて排しております。すみません。これを、ただ単に恋愛小説としてでなくて、おそらく作者の有川さんが執筆活動の中で感じたであろう、憤りや矛盾の発露として、私は捉えたので。ライトノベルの体ではありますが、この作品の持つ圧倒的メッセージはまさにそでしょう。多分ね(笑)。四冊シリーズではありますが、多分途中から続編決定したかな?一作目の図書館戦争はちょっとあっさり風味。世界観を知る、という位置づけかなと思います。なんとなく、ガイドである一作目と、残り三部作ってイメージかな。それでも十分面白いんですよ!続きを読みたい!と思わせる程度に。ただ、どうにも主人公の独りよがりの正義感が私には合わなくて。それが、二作目以降は彼女の成長に伴ってかなり読みやすくなりました。それが如実に感じたのは最終巻である図書館革命かな。有川さんは意図的に良化法に心から賛同している側の背景を描いていません。最初は、それもなんだか勝手だなぁ、面白いけど、納得できないなぁと思っていたのですが。だって、絶対悪なんて存在しないし、図書隊は正義の味方じゃないって言い切ってるのにって。相手にだって、相手の正義があるはずじゃん。でも、それは読み手がみんな主人公である郁だ、と有川さんが設定してるのかなって思ったんです。シリーズの後半も後半。四作目図書館革命。要人警後のため一般人を装った郁に、良化隊員が親切で声をかけてくれるんです。だけど、郁が一緒にいる相手が、良化隊が探していた要人だと見破られる。その時、郁は「親切にしてくれたのにごめん!でも、あなたは敵なんだ」と思いながら攻撃するわけですね。この感覚って、相手も同じ人間で、そして自分と同じだけの使命感や正義感を持ってるって認識するからこそ、でも、「敵」だって自分に言い聞かせたんじゃないかと感じたんですよね。有川さんが、この瞬間まで、一度も良化隊の善意、(それが個人であっても)を描かなかったから、余計そう思ったんですよね。郁の視点から俯瞰するから、相手の事は悪にしか見えない。でも、色々経験して成長した彼女は違う。自分の信じる正義を貫くために、泥をかぶらなくてはいけない覚悟、をほんの一瞬ですがかい間見せたというか、そういう重みに感じて。深読みしすぎかもしれないけど、でもきっとあながち外れてないと思う。悩んだり、もがいたり、辛い経験をしたり。そうやって彼女が徐々に成長していくから、後半になるほど面白いのかなって思う。それでまぁ、だからといって、検閲とか表現の自由の侵害をそれほど重々しく描いているわけでもないんですよ。御都合主義だって思わなくもない場面もあるし、なんだその後出し設定!みたいなのもある。でも、メディア規制法が話題になったり、東京都の非実在青少年問題とかを考えても、もちろんこのままの世界は極端だし、あり得ないと思うけど、この物語が訴えようとしている事は、凄く重い。それを、こういう若い子も読むであろう媒体で、彼らがとても読みやすく恋愛小説の側面も持ちながら描いた筆力にぞっこんです。ぜひ、ただのファンタジーじゃないって、こういうニュースに触れた時、この本を思い出して欲しいなって思える、若い世代に読ませたい本だと思いました。笑ったのが乞食のおじいさんのくだり。メディアミックスの漫画版で恐らく意図的にこの乞食という言葉はカットされています。出版側の自主規制だと思う。この程度で、違法な本と言われるなんて!って郁の叫びなのに、意図的に伏せられてて、現実世界で規制をかけられる。皮肉すぎる!だけど、それすらも有川さんは織り込み済みみたいで。アニメ版でも放送出来ないエピソードがあったそうです。それも、原作の中でそれこそ差別じゃないかと訴えていた事、そのものが。でも、そうやってそれがアニメにできなかった、映像に残せなかった、という事実が残るからそれでいい、とあとがきに読んで、そうか私が思いつく程度のことは、みんな考えた上なんだなーと感心しました。恋愛パートの方は、女子ですから(笑)、それはそれで楽しみましたが、やっぱり私にはそれがサイドに見える。本シリーズの後に、別冊、と銘打った続編が出てて、そっちは完全に恋愛小説です。すっかり楽しんだ本の登場人物だから、それはそれで面白いけど、やっぱり物足りないよね。有川さんも、苦手な人は逃げてーとあとがきに申しておりますし(笑)。本編はさらりと読めるし、ぜひご一読頂きたい!!映画は多分恋愛パート押しでくると思うので、ぜひ原作を!!
2013.03.28
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