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『我欲為す、我此処に在り。』 詩:犬とネコ(先) 絵:日暮里半蔵(後)欲しがることの無限大なれば、我つねに己を律せん。理を以て強慾をも制し、無の構えにて我、平常を保つなり。詰まりは我であるなり。有るものを只有るものと知り、在らぬものに心砕かれぬ。否、心砕かれぬよう日々葛藤し奮闘す。葛藤し奮闘し困窮す。元来の性分に因って生ずる惑いに困窮す。また其れも我であるなり。万物は采の如く流転し、また一刻と様相を異にする。其の刹那に或いは美を見出し、或いは無常を見出し。或いは戸惑い、或いは不動の念に至る。我、其の凡てに於て我であるなり。指針はいらぬ。神もいらぬ。Copyright(C) 2006-2008 日暮里半蔵&犬とネコ All rights reserved.
2009年01月03日
『あれから10年』 絵:日暮里半蔵(先) 詩:犬とネコ(後)リアム・ギャラガーは いつだって後ろ手に組んで歌う僕らの名曲『Some might say』のときだってそうさだからカラオケのときは僕ら いつも真似てたんだいっぱしのロックンロールスター気取り僕らそれで満足だったあれから10年耳に届くリアムの歌声は いまだ色褪ることなくデカい男が二人 一枚のアルバム手にすっかり意気投合したそれはただ 音楽を分かち合う相手が欲しかっただけなのさ歌い踊り肩を抱き 喜び笑い手をとってそうして僕ら 同じほうへと歩きはじめたあれから10年僕らが夢見た朝は いまだ輝きを放っているいまは離れ いまは互いに家族をもち後ろ手で歌い騒いだ日々も いまはもう懐かしく思え10年という歳月に いまはただ思いを馳せるだけど僕ら 追憶の中に留まるだけじゃ満足しない飽き足らぬ子どものように 新たな可能性を模索しはじめたあれから10年「何があっても俺は自由だ」って リアムの言葉が背中を押す僕らの10年追憶の日々であり礎である10年変化し影響しあいながら 僕らは常にその先へと進むだって誰かが言ったんだ 輝かしい日はきっと来るってCopyright(C) 2006-2008 日暮里半蔵&犬とネコ All rights reserved.
2009年01月03日
『その先を見たか。』 詩:犬とネコ(先) 絵:日暮里半蔵(後)真っ黒な壁に開いた、ほんの僅かな気になる隙間。その向こうに予期するものは、常にどこか抱く希望。薄荷の薫りが鼻腔をついて、僕はますます唆られる。覗いてみようか、失望するか?知れば不都合も現実となる。見ちゃいけないのだ、見ちゃいけない。…お前。その先を見たか?無垢な慈善行為の中に、何故か生まれる亡者の利潤。見ちゃいけないのだ、見ちゃいけない。自由を論ずる民主の中で、何故か渦巻く格差の矛盾。見ちゃいけないのだ、見ちゃいけない。正義の味方が暴れた後で、光差す勝者と影差す敗者。見ちゃいけないのだ、見ちゃいけない。知れば不都合も現実となる。…もしやお前。その先を見たか?Copyright(C) 2006-2008 日暮里半蔵&犬とネコ All rights reserved.
2008年07月08日
『世界塔』 絵:日暮里半蔵(先) 詩:犬とネコ(後)人はなぜ逃げる。愛する者が一瞬にして奪われる理不尽さから。自分にとって一文の得にもならない弊害から。それなりの労を要する人と人との繋がりから。つまり人は皆、解放されたいのだ。哀しみ、疑い、怖れ、そしてほんの刹那だけ抱く儚い希望。その全てを拭い捨て、悦楽に身を委ねたいのだ。ただ、楽に生きたいのだ。-だから、人は逃げる。老婆は言う。あれは人の快楽、哀愁、憎悪の成れ果てだと。生臭い人の感情が往き場を失い、ただ高く高く積み上げたのだと。世界塔の始まりは既に分からぬ、誰にも終わりは見えぬ。ただ栄華と繁栄だけを求め、上へ上へと伸び続ける。夜が更けいっても歓喜の声は消えず、始終悦楽の吐息が漏れる。私利私欲の為に一切を喰い潰し、不必要なものを蹴り落とす。結局は不必要を生むのだ。それがコミュニティである限り、光は常に影を生む。そのとき、不必要とされたものが生む哀しみ、怒り、絶望。その矛盾は熱量となり、世界塔を上へ上へと押し上げる。世界塔は逃げるのだ、絶えぬ負に覆いを被せて。ただ高くただ上へと。始まりは既に分からぬ、誰にも終わりは見えぬ。老婆は言う。あれは怯えているのだと。もはや上部の見えぬ、歪に伸びた塔を見上げて。老婆は嘆く。Copyright(C) 2006-2008 日暮里半蔵&犬とネコ All rights reserved.
2008年06月14日
『Itanji』 詩:犬とネコ(先) 絵:日暮里半蔵(後)右に習えばいいものを。閉ざした扉を開けたがる。お構い無しに噛みついて、その真実を晒け出す。覚悟しな、異端児。下手に触れると火傷する。目を瞑ればいいものを。破天荒に掻き乱す。慣例是成とする術を、「体たらく」と吠えまくる。諦めな、異端児。嘘という真実がある。早く悟ればいいものを。むやみに正義を振り回す。お前に届かぬ声もある。時に価値ある無知もある。辿り着くか、異端児。真理は常に善ではない。見極めるか、異端児。まかり通すこの世の術。
2008年03月20日
『War Is Over!』 絵:日暮里半蔵(先) 詩:犬とネコ(後)伊豆君と小田君のショートショート(伊):まー、わあわあ言うとりますけどね。小田君。(小):はいはい。(伊):ほんとまあ、争いごとが減らない!(小):いきなりなんですのん?伊豆君。(伊):せやから、戦争がなくならない言うとりまんねや。(小):ああ。その「争い」かいな。(伊):せや。ベトナムにアフガン、クウェート、イラク。 一体どんだけや!っちゅーねん。(小):…まあ、あの国もいろいろ抱えてますさかい。 そう言うてもしゃーないやろ?(伊):その考えがあかんねん、小田君。(小):…はあ。と、言いますと?(伊):同じ人間のわしらが、戦争に肯定的な部分を見つけたらあかんねん。(小):まー確かに。争いは常に悲劇しか生まんわけで…。 しかし言うことが、いつになくでかいねぇ!伊豆君。(伊):せやろ?言うことでっかく、気はちっさく!…って言わすな!(小):自分から言うてんやろ。(伊):まーしかしな。 言いたいのはこれだけやあらへん。(小):なになに?まだ何かありますのん?(伊):わしな、えーこと思いついたんや。(小):ほお?(伊):世界中の爆弾の中身を、全部うんこにするんや。(小):…何かと思たら、また小学生でも言わんようなしょうもないこと言いますなあ!(伊):そう言わんと聞いてくれよ、小田君。(小):しゃーないなあ。期待せんで聞きますわ。(伊):もし爆弾が落ちてきて、中身がうんこやったらどうする?(小):どうするかて…そら当たらんように逃げますわいな。(伊):せやろ? でも、ちょっとホっとせえへんか?(小):…まあ爆弾と思て逃げてますさかい、「うんこかいな!」ってなりますわな。(伊):そうや。 で、それがずっと続いたらどや?(小):どうやて…そら嫌でんがな。 毎日うんこが降り注いできたら、たまりませんわ。(伊):せやせや。掃除も大変やで?小田君。(小):街中臭あなるでしょうね。 …何か考えただけで悪寒がしてきたわ。(伊):それや!それやで小田君。(小):…そんな興奮して、何がですのん?(伊):そんなしょーもない争い、嫌気がさしてくるやろ? それが狙いなんや!(小):それが狙いや!言うて… まあ伊豆君の言うてることも理屈は通ってますがね。(伊):せやろ!わしゃこれで、次の衆院選、通ってみせるで!(小):なんか話がすごいことになってきましたなあ…。 そりゃいくら何でも無理でしょ、伊豆君。(伊):無理なんかあらへん。 『爆弾うんこ化案』を可決させて、次期総理大臣や。(小):そらさすがに…。(伊):いやいや、果ては世界和平統一者にまでなってやるんや!(小):『わー!伊豆、オーバー!』やなあ…。(伊)(小):おあとがよろしいようで。
2007年12月03日
『29』 詩:犬とネコ(先) 絵:日暮里半蔵(後)薄暮に伸びる僕らの細長い影がやがてひとつ またひとつと離れてく何もないちっぽけな町が 僕の全てだったあの日町のギャング気取り 縦横無尽に駆け回ってた夕澄みには晩ご飯の 心地好い香りが漂ってだからさ 早く家に帰ろう東で遊ぶなら001番地 西なら005番地僕ら秘密の集合場所も 今はもう姿を変えた駄菓子屋も酒屋も文具屋も 思い出の場所はもうない記憶と現実の重ならない 僕の町ただ家族だけは 僕の記憶のままにいる昔も今も 家族が出迎えてくれるだからさ 早く家に帰ろう純くんが結婚したって 龍ちゃんは考古学者だってあの頃のギャングたちは 町と一緒に変わっていった想像できずにいた この社会の大きさ日の目を見ずに終わる 果てぬ夢僕ら一つずつ歳をとって 僕らいつしか大人になったでもまだあの頃を いまでも懐かしく思うからだからさ 早く家に帰ろう
2007年11月03日
『talk』 絵:日暮里半蔵(先) 詩:犬とネコ(後)きみのちいさな手がぱっと開いた。いったいどんなものを描きだすのかな。きっとダヴィンチも北斎もかなわぬ大作だろう。色とりどりのクレヨンでぬられた芸術だろう。独裁者なんてめんくらってわれに帰るんだろう。さあおいで話をしよう。きみのちいさな口がもごもご動いている。いったいどんなお話が聞けるのかな。きっとシェイクスピアもかなわぬ戯曲だろう。あーとうーでおりこまれた起承転結だろう。テロリストなんて心ゆられて涙ながすんだろう。きみはまだちびだけど。たしざんは数学者にまけちゃうけど。てつぼうはオリンピック選手にまけちゃけど。そのむねにかかえた希望はだれにもまけない。その手で夢をつむいでほしい。その足で自由をふみしめてほしい。いっしょにいこう。たくさんの可能性がまっている。
2007年08月31日
『そして僕は、死んでしまった。』 詩:犬とネコ(先) 絵:日暮里半蔵(後)革命だと意気込んで、何でも派手にやらかした。深い思慮もしない僕が。僕が求めていたものは虚像だった。「上っ面を舐める程度の覚悟」と言った君。君には初めからお見通しだったんだ。僕は所詮、革命家なんかでは無かった。そんなこと、前から気付いていたはずさ。あの日僕は道を外れ、いつの間にか路頭に迷った。迷ったことさえ気付かずに。心にあったのは虚勢を張った粗雑な勇気。内面を捉えない僕にとっての唯一の武器。君の声に耳を傾ける余裕があったなら。自分の弱さを認める余裕があったなら。僕はいま、ここにはいない。独活の大木はただ、地に深く広く根を張って。その幹にすがるように僕は、静かに眠りにつく。君はそれが滑稽だと笑うのかもしれない。成れ果てた姿を哀れみ、同情をくれるかい。きっと僕には、この道しかなかった。虚勢を張り上げてきた償いさ。僕を僕以上に理解していた君。僕はただ悦に浸って、タイヤは宙を空転していたらしい。また会えたら、ゆっくりお茶でもしましょう。そして僕は、死んでしまった。
2007年08月13日
『Silent June』 絵:日暮里半蔵(先) 詩:犬とネコ(後)文明は常に肥沃な大地と水から生まれた。雨粒を懐に湛え、水流を神と讃えて。畏敬を表して崇め奉った時代。ときに傲り高ぶって崩壊していった時代。時代は常に、盛者必衰と云われるが如く流転する。まさに水の流れるが如く。我々は自然の中で生きてきたのだ。Augustには高揚。砂塵が舞い、汗とともに体に粘りまとわりつく。強い日射しに心までぎらぎらし、ずっと眠れない。渇きが躍動をよび、戦いへと駆り立てる。Decemberには愁然。枯れ落ちる木の葉に、人知れず儚さを嘆く。逝った霊と遺された哀しみの狭間で、もがきながら。礼拝堂に鎮魂歌が響き渡る。Springには平穏。生命の息吹を五感で感じたら、すでに創造は始まっている。全てに活力が溢れ、全てが充填している時間。或る者は王座に、或る者は敗者に。そしてただ、Juneには静寂。聞こえるは静かに石畳をうつ、やわらかな雨音のみ。一切は活動を停止し、ただ雨音に耳を傾ける。高揚も愁然も平穏も訪れはしない。ただ静寂の中で、雨水だけが街をしっとりと包みこんでいる。我々は季節の中で生きてきたのだ。歴史も文明も、そのからくりは造作無いものだ。我々は造り上げたのではない。雨にうたれ、生かされてきたのだ。
2007年06月20日
『ランニング・ハイ』 詩:犬とネコ(先) 絵:日暮里半蔵(後)何かを成し遂げた途端ボクらはまた次の壁を探して見上げんばかりの壁を探してそうしてひとり ほくそ笑むのさまだ埋もれちゃいられないくすぶってるのさ ボクらの中で何かがウズウズうずいてるんだそいつを形にしたいからボクらまだ 折り返してもいないからだから必死によじ登ってんのさ可能性って いまだに信じてるんだ蒼い頃に見た夢を 今でもずっと追い続けているエベレストにでも登ったような そんな途方もない夢さそれがただ 最高にハイにさせるからボクら 追い求めることを止めないんだいつも上機嫌はそのせいさランニング・ハイパンチドランカーにも似た気分さいつも前を向いているからボクら恍惚って きっとこんな時に使うんだろうランニング・フリーボクらがボクらを追い求める限りそこには無限大の可能性がある自由ってきっと そんな意味なんだろうまだ埋もれちゃいられない埋もれちゃいられないのさ
2007年06月10日
『土手に映える景色』 絵:日暮里半蔵(先) 詩:犬とネコ(後)君はまだ憶えているかな?夢も現実も詰め込んで、むずむずしながら歩いたあの日々を。眩しく照らす夕焼けが、僕らを何かに駆り立てたんだ。めまぐるしい日々の中で、君はもう忘れてしまったかな。若さ故の理想を胸に、ただただ歩いたあの日々を。夕闇がくれた物寂しさに、お互い目を瞑り合ったんだ。どうか君があの日々を、今でも懐かしく思いだしますように。眠気で意識が朦朧としながら、朝まで語らったことがあった。小春日和の午後に、公園でキャッチボールしたことがあった。買ったばかりの原付で、空港までドライブしたことがあった。陽の沈み行く河原の土手を、ただ無言で散歩したことがあった。そんな何でも無い日々の記憶が、今でも僕に力をくれます。だからどうか君も、あの日々を懐かしく思いだしますように。君はまだ憶えているかな?それともめまぐるしい日々の中で、君はもう忘れてしまったかな。進級したての春先に、僕らはいつものように土手を歩いた。そこに咲いた一輪の花を見て、君はそれを綺麗ねと言った。その言葉は僕に箱庭の幸せと、永遠ではない儚さをくれたんだ。僕らには現実性も計画性も無かった。ただ漠然とした幸福感と不安感を抱え、ただ並んで歩いたんだ。そんな夢見心地の日々が、あの土手にはよく似合う。残業帰りにふと土手を往く人々を見かけて、僕は素直にそう思った。若さ故に喧嘩もしたし、悩みを相談したりもした。いつものように流れた日々に、僕らの青春が詰まっていたんだ。今はもう会わない君。別の街に住み別の日々を送る君。今でも僕はあの日々を、懐かしく思いだしています。だからどうか君も、二度と来ないあの日々を。
2007年05月02日
『wonderful world :)』 詩:犬とネコ(先) 絵:日暮里半蔵(後)町内でもちょいと有名な偏屈爺さんは、午前4時からお目覚めだ。昨晩飲んだアルコールが、もう切れちゃったのさ。起きぬけから早速仏頂面して、手持ち無沙汰が不満なんだ。する事も無く入念に歯を磨き、何やら古新聞を取り出した。どうやら社会面をスクラップしていくらしい。爺さんこれがなかなかの社会派で、いわゆる資本競争主義論者なんだ。株の先物買いで、昔一山当てたって話まであるくらいさ。そんな社会派爺さんは、偏屈のくせしてよく老人会へ顔を出す。誰それ構わずとっ捕まえては、GDP向上論を説き回すんだ。もし捕まったらお生憎さま。苦笑するしか策は無い。結局資本競争は、アソビのない淘汰の世界さ。それを具現化してるのが、偏屈爺さんそのものさ。爺さんご贔屓の政治家は、前の選挙で負けちゃったけどね。そうするうちに空が白んで、ようやく一日が回り始めた。午前五時半の訪問者、新聞配達員の登場さ。爺さんわざわざ外に出て、直接朝刊を受け取るんだ。そのくせ無愛想は相変わらずで、挨拶も無しに貰ってく。配達員も慣れたもの。「元気そうだ。」と声をかけ、またバイクを走らせるのさ。朝の空気はまだ澱み無く、肌で感じる風が心地好い。配達員の受持ちは団地中心に約二百。単価は一件十円だ。午後もバイトに充てながら、あとは執筆に割いている。配達員は、将来小説家になりたいのさ。お金を生活費と同人誌に充て、旅行は数年出ていない。服は古着で食事も質素。それでも配達員は満足なのさ。華やかに活躍する小説家に、死んだら新聞に載る小説家に。友人はみな就職したが、まだ投稿は拾われないが。時間を惜しんで原稿を書く。それで配達員は満足なのさ。今朝の配達もきっちり済ませ、配達員は営業所へと向かう。日は確実に空へと昇り、駅へと急ぐサラリーマンも増えてきた。途中バイパス沿いの交差点で、交通指導の警官とすれ違った。配達員はアクセルを緩めて会釈をし、警官も笑顔で応じたようだ。その口元には皴が寄り、重ねてきた月日を感じさせる。今では市民を守る毎日だが、もとはと言えば刑事志望。しかし元来の穏やかさが、刑事の肌には合わなかったらしい。以後こうして街を巡り、市民の安全と自分の家庭を守ってきたのさ。勤続年数早二十年。家庭ができて十五年。見合いで出会った年上妻と、十五才になる息子が一人。昔は家族旅行も行ったもんだが、今では誰もついて来ない。仕方無く遠場の温泉へ行き、独りのんびりするのが趣味さ。息子は親父の背中を見つめ、警官には夢が無いと言い回る。妻は旦那の給料見つめ、笑顔だけがアンタの取り柄と言い回る。だから警官はふと思うのさ。何のために働いてるんだってね。街は徐々に色彩を深め、どうやら昨日に続いての快晴になりそうだ。朝のラッシュも収まりを見せ、警官はけだるさを土産に暑へ帰る。中では若手の同僚が、ホットコーヒーで迎えてくれた。朝飯がわりと言いながら、ピザ宅配まで頼んだらしい。若者の嗜好は理解できぬが、その気遣いは嬉しいもんさ。間も無くピザ屋がやってきて、もっちゃりしたピザを置いてった。拍子抜けするほど脳天気な「まいど!」を残し、ピザ屋は暑をあとにする。午前中の宅配に、さほど需要があるわけもなく。ピザ屋は時間を持て余し、のんびりバイクを走らせた。流れる風景は飽きること無く、その時々で季節を感じさせる。日の光を切り取った、街路樹の篭れ日が実に美しいんだ。波止場から吹き抜ける海風も、全身を柔らかに包んでくれる。ピザ屋は五感全てで季節を感じ、持て余す時間を楽しむのさ。何かに責務を負うわけでもなく、何かを熱望するでもない。何かに怒りを覚えるでもなく、何かを羨むわけでもない。フリーターと呼ばれていようが、そんなのピザ屋はお構い無しさ。時間は自分を主体に流れ、その一つ一つを楽しんでるんだ。就職率の向上だとか、全くどうでもいいことなのさ。それより篭れ日の眩しさが、生きてる実感を与えてくれる。しばしの散策を楽しんで、ピザ屋は店へと辿り着いた。日は頭上へと射しかかり、昼の宅配が増える時間だ。さっそく次の注文を受け、ピザ屋はバイクに乗り込んだ。海岸通りのバイパスを抜け、住宅街へと走らせる。右手を過ぎる造船所から、サイレンの音が聞こえてきた。ラインを止めて、工員に昼食を告げる合図なのさ。間も無く配達地は見えてきて、ピザ屋はバイクを脇へと寄せた。小高い丘に建つそれは、いかにも高級なマンションだ。五○六の注文客は、いかにも気の優しそうな主婦に見えた。さも楽しげに満面の笑みを浮かべ、代金と品物を交換している。それもそのはず、頼んだピザは来客用なのさ。毎週恒例のお楽しみ、主婦仲間が介しての雑談会なんだ。芸能面から社会面まで、談義のジャンルは幅広い。持ち回り制のその会は、今回はここが会場らしい。サラダにコーヒーにケーキ、それから話の種。必需品が全て揃うと、主婦はソファで来客の到着を待った。リビングに置いたワイドテレビが、いつもの茶の間番組を映している。電話片手の司会者が、視聴者の悩みを聞いている。昔は陰気に感じたこれも、今となっては楽しみの一つさ。それが深刻な悩みであるほど、他人事なら面白い。就職難の時代に入社した証券会社で、今の旦那と知り合った。キャリアウーマンを夢見なくもなかったが、結局家庭と育児を選んだんだ。自ら可能性を潰すなんて滑稽だと、同期に散々揶揄された。それでも主婦は迷わなかった。それが悩んだ末の決断だったからさ。そして踏み入れたこの主婦の世界。初めは張り合いの無さに辟易したが、今では居心地の良さを感じている。四才の娘を園へと連れて、それから掃除に洗濯をする。地域活動にもきっちり参加し、ご近所付き合いも忘れない。確かに生活はがらりと変わり、昔のような自由もきかない。それでも神経を尖らせて、書類に追われる事は無いんだ。。結局何に幸せを感じるかの違いだと、主婦は考えている。それを箱庭の幸せと呼ぶ人もいるが、幸せに変わりは無いのさ。司会者のアドバイスが曖昧だったところで、玄関のベルが鳴り響いた。主婦仲間たちのご登場だ。はじめに主婦の料理品評があり、続いていつの間にか雑談会になった。堰を切ったかのように話は流れ、めまぐるしく話題は移る。近所の噂に旦那の誉め合い、かと思えば料理品評といった具合さ。日は次第に傾き始め、部屋に西日が射してきた。誰が始めたか自然発生か、話題の中心は支店長になった。最近バイパス沿いに進出してきた、大手スーパーの支店長。まだ三十台後半の若手店長は、業績を買われての抜擢らしい。この高級住宅街の激戦区で、何とか成功させようと必死なのさ。毎日深夜遅くまで、チーフたちと会議を重ねてる。どうすれば客引き合戦を制するか。支店長は思案の末に、一つの答えに行き着いた。それが大手ブランドのイメージ強化。大手の安心感と品の良さを、全面的に打ち出す作戦さ。俗な音楽や呼び込みはせず、代わりにヒーリングミュージックをかけた。ともすればラウンジにいるような、そんな雰囲気づくりをしたんだ。構想は着実に計画化され、全ては順調に進むかに見えた。しかし唯一最大の難関が、支店長を大いに悩ませている。施設や機器は技術者が、うまくバックアップしてくれる。しかし人の変革は、そう簡単には進まない。昔気質の従業員を、これからどうしていくべきか。大衆性や威勢のよさなど、今さら時代錯誤なのさ。だが支店長の若さが故に、ベテランへの指導は困難を極める。己の出世の踏み台にするなと、散々現場と対立してきた。ただ、企業利益の追求と個人的地位の向上には相関関係がある。企業に従属していく限り、どこかで恨みは買わねばならぬものだ。支店長はどこかで割り切りながら、しかし打開案は浮かばずにいる。今夜の会議も平行線で終わり、支店長には疲労だけが残った。店内を一通り見回して、それから徒歩で自宅へと向かう。海岸からくる夜風が、疲労を心地好く癒してくれる。自宅までの数百メートルが、全てから解放される僅かな時間さ。時に旧友を思い出し、時に故郷の家族を思う。たまに波止場へ立ち寄って、ただただ煙草をくゆらせるのさ。嘘みたいに明るい街灯の下で、支店長はランナーとすれ違った。無心に見えるその姿からは、張り詰めた空気さえ感じさせる。ランナーは前を見据え、ただひたすらに走る。その一歩は地面を踏みしめ、ただ前へと進ませる。次の一歩もまた繰り返し、体はリズムよく推進力を維持し続ける。その一歩に迷いはない。ランナーに迷いはない。ただ走ることを目的として、体は全機能が活動する。脳は筋肉を収縮させ、肺は酸素を取り入れる。視覚は徐々に鮮明になり、聴覚は研ぎ澄まされる。ランナーはその全てで走っているのさ。そこに何かが入り込む余地は無いんだ。見栄や欲や願望ですら、ランナーにつけ込む隙は無い。ランナーは己自身を見つめ、ただ前へと進んでゆくのさ。お互いの腹を詮索し合う、煩わしさも追いつけない。同質なものしか受け付けぬ、厭らしさも届かない。ランナーは一切を振り払い、走ることそれだけに身を委ねる。脳裏に浮かぶ、過去の残像はない。将来に抱く、慎ましやかな展望すらない。踏みしめた一歩が過去であり、踏みしめる一歩が未来なのさ。走ることがランナーを位置づけ、それ以上の付加はない。街がそろそろ静まり始め、頭上に高々と月が昇った。ランナーはいつもの行程を走り、それからゆっくりダウンを始める。夜風の中にただ身を任せ、手足の感触を確かめた。ランナーがストレッチに移った頃に、怒鳴り声が響きわたった。酒に酔った爺さんが独り、何やら喚き散らしている。どうやらいつものスナックで、今日も泥酔したらしい。おぼつかない足取りで、右に左に蛇行している。威勢はいいが情けなく、舗道の段差につっかかる様さ。八つ当たりに看板を蹴り飛ばし、今度はそのまま転んでるんだ。町内でも有名なこの偏屈爺さんは、酒が入るとお手上げさ。下手に構うと馬鹿を見るので、誰一人として面倒見ない。おまけに愛想無しの仏頂面。手助けしても礼すら言わず、皮肉を言われる有様なんだ。唯一新聞配達員が、朝から声をかけるぐらいさ。そんな偏屈爺さんだけど、実は寂しいだけなんだ。若い頃は政治家を夢見て、経済学に打ち込んだ。自己表現は昔から下手だが、胸には熱い信念があった。しかし保守的なこの街では、爺さんの理想は受け入れられ無かった。画期的なその資本競争論理は、逆に爺さんを孤立させたんだ。結局爺さんは工場に勤め、退職するまで働いたのさ。決して不自由は無かったが、爺さんは人生の夢に破れた。さらには唯一の理解者だった婆さんを、数年前に病気で亡くした。分かり合える相手を失い、爺さんは独りになったのさ。どうしていいかも分からず爺さんは、ただ孤独と向き合うんだ。町内でも有名な偏屈爺さんは、実はただ寂しいだけなのさ。お得意の経済論を説き回すのは、ただ誰かと話したいから。毎晩泥酔してしまうのは、ただ孤独から逃れたいから。残念ながら今のところ、それを理解できる人間はいない。完全な千鳥足ながら、爺さんは何とか家へと着いた。相変わらず威勢のよい声で、何やら喚き散らしている。朝の飲み残しの茶を飲み干すと、爺さんはふと仏間へ目を移した。写真立ての婆さんが、穏やかな表情で微笑んでいる。結婚四十周年の記念に、二人で行った旅行の時の写真さ。爺さんは急に静かになって、無言のまま布団へ入った。間もなく聞こえる寝息の中で、爺さんの表情は穏やかだったのさ。みんな、どんな夢を見るだろう。また朝が来る。
2007年04月22日
『解脱!!!』 絵:日暮里半蔵(先) 詩:犬とネコ(後)●崩壊に至る概要旧西暦2053年7月3日。地球人口は遂に100億人に達した。人口増加に対し、何ら抑制策が取られなかったわけではない。国連は2012年から継続して、人口抑制の提唱を行っていた。しかし肝心の、根本的な問題が解決されなかった。つまり貧富の差はますます拡がり、発展途上国は労働力を求め続けた。国連主要国の裏腹な態度が、人口増加を黙認する形となった。爆発的人口増加に伴い、化石燃料を始め天然資源が底を尽いた。人類は新たに光と化学に救いを求め、技術開発に労を注いだ。しかしオゾン層の破壊と温暖化の問題は、全く解決されていない。オゾンホールはもはや北極圏だけに止まらず、年々拡大の一途を辿った。地表には紫外線をはじめ、多量の有害線が降り注いだ。核化学エネルギーの開発にも、大きな落とし穴があった。核廃棄物の埋められた地中で、想定外の地殻変動が起こったのだ。廃棄物の一部が海洋に漏れだし、甚大な海洋汚染を引き起こした。海洋生物は死滅もしくは奇形し、母なる海は過去のものとなった。『人民の、人民による、人民のための政治』古典に登場するこの台詞を、こう引用する倫理学者がいた。「人類は地球までも『人類の人類のための』ものだと錯覚した」と。空と海を失い資源を喰い潰し、未来はもはや風前の灯であった。ある者は未だ科学力に救いを求め、ある者は宗教に安堵を求めた。人類が己の傲慢さに気付いたとき、すでに地球は修復不可能だった。地球は劣悪な状態に置かれていた。(ユリシス考古学班第3次調査報告 参照)●アレクサンドラ*の日記(*人名と思われる。第4殻層より出土した書物より抜粋。)―7月6日―麦が手に入った。裏市場の物価高騰は、嘆かんばかりである。気の重くなる話題ばかりが続き、思わず滅入りそうになる。そんな中、久しぶりに興味深いニュースがあった。北極星から南南東の方向に、新たな恒星が突如確認されたそうだ。―7月8日―中国で台風が発生し、上海ではビルが倒壊したそうだ。爆静策も効かないほど、巨大化しているのだろうか?おとついのニュースも不穏なものに変わった。恒星は地球に近付いてきているらしい。事実、昼間だというのに赤々と光る星が見えるようになった。妻が気味悪がっている。私も動揺しているのが自分で分かる。落ち着かねば。―7月11日―この数日で状況が一変した。何から書くか…とにかくペンをとる。例の恒星は、もはや星では無いことが肉眼でも分かるようになった。空の半分を埋め尽さんばかりに膨れ上がっている。中で何かがうごめいているが、それが何なのか定かではない。アメリカが調査を続けているそうだが、無意味に思える。何か不吉なことが起こる…そんな気がしてならない。テレビが映らなくなったのは、地磁気異常のせいだと聞いた。おかげで詳細が伝わってこないが、一体どうなってしまったのか?怯える妻を落ち着けたいが、正直私にも対処法が分からない。季節は夏だというのに、静電気がよく起こる。―7月12日―昼に山羊の肉を食べた。貯金が底を尽こうとしている。状況は昨日と変わらない。政府から非常事態宣言が出された。―7月13日―(一部不明瞭な箇所あり)なぜペンをと(るの)か。記ロクでき(以下不明瞭)時計は午ゼン10時すぎ。空が白い。まぶ(しくて)目が開けられない。手がしびれる。何なのか分からない。(10時?)40分だ。あの星、人が出てきた。大きい。雲がわ(以下不明瞭)暗い。妻は?大(き)い人だ。ダメだ。おわりにち(以下不明瞭)風かツヨい。飛ば(されそ)うだ。50分。口をあけた。吸われて(いる?)耳がイタい。イタくてめ(以下不明瞭)もうだめだ。吸(以下不明瞭)いの(以下不明瞭)●蘇生の過程ならびに見解旧西暦2053年7月6日地球蘇生プログラム(通称:アンゴルモア)展開。カトリック系キリスト教会によってプログラムされたとされる。プログラム時期、方法、目的背景など詳細は不明。上空約21000m付近で化学組織が構築され始める。地上からは恐らく輝く星のように見えていたと推測される。組織生成に伴って徐々にアンゴルモアは肥大。5日後の同月11日には、およその形態が完成。・7月13日(以下略)午前10時7分頃アンゴルモア実体化開始。実体化に伴う化学反応により強烈に発光。空全体が白く霞んでいたことが記録されている。また振動波により空気が摩擦を起こし、静電気を発生。程度によっては火災が発生したことも考えられる。・同39分アンゴルモア実体化。同時に発動エネルギーを充填し始める。外見は人型をしており、胸部までが地上からも確認できたようだ。気圧の急激な変化により、実体化から数分後には乱気流が発生。高層ビルが倒壊したことが記録に残っている。その被害状況から、風速は90m毎秒と推定。・同47分アンゴルモア発動。同刻蘇生吸引を開始。人工生成物質等がアンゴルモアによって吸引、原子分解される。吸引対象は教会によって有害指定されたもの、との見解が有力。尚、人類自身が指定されていたかどうかは定かではない。ただし説法から判断しても、指定外という見方が一般的である。また強力な吸引によって、急激な気圧の低下と低酸素状態が発生。人々の多くは、ここで意識を失ったのではないかと推測される。人的被害の大半は、建造物倒壊や吸引に巻き込まれたもの。・同53分蘇生吸引完了。大半は吸引分解され、生存者は山間部に約2%であった。同刻アンゴルモアは蘇生措置を開始。吸引分解された原子物質が、蘇生エネルギーとして吹き出された。この息吹により、現在の環境が生成されたと考えられている。酸素濃度上昇、森林蘇生など、環境修復内容は多岐にわたる。・同56分アンゴルモアプログラム終了。人型のプログラムは雲のように跡形無く消え去った。何事もなかったかのように、そよ風が吹いたとの伝承がある。(ユリシス環境分析班『環境蘇生過程解説』 参照)●石碑*に刻まれた言葉より*旧チリ領アンデス山麓に現存。現在のオムド系を担った生存者が刻んだとされる。『あの日我が身に起こったことは、我々の常識を凌駕していた。否、我々は全知全能だと思い込んでいたのだ。ただ一つ言えることは、神はやはり存在した。我々を知り、我々を正しく判断したのだ。』
2007年04月20日
『THE・ビューチフル』 詩:犬とネコ(先) 絵:日暮里半蔵(後)美しいものは否応無く 直に心へ響くものだ美しいものに 野暮な言葉や解釈などいらない「ああ。」ただこう表現すればよいめずらしく早く起きた 寝覚めのよい朝勢いよくカーテンを開けたときのあの朝焼け格好ばかりの音楽に 疲れはじめていた思春期深夜のラジオからふと流れてきたボヘミアン・ラプソディ目的無く訪れた 晩秋の京都紅葉舞う薄靄の中 独り佇む南禅寺の朝それは思わず 鳥肌を立てる美しさ人は手の届かないものほど そこに美しさを感じるそしてまた手の届かないものほどどうにかその域に近づこうと 試行錯誤するものだその姿こそ最も輝かしい THE・ビューチフル
2007年04月06日
『ゴッド・ブレス・ユー』 絵:犬とネコ(先) 詩:日暮里半蔵(後)1・2・3・4!さあ行こう、花の生る大地へ太陽の光が僕を包み僕は足元から震えるのささあ!僕を讃え僕を敬い僕に息吹を靴紐が解けて足元に絡みつきそうだけどそんなのお構いなしに向こう岸まで飛んでしまうんだあの向こうにいる神に逢いに1・2・3・4さあ行くぜ、唄の鳴る大地へ風の声が僕に力を僕は地を蹴り突っ走るのさそう!君を讃え君を敬い君に息吹を慣れない言葉で舌がどうにかなりそうだけどそんなの関係ないよ向こう岸まで叫んでしまうんだあの向こうにいる君に愛を
2007年03月17日
『deep life』 絵:日暮里半蔵(先) 詩:犬とネコ(後)停滞ヲ普遍ト呼ベ 退化ヲ前進ト呼ベ鼻高々のエイリアン。「世界平和」なんて大義ブン回しちゃって。正義と名付けたストローで、オイルがぶ飲みしてやがんだ。ボクにはそいつが気に喰わない。歪んじゃってるヒューマニズム。「来るもの拒まず」で供給多過なのさ。芳潤な香りのペーパーで、おケツごしごし拭いてんだ。ボクにはそいつが疎ましい。―だからさ。こっちへおいでよ。アカもタカもないボクらの世界へ。「喜怒哀楽」で生きていけんのさ。自殺なんかするもんかね。待ってるよ。苦悩も無能もないボクらの世界で。「疑心暗鬼」なんかありゃしないのさ。テレビなんか壊しちまいなよ。コンニチハ トモダチ サヨウナラ ジンルイ
2007年02月26日
『らりほー』 詩:犬とネコ(先) 絵:日暮里半蔵(後)ひゅるりら 夜風は予想以上に冷たく僕はコートの襟を詰めるのです思い斜せるは 寂しさを知らぬ日の記憶ひゅるりら 僕の胸を突き ポケットに手を押し込めたのですはらり ひとつぶの涙が 心に凍み入り僕は感情と 睨めっこするばかり沸き上がる違和感に ただ身を任せるしか術はなくはらり 心に平穏をそう 君の手が温かいのですらりほー いまは眠らせて僕は詫びしくて たまらないのです母の母体で安らぐ 胎児のようにらりほー いまは眠らせて僕の平穏はつまり 君なのですらりほー 包まれる安堵の中でいまはただ ゆっくりおやすみなさいらりほー
2007年02月12日
『30数年』 詩:日暮里半蔵(先) 絵:犬とネコ(後)30数年の日常二日酔いの頭を抱え寿司のように列車に詰まれ前にいるオヤジの臭い体臭を嗅ぎ覚えのない痴漢に間違われ1時間列車に揺られ会社へ、駅より徒歩20分たいしたことのない朝礼に拍手をし面白くもない話に笑い楽しくもないのに笑顔を浮かべ悪くもないのに頭を下げすりたくもないゴマを擂り旨くもない酒を飲み聞きたくもない自慢を聞き飛び出ようとする手を必死で押さえ飛び出ようとする言葉を必死で飲み込み飛び出ようとする涙を必死で堪え30数年の日常必死で過ごしてきたこの30数年そうやって支えてきてくれたから僕らは幸せに過ごせました僕らは和やかに過ごせました僕らは笑顔多く過ごせました。ありがとうこれからは自分のために生きてください。
2007年01月12日
『sing a song freely!』 絵:日暮里半蔵(先) 詩:犬とネコ(後)ジャニス・ジョプリンの「Cry Baby」って聴いたかい?それはもう、なんてヘヴィな魂の叫びさ。生涯孤独のまま、麻薬で逝ってしまった彼女。だから命の瞬きをあらんかぎりで歌にのせて。そうだよ、それが魂(soul)なんだ。魂を解放して、心の底から叫んで、闘って闘って、いずれ果てるまで。悩みごとなんか、いつだって僕等には付きものさ。どうにも敵わないものだってザラにある。それでも鬱になんてならず、ただがむしゃらに光を掴もうとするんだ。一喜一憂の毎日。素晴らしき人生。そうさそれが全てさ。魂を解放して、心の底から叫んで、闘って闘って、いずれ果てるまで。ジェット機が高層ビルに突っ込んで、無数の命が失われた。粋がった独裁者はいまも、核武装を続けている。僕等には到底太刀打ちできなくて、ただただ怯え祈り願うばかりさ。けれどその儚さの中に、正しさを主張する心がある。いくら子どもじみた悪あがきだって、決して諦めやしないよ。魂を解放して、心の底から叫んで、闘って闘って、いずれ果てるまで。つまり言いたいことはさ。世界平和だって何だって変わりはしないってことさ。確かに英雄でも大統領でもないけれど、また確かに僕等はここにいる。その僅かな瞬きの中で、あらんかぎりで自己表現していくんだ。それが言葉であれ歌であれ何であれ、僕等にはいま自由がある。だから感性を燃やして、主張して、叶わずとも。そうさ僕等のブルースには一点の曇りもない。魂を解放して、心の底から叫んで、闘って闘って、いずれ果てるまで。そうだろ?ジャニス・ジョプリン。僕等に与えられた自由さ。
2006年11月06日
『Re:』 詩:犬とネコ(先) 絵:日暮里半蔵(後)テレスポワール 白亜の迷宮無尽蔵に人を呑み込む過度に研ぎ澄ました感性 諸刃の切味を君にいま 君に伝えよう喋りすぎて 舌が千切れたと伯母さんが騒いでた千の神々に御魂を捧げ信仰という名の逃避を続け空想の中で 安堵に溺れ蹲るそれが過ちならば これから何と言い逃れよう千切り取れた 伯母さんの舌が綺麗に二つに割けている歯茎の黄ばむ愛煙家 香水のきついベジタリアン 右に流れる労働組合さも愉快にお膳を並べ 肘突き合わせ同じ顔してポリシーを喰らう馬鹿げてはいない 天体を二次元で結ぶ行為に似て位置こそ違えど 所詮は異音同義3カウントでマットに沈む原子配列で構成される物質赤黄青から成る 原色の羅列小鉢に文明という構成要素を添えて視覚が捉えた化学式で 雲は鮮やかに沸き立つ伯母さんの舌先ですら 蝶結びで飾ればそれなりのものさテレスポワール 思考域の神髄老いし日の自分を重ねて 人を呑み込む伯母さんなら ついさっきいってしまったもう 帰ってこないさ
2006年10月29日
『座る人』 絵:日暮里半蔵(先) 詩:犬とネコ(後)もう数日、こうして剥がれ落ちてしまった断片を探し続けている。どっしりと影を伸ばす楓の木々。その落葉一枚一枚を捲ってみても、やはり探し物は見付からずにいる。ならば脳裏の影、心の闇、感情の制御装置。遺失物はどこへ紛れてしまったのだろう。ここ数日、喪失感で空いた心の穴を埋められずにいる。遺失物を探し求める行為はどこか、鼻先に下げられた餌を追い続ける動物のそれに似ている。たぶん永遠に叶わないと気付いていながら、もはや止まることの出来ぬデキレース。追い求めることで存在意義を感じたい。心に空いた喪失感を塞ぎたい。方法はいつしか目的へとトリップしてゆく。そうしてやがて、あれほど取り戻したかったハズのもの。遺失物が何であったか、忘れてしまう。感情の電源を落とし、希望悲観その他一切を停止した。それは気持悪いほど関節の動く操り人形だ。いびつに歪んだ次元の隙間から風が吹き込んできて、肩を撫で髪を揺らし、「いい子ね。」と慰みをくれる。造作無く置いた足元ではいまも、微生物が腐葉土を精製している。分解し熱量を生み、癖の強い方順な香りを漂わせている。死ぬまで永遠に止むこと無く腐葉土を精製し続けている。そこに懐疑や困惑、難解な論理など存在しない。腐葉土を精製し尽して、そして死ぬ。生とはただ、1%の死に向けられた99%なのだという本質。八日目、予想に反し心地好い風が頬を霞めた。それでいいのかもしれない。剥がれ落ちた断片など、初めから無かったのだ。走馬灯に描かれる陽炎のようなもの。その中に私は、私を見つけた。
2006年09月29日
『What do you want to?』 詩:犬とネコ(先) 絵:日暮里半蔵(後)やらかしちまった夏の午後。ネクタイ緩めてまず溜め息…。何てか自暴自棄気味に地球蹴跳ばす。膝に返ってくる痺れは自業自得。「お前がちょんぼしたんだろ!」って。百も承知よ。…んで溜め息。さっきよか深いヤツ。唐突に「グァー!」つって顎捻って。んで乗車。とりあえず帰社。やっぱりきたよ!部長のツラが浮かんできたよ!唾飛ばして怒鳴っているよ!中指出して部長の眼球にアタッ!目潰し!!…ってなイメージでカーステオン♪ ←(実際にクリックすると楽曲が流れ、臨場感が味わえます。)…。ふぅ…。…………。…ん?なんだ?…なんかノってきたよ!?音楽一つで高揚してきたよ!アクセル踏む足がリズム刻んでいるよ!同調して車もガクガク揺れてるよ!!ハンドル持つ手がリズム刻んでいるよ!同調して車も左右に蛇行しているよ!!ごらん窓の外。庭木職人が鋏相手にツイスト踊ってるよ!信号待ちのチワワがタップ踏んでるよ!あぁ。あそこ!婆ちゃんが乳母車振り回してるよ!蝉捕りの少年が虫網で母親ゲットしたよ!見て見て音楽が!音楽が老若男女万物の垣根を越えてるよ!ほらこっちも!反ニュートン思想のリンゴが宙に浮かんだよ!シャム猫が小意気にムーンウォークで散歩してるよ!音楽が鬱憤を。音楽が第六感を刺激して。音楽がいま全ての常識を無にしているよ!なんだちっぽけなことなんてもう!音楽サイコー♪
2006年09月02日
『night road』 絵:日暮里半蔵(先) 詩:犬とネコ(後)俺はモグラ。別にそれでいいだろ。名前なんか大した意味あんの?仲間内じゃそう呼ばれてんだよ。喧嘩は御免だよ。非生産的さ。つーか野蛮なんは嫌いなんだ。手ェ出すのは所詮小動物でしょ。どっかのボクサーはただの馬鹿さ。好きじゃないね。昼間はバイトやって、残りは賭事。夏の陽射しなんか勘弁してほしい。だって俺モグラじゃん?だから夜に棲んでんだって。夜だから見える奴がいる。少なくとも俺はそう思ってるよ。マルボロ吹かして笑ってりゃいいさ。そうさ悪くないだろ?行末ばっか見て焦んなって。どうする?ってどうもしなくていいサ。お利口に順番と機会を待ってんだ。まだ俺の出番じゃないってことさ。ダチと連れて夜に溶けるんだ。これ以上のものがあるかよ。だってそうだろ?いつだっていっぱしの王様気取りなんだ。天地が返ってもそうしてやるさ。結局毎晩繰り返してるのさ。価値なんか利己的で無意味だよ。そうさ俺はモグラ。視界は今にだけ開けてんのさ。
2006年08月22日
『healthy,correctly&industry.』 詩:犬とネコ(先) 絵:日暮里半蔵(後)7時間の睡眠をとり 寝過ぎず 減塩に努め朝刊はまず社説から coffeeを飲む 砂糖は入れずscheduleはある 無駄な夢は見ず 質素に野心などない 倹約家であり and industry.no desire.ignore.accept to all.まずdeskの整理 take a lunch just 12:00am. work seriously.事は客観で捉え try to do correctly.and analyze cause.get home.at first,weigh myself.and choose today's dinner.no desire.ignore.accept to all.endeavor to exercize.low calorie life.drink a glass of beer.sleep about 11:00pm.brush teeth carefully.and nice dream.healthy,seriously life is my all.repeat everyday.repeat again.again.again.again....
2006年08月19日
『海の音、空の色』 絵:日暮里半蔵(先) 詩:犬とネコ(後)海へいく。喧騒と煩悩を捨て、僕は海へと向かう。蒼く輝く夏の色、白く澄んだ夏の匂い。それが図らずも僕を誘い、今それ故に海にいる。騒ぎ立てる初夏の波打ち際。内に押し込んでいた躍動が疼く。暑さと煩わしさを脱ぎ去り、僕は一息で海へと飛び込んだ。- その瞬間、聴覚の奪われる静寂。外界から切り離される閉塞感。同時に感じるもの全て手にした満足感。そうだ、これが海!これこそ解放感!疎ましい現実は取り敢えず置いて、僕はいま海と一つになる。帰ってきたよ。ただいま!
2006年07月28日
『人造人間 須田君13号』 詩:犬とネコ(先) 絵:日暮里半蔵(後)須田君13号は人造人間。『高齢化に伴う労働力低下対策』って偉い人が造った。須田君13号は13号だから人工樹皮で覆われてる。ちなみに1号は鉄骨歯車剥き出しのダサい格好。須田君13号は人並に動き人並に疲れて肩がこる。温泉も効く。微妙に現実性を求めたため食事も三食きっちり採る。さらに須田君13号の好みは刺身。微妙に金がかかる。よって須田君13号は肩身が狭い。「インフレ抑制のため利潤は還元されねばならない。」偉い人のロジックが須田君13号を苦しめてる。だって人造人間が刺身を好むなんてナンセンス。論理と現実の隔たりに須田君13号は板挟みだ。しかも利用者は利用こそすれ恩恵は感じてない。須田君13号はもはや忠実に働いて当然の存在。働かねば失格の烙印を押されちゃう。これが1号の時は違った。みんなちやほやしまくってた。ダサいくせに料理の味付けが絶妙だって褒めちぎった。2号は鼻歌が歌えるようになって売れまくった。でももう13号。12号と違うのはいびきを掻くことだけ。微妙なバージョンアップだ。そんな違いで売れるのか全く。さらに「13号は故障する番号だ。」なんて言われてる。須田君13号は宇宙になんていかないのにさ。いびき掻き刺身好きの須田君13号。双方の思惑の狭間で立場無く肩身が狭い。荷を運び洋裁し淡々と明日を迎える。須田君13号は存在意義を模索している。誰かそんな須田君13号を慰めてやってくれませんか。温泉に浸かり気を晴らして励ましてやってくれませんか。…え?励ますのも人造人間ができるって?
2006年07月11日
『誰が為に銃は鳴る』 絵:日暮里半蔵(先) 詩:犬とネコ(後)気付けば男は朽ち果てたビルにいた。もうどれだけ走っただろう?疲れ果て、鉄骨の剥いた壁にもたれかかる。コンクリートの無機質な冷たさが気持ちよかった。そのほんの刹那。緊張は解れ、不意にも男はその場に坐りこんでしまった。粘りつく汗と土埃を手の甲で拭い取り、煙草を取り出す。頬をなでる微風が心地よかった。強い日差しの中、雑草が風に揺らいでいる。その音を耳に煙草を強く肺まで押し込み、そのまま天を仰いだ。次第に意識は薄れていった。どれだけ時間は過ぎただろう?辺りはまだ明るく、蝉の鳴く声が聞こえる。どうやら疲れ果て、寝入ってしまったようだ。周囲に人気の無いのを確認すると、男は煙草に火をつけた。涼しい風が吹いている。土埃を皮膚に粘着させ、吹かす煙を掻き散らしている。蝉の鳴く声と地を這う風の音。男は廃墟の中で、違和感すらある静寂を感じていた。遠くで人の駆ける乾いた足音が聞こえてくる。風向きが変わったのだ。次いで甲高い叫び声と銃声。男は煙草を揉み消し、身を硬くした。脳は一気に冴え、聴覚に神経を集中させる。恐怖感に包まれていくのを感じる。心臓の鼓動と息遣いの荒さを感じる。ごく近くで炸裂音が轟いた。人の呻く声が聞こえた。一体なぜこんなことになってしまったのだろう?男は運搬業に従事する小市民であった。細やかながら満ち足りて生きていた。それがなぜこんなことに?俺はなぜここで身を硬くしているのだ?俺はなぜ怯えなくてはならないのだ?もはや発端の見えぬ自問を繰り返す。ただ男の右手には、45口径の銃が強く握り締められていた。聞き慣れぬ言語を発し、数名の声が近づいてくるのが分かる。やがて足音がじょじょに近づいてくる。男の鼓動は一層高鳴り、吐気すら覚えた。否が応にも、過去は走馬灯のように流れる。俺には家族がある。満ち足りた場所がある。なぜ俺がこんな目に?無党派で我も強くない俺がなぜ?男の顔は恐怖と悲壮でぐしゃぐしゃになっていた。政治家はきっと今頃、贅沢な昼食に満足しているだろう。夜の悦楽を夢見て、昼寝でもしているだろう。俺達は所詮チェスの駒なのだ。俺は何を守ろうとしている?薄汚い政治家か?愛すべき家族か?自尊心か?男の思考は次第に錯乱し、目蓋が痙攣を始めた。溜息をつき、ゆっくりと煙草をくわえる。マッチを擦る音が、廃墟に虚しく響いた。寄り掛かる壁の背後で、遂に足音は止まった。不思議と鼓動は納まっていた。目蓋の痙攣が止まらない。もうどうでもいい。男は立ち上がり、勢いよく後ろへ振り返った。機関銃を構えていたのは、まだあどけない少年達であった。廃墟に銃声が鳴り響いた。
2006年06月30日
『光とは』 詩:犬とネコ(先) 絵:日暮里半蔵(後)迷いなく善しとされるものへ導く光無駄なく確実に 僕は歩を進めてしまう称賛を浴び享受される充実へ誘う光僕はそれが とてつもなく羨ましいものに思えてしまう幸福へ至る筋道を照らす輝かしい光其処に射す影を 僕は見過ごしてしまう光とは光とは つまり往く先を示す道標なのだろうか一寸先も見えぬよう覆い隠す暗闇僕は及び腰に 手探りで歩を進めてしまう確かに在るものを否定するかの如く拡がる暗闇怯み怖気づき 僕は後退してしまう終着の有無すら知らぬ底深い暗闇僕は無意識に 其処にある影を拾っていってしまう光とは光とは つまり探り進む自分なのだろうか路を踊る陽炎 落日を演ずる夕闇光はまた 同時に影をも生む光は何故 此処に在る僕の求める 光とは
2006年06月19日
『その風に香るもの』 絵:日暮里半蔵(先) 詩:犬とネコ(後)人間は生まれながらに孤独だと云う。恋人、友人、家族でさえ、真の理解者とはなり得ないのだと。だから僕は、その孤独を受け入れようとしてきた。悲しみ臆するのは、幸福を乞い欲する裏返しなのだと。ならば感情を覆い、無欲の孤独に耐えよう。哲学者ぶりストア説に浸り、僕はその真似事に興じた。それが可愛さあまりの過保護なんだと、どこかで気付いていながら。しかし何故だ?論と現実には常に矛盾が生じる。僕は今、君とのわずか数センチの距離を埋めようとしている。簡単に届きそうで歩み入れぬその数センチが、僕の論を狂わせている。感情に花咲かせ、同時に孤独から解放させてくれる気がする。孤独からは生まれ得ない期待や可能性を、君に感じているんだ。風に揺らぐ涼しげな長い髪。微笑みで浮き立つ唇。厭らしさのない透き通った肌。その全てを独占したい欲求と、数センチの隔たり。孤独に耐えられぬ人間の愚かさに、いま僕は愛しさすら感じている。人間は生まれながらに孤独だと云う。確かにそれは真実だろう。けど僕は君という存在で気付いたよ。また人間は孤独に生きられないのだと。涼しげな顔で隣に立つ君。僕が声をかければ微笑みかけてくれる君。その全てで僕に幸せをくれる君。僕はいつか云うだろう。「一緒にいようよ。」と。だって僕らはいま、同じ方を向いてるんだ。その風に僕らの未来が香っているよ。
2006年06月11日
『Stay Gold』 詩:犬とネコ(先) 絵:日暮里半蔵(後)ほんのりと若草の匂い。にわかに僕の鼻喉をつく。躍動する季節。初夏の訪れに、僕は密かに心踊らせている。何か始まりそうな期待感。敢えて独りでいる疎外感。心を浮き沈み、僕が初夏の高揚と沈黙とを愉しんでいる。木立の陰に身を沈め、膝を抱える。眼下に見える造船所。岸壁に隣接する鉄鋼所。黒く無機質な塊が、巨大な機械で吊り上げられている。折しも僕等は、こんな時代に生まれた。華やかさの裏にある欺瞞。メディアの伝える情報は、もはやお伽話でしかない。張りボテのような嘘臭い街並。多種多様な価値観。悪化の一途を辿る環境。生活環境。自然環境。国際環境。その中で僕等は、真実を選ばなくてはならない。それが感覚。そう、初夏に歓びを感じている事実。肌身で体感する真実。初夏の訪れは近いということ。流行り廃りの刹那。時々で正義は移りゆく。そんな時代。そんな疑心感。倦怠して仕方無い飽和した世の中。その中で僕等は生を刻んでいる。自己を肯定する為、それぞれの方法で。生活で音楽で美術で文学で。僕等は輝いていたいんだ。納得いくまで。満足するまで。それが僕等を繋いでくれる。輝きを求める限り、現代は意味を為す。
2006年06月01日
『strawberry cocktail forever』絵:日暮里半蔵(先) 詩:犬とネコ(後)これが若い頃の僕がむしゃらにひたすらに藻掻いてた偶像回り道で意味為さなくて満足してた自分ところが何だろうそれなのに妙に気持ち良く見える笑顔は気のせい?何だか自分とは思えぬ自分がそこに立っていたこの頃の僕は何を見ていた?何を変えようとしていた?今じゃそれすら分かんない記憶が曖昧で不必要を消去してしまってるんだ今じゃただただ時間だけが 記憶を刻んでいったような虚無感あっそうか!でも間違い無くこれは僕僕が若いとする時の僕僕自体の僕は逸れずに でも僕の本体がここには無いような疑心感今の僕は本当に僕?今の僕はどうしている?何を創り出している?この問いに答える自信がまるでないんだ僕は確かに社会に順応してる社会に順応した僕を作っていると言ってもいい周囲の問いには笑いをつけて返してるよ後輩がいれば弟のように可愛がってるよあいつはいい!なんて言われるような自分でいるつもりだよでも何だろう腑に落ちない自分がいるのかな?嘘っぱちだと嘲る自分がいるのかな?ストロベリーカクテルを背に笑う自分を見て 僕は不安を駆られたんだ僕の夢は何だった?僕が大事にしてた信念は何だった?社会に呑まれようとしている僕がいるよあの頃を恥ずかしいと思う自分すらいる結局僕は何だったったって 主張し意味ある僕であろう僕はふと そう思えたんだ噛み付きふてる蒼い自分であろうまだ僕は終わっちゃいないんだから自分を誇れる自分でいたい自分を語れる自分でありたいそう思ったら急に 肩の力が抜けたよ見て御覧あの頃の僕はまだ ここでこうして笑ってくれてるんだストロベリーカクテルと自信を背にさ
2006年05月14日
『さよなら John Lennon』 詩:犬とネコ(先) 絵:日暮里半蔵(後)白く強く見える正午ぴったりの街並を見下ろす。朝を費やし夕を想う僕には、おのずと心に高揚が沸き上がった。叶わずとも巡らす平穏を、促すRevolution 9。紫陽花の鮮やかな時期を迎え、歓びもまた多く溢れる。躍動するものに雨を、躍動せぬものにも雨を。未明から冴えぬ空模様と、陰りを飛ばすAnd your bird can sing。「蛙の仔は所詮。」と自分を叩くが、錯覚を漂うのは結局僕自身だったようだ。盲目を怖れ同調するに流れる夕暮れも、特に珍しくはない。遅延行為か守備固めか、それを嘲るHeyBulldog。さよならJohn。198012.8。あなたは世界に色を塗った。
2006年05月07日
『さもありなん』云うまでも無く私(わたくし)日本国増々の繁栄に 日々邁進しておるわけでございます夏場はワイシャツ汗掻き濡らし 営業先を駆け巡っておるのでございます唯一の楽しみは帰宅後のビィル 悩み疲れを吹き飛ばしてくれますなぁ頭部ですか? 随分淋しくなっております櫛先が地肌を突いて むず痒く感じますとも退職後は妻と田舎で のんびりやりたいもんです縁側で囲碁に興じられたら 言うことはございません何ですか 年金配当額減少ですか 退職後の熟年離婚ですか一体私らが 何をしたと言うのでしょうなぁさもありなん真夏の空気 さもありなん土台を築いた労働者たちよ
2006年05月05日
『chair』 絵:日暮里半蔵(先) 詩:犬とネコ(後)内埒沿いに土が剥き出し、到底美しさとは無縁に映る。蹴り上げられた芝魂は無残に反り、虚ろに根をさらけ出す。生暖かい微風が、ぎらりと射す日差しを煽り立て始めた。そろそろファンファーレの時間だ。にわかに場内が騒つき出し、人が前へ前へと流れ始める。皆、自分の欲望が満たされる瞬間を直に見届けたいのだ。しばしの喧騒を味わい、10頭の馬が鼻面を揃えた。ただ早く走るためだけの生物は、場内の喧騒に呼応するかのように首を上下している。鞍下から泡玉の汗を噴き、涎を巻き散らす馬もいた。ジョッキーは至って冷静に、遥かゴールを見据えている。鞍上で談笑する者さえいるのだ。スターターが赤旗を天に掲げた。瞬間、場内が静まる。発馬。様々な人間の穿かない希望や願いを背負わされ、駆け出す馬。自ずも優劣を決するために、どれよりも前へと駆ける。勝者の席は1つであり、敗者は次席もなくただ駄馬なのだ。それぞれの願望と抜きん出たい欲望とを抱えて、馬はゴールを目指す他ない。もしこれが人生ならば、ほんの瞬きもないであろう。そのほんの瞬間の中で歓喜や失意は大きく波打つのである。ぎらぎらする日差しを背に、暗がりの中から馬達のせめぎ合う姿が現れてきた。ちぎれんばかりにジョッキーが手綱を扱く。体を左右に揺すりもがき、馬が飛んでくる。怒号と歓声が巨大なうねりとなって、場内を満たし始める。懇願の悲鳴、打ち鳴らされる新聞。既に勝負にならぬ者には罵声、穿かない夢だと気付かされる落胆の声。ゴール。真っ先に駆け抜けた黒鹿毛の馬の息は荒く、ジョッキーが握りこぶしを突き挙げた。勝者の席に滑り込んだ快感が、まさに全身を高潮させている。そう、ただ一つの勝者なのだ。負けた者達は、きびすを返すように引き揚げてゆく。勝者と敗者の間には、瞬く間に線が引かれていた。その中に様々な欲求や願望、失意や無念とを詰め込んで。間もなく、人の波が左へと流れ始めていく。既に彼らの脳裏に勝者の面影はなく、次の金の工面のことばかりだ。下見所へと新たなる欲望を注ぎこんでいる。場内はまるで何事もなかったかのように、一瞬の内に閑散とした。同じように勝者は一瞬で決まり、また一瞬で流れ去ったということだ。次の勝者の席を奪い合うために。そうだ誰もが、欲求を満たすキングになりたいのだ。駅前から続く目の粗い石畳をしばらく進む。やがて右に折れ三軒目に、苔蒸した赤煉瓦造りのそれはあった。中へ一足入るなり、オキシドォルのような独特の清涼感が鼻をつく。鼻から脳天へつんと抜け、あらゆる感覚を狂わせる様子だ。平日というのに、周りの閑散とした空気を打ち破るほど客足は多かった。店の出すリキュゥルの甘い匂いが、まるで街灯に集る羽虫のように人間を集めた。皆それなりの代償を費やしてまで、一時の快楽を貪りたいのだ。その一時、それぞれが王となり快楽に身を委ねる。或る者は馬鹿に笑い騒ぎ、或る者は泣き静まった。金と引き換えにそれぞれが、世界を自分のものにしているのだ。アルコールが内なる欲求を露にし、本来の姿を曝け出させた。若い男女がひたと身を寄せ合い、喧騒の中へと踏み込んできた。根元の黒い茶髪の男は、筋肉質の腕に蒼い太陽を彫り込んでいる。妙に身体を揺すり歩く様は、威嚇せねば生きられぬ小動物のそれに見えた。女は静脈が浮き出す程青白く、口紅の紅がまるで異様であった。女のホットパンツに手を廻し、周囲を威嚇するように歩く男の姿は滑稽に映る。その時点で既に敗者であることを、誰も教えてくれぬのだろう。活気づくテーブルを抜けカウンターまで進むと、男はボゥイにマスカレィドを二杯頼みつけた。女はそのすぐ後ろで、右脚を重心に左手を右肘に添えて待っている。何故だか不貞腐れた表情を造り、ここには自分の興味はないとでも言いたげにして。愛想のいいボゥイは目尻に皺を寄せ、大きくシェイカーを振り始めた。只その腹は裏腹で、俺もお前に興味はないと言いたいのだろう。互いの化かし合いなど日常には有りふれ、必要ないものを受け入れるのは滑稽なのだから。ただ自分の欲求のみが唯一であり、他欲を見やる隙間などない。間もなくリキュウルはグラスに注がれ、男は意味も無く無愛想にそれを受け取った。視線を左右に動かし、女を背に連れてテーブルまで歩み進める。不意に酔いに任せた赤ら顔の客が、勢いよく席を立ち上がった。体躯のよいその男は、ビィルを干杯しようと肘を脇に張り出す。それは青白い女の肩を押しつけ、マスカレィドを床にぶちまけた。途端に蒼い太陽を刻まれた手が、ビィルを持つ腕を掴む。体躯のよい男は場の状況を把握する程の思考を持ち合わせない。代償と引き換えに快楽に身を浸す、一夜限りの王なのだから。互いの視線が互いの顔面を舐め廻し、威圧し尽くそうとしている。青白い女が何やら喚き、周囲の注目を集め始めた。そこで何が始まろうとしているのか、皆が途端に察知したようだ。酔いの力で偽善者ぶりを発揮し、制止しようとする者。冷やかしか罵声か判らぬ言葉を投げ掛ける者。妙に冷静を装い、見下すような軽蔑の目を注ぐ者。場は男達を中心に、にわかに騒然となり始めた。しかし無理に止めようとする者など、無論皆無だ。皆、そこで今夜最高のショーが始まるのを期待しているのだから。胸の内に籠もる欲求や欝憤を爆発させようと心踊らせている。手段は何であれ構わない。自分の欲求を思うがままに操れる、勝者の座に就きたいのだ。そしてその期待は裏切られることはなかった。蒼い太陽の男が、マスカレィドを相手の顔面にぶちまけた。途端、驚嘆のような歓声のような野次が沸き上がる。力を顕示するショーの始まりだ。満足気な表情を浮かべる若者の横面を、体躯のいい男が激しく殴りつけた。若者は身体を捻りながら吹き飛び、テーブルに頭を打ちつける。女が痩せこけた鶏のような様で、何やらぎゃあぎゃあと喚き散らし始めた。それを滑稽に笑う者、目もくれずに成り行きに魅入る者。偽善者を演じ制止の声を発して、それで欲求を満たす者もいた。怒号や罵声が喧騒となり、女の悲鳴がその場を狂気へと盛り上げてゆく。既に理性などは消え去り、本能だけが揺り動いていた。蒼い太陽の男は折れた歯を吐き出し、また掴みかかろうと立ち上がる。最も低俗で容易い力の誇示、それで各々が勝者の座に就こうとする。もはや狂気と化した舞台を鎮める術はなく、皆が満足し陶酔していた。そうだ誰もが、欲求を満たすキングになりたいのだ。大理石でできた王の間は冷たく重く、しかし騒然としていた。王が不慮の死を遂げたのだ。名誉を考慮し国葬は取り止められ、密葬の形式がとられたのは異例であった。棺は王の座の壇下に置かれ、親族や家臣が取り囲んだ。高僧が重々しく頭を垂れ、経を唱え念じている。残された親族は身を寄せ合い、押し黙って亡き王の顔を見つめていた。妻は泣き潰したであろう、目を赤く腫らして夫を見つめ続けている。端整な顔立ちの若き皇子は、涙を堪えて父の面影を追っているようだ。王の死はあまりに唐突すぎた。王国のどんな繁栄さえも、突然の悲しみの前には霞み消えゆく。王の間は、耐えきれぬ静けさに包まれていた。しかしである。王の死にあって真の悲しみは、実はそれだけに止まらなかった。なぜなら全ての人間が、悲しみという感情を共有してはいないのだ。それを疑いもせぬことが、人間のはかなさであり真の哀しみなのだろう。神官の心は野望で煮えたぎっていた。若き王子に、一国を導く才など備わっているはずもない。欲望を思いのままにできる、絶好の機会なのだ。聖職という立場など、もはや彼の脳裏にはよぎる余地もない。そして哀しくは聖職という彼の立場を疑う者も、またいないのだった。神官は沈痛な表情を崩さず、しかし淡々と野望を膨らませている。ここに集う者達は、いずれ私にひれ臥すであろう。私の挙動は注目を浴び、私の采配は賞賛を受けるであろう。私は思うがままに動き計らい、多くの人間を操るだろう。神の摂理がそうさせるのか、欲求は生み出され尽き果てない。その底知れぬ欲求が、彼を神の座から引き摺り落としたのだ。もはや彼の瞳に映るのは、欲求を思うがままに操る勝者の座だけなのである。自分の或るべき姿に迷いや戸惑いが消え去れば、物事は大きくうねり始める。神官は深く頭を垂れたまま、今後の策を練り始めていた。何も王子を退き降ろす必要はない。あくまで前に立たせ、だが常に私を意識させるのだ。一度私の存在に浸ってしまえば、そこから抜け出すことは容易ではなかろう。あくまで温厚にしかし冷淡に、彼は虎視眈眈と欲求を満たそうとしていた。高僧の唱え念じる経が、一層大きく王の間に響き渡り始めた。妃の堪え切れぬ涙が、また流れだし鼻先を伝っている。王子は父の顔を見つめたまま、これから押し寄せる波に立ち向かう準備をしていた。それぞれがそれぞれの思いで、棺の周りを囲んでいる。ただ神官の欲望だけが、この場に相容れぬものとして鈍色に光っていた。やがて間もなく、神官は王の座を手中にするだろう。彼に騙す才があるとは思えぬが、しかし王子にも見破る才はなかった。神官は欲望を思うがままにするだろう。一時の勝者を味わい、至福と快楽とを貪るだろう。しかし到底、それが永劫続くとは考えられない。欲に溺れる限り、必ず次の座を狙う者が現われるのだ。それはいわば自然の成り行きであり、むしろ逆説的に王国の繁栄をもたらしてきた。そうだ誰もが、欲求を満たすキングになりたいのだ。< chair >chairはずっと以前からそこにあった。その座に就く者などなかろう、そんな主人の帰りを待って。階下に賭博場の喧騒が見える。皆が皆、刹那に満たぬ時間の中で一喜一憂している様が見える。勝者が瞬く間に敗者へと変わる儚さが見える。酒場の狂気が見える。理性を失う人間の、さも滑稽な様が見える。威圧でしか主張できぬ人間の、あまりにも小さい願望が見える。そして宮廷の哀しみが見える。それぞれの思惑の、互いに蹴落とし合う様が見える。欲望を意のままにしたい人間の、なんと醜い有様が見える。chairはずっと待ち続けていた。孤高の高みから、未来永劫変わらぬキングの登場を。しかし人間は互いに脚を引き合い、互いに陥れようと繰り返す。勝者は一瞬のものでしかなく、一時の満足を与えるだけで去ってゆく。金と力と権威を崇め、勝者の本質を求める者など皆無に等しい。欲と至福を手中にしてまで、その先を見ようとする者などいるだろうか。それはつまり盛者必衰を意味し、chairの座に就けぬ儚さを意味していた。chairは以後も、そこに在り続ける。強欲に生の悦びを見い出そうとする人間の、儚くもがく様を見つめ続ける。我欲雑多する街の喧騒を見下ろし、孤高の極みからキングを待つ。
2006年04月29日
『Bm/Ug かいつマンダリング?』 詩:犬とネコ(先) 絵:日暮里半蔵(後) おいでよ 宇城no.1エース ちょい大きめの bitterフェイス 混沌絢爛(けんらん) 時代のニーズ ついに俺らに スポットでぇす! エレキテル さも判ってるのさ Asia単位で 拡がる格差 英語が出来なきゃ 途端に頓挫!? いや そりゃ単なるエゴでしょうがっ! トンマのマントを 羽織ってみよう 杞憂を勇気に 変えてみよう うまくやれるよ 何だって 出来るもんだな 縁あって “イマ”だからこそ狙える ど真ん中strike! 嫌だから主張する stop the 順属 イライラするならまず coffeeブレイク のんびりやろうや 目標はもっと近く イラスト描くのを ストライキ? 今すぐじゃなくて また来期 illustrateと コラボレート 焦っちゃダメだわ 「次作は未定。」と A spirited mouth built a bridge for underground!
2006年04月20日
『光とは』迷いなく善しとされるものへと導く光確実に効率よく 僕は歩みを進めてしまう誉められ喜ばれる充実感へといざなう光僕はそれがとてつもなく 羨ましいものに思えてしまう幸福へ至る筋道を照らす眩しい光そこに射す影を 僕は見過ごしてしまう光とは光とはつまり 行く先を示すガイドラインなのだろうかその先1mも見えないように覆い隠す暗闇僕は及び腰になって 手探りで歩みを進めてしまうそれまで確かにあったものを否定するかのように拡がる暗闇怯み怖気づき 僕は後退してしまう終着があるのかすら分からない誰も知らない暗闇僕は無意識に そこにある影を拾っていってしまう光とは光とはつまり 探り進む自分なのだろうか秋の初めに沸き立つ雲に射す光白を浮き立たせ影を造りだす光光とは光とはつまり
2006年04月15日
小さい花小さい花は背伸びする 目の前には高い壁小さい花は背伸びする 陽の光りまでもう少し小さい花は背伸びする けれどもなかなか届かないそれでも花は背伸びする いつか届くと思ってるのかな
2006年04月08日
『sandwich blue』 絵:日暮里半蔵(先) 詩:犬とネコ(後)お従姉さん、ホットティーを頂戴な。酸味の強いレモンを添えて。爛れるような湯気の立つのを一杯お願いするわ。あたし一息に呑み込んで、それなら気を失うかしら。嗚呼、あの方とお茶をしたいの。ビィチでお会いした背丈の高い痩身のあの方。視線を交えた時から肌が震えたわ。頬が紅潮して爪先が痺れたんですもの。お従姉さん、あたし惚れたのよきっと。ね?お従姉さん。デェトを申し込めるなら、あたしやっぱり海がいいわ。地平線まで霞みゆく紺碧な天と海。まとわりつく砂浜に二人寝添べるの。他愛無いお喋りに興じながらレモンを噛むのよ。咽内を刺激が廻ったらきっと、あたしたち身を寄せ合うんだわ。しんと染み入る波打ち際のさざ波に耳を傾けて。仰向けなら天に身体を奪われるわね。溶け込みそうな純度の高いブルー。閑散としたビィチに刻む波のリズム。沖を往くのは鴎の優雅さね。まあそれが、なんて素敵なのかしら!ねぇお従姉さん。そうしたらあたしたち、太陽に焼かれるのよ。じりじりと絡めた腕から焼かれていくわ。痩身なあの方はもう、跡形無く灰になるでしょう。あたしだって肉片から砕けて塵と化すわね。元素変換に至る化学式の、何と愉快なことでしょうよ!ねえお従姉さん、集めた灰は海へと還して頂戴。まだ何も知らない紺碧の海へ…。霞みがかる無垢な海へ…。さあお従姉さん、一緒にホットティーを頂きましょうよ。焼けるように熱いホットティー。陽射しがとても眩しいわね。もう夏だわ。
2006年04月06日
うひょっ!ヽ(゚∀゚)ノ -繋げてみよう♪-浮かれ疲れた単細胞(*゚ー゚)スタート!海のみぞ知る日暮里半蔵ヽ(゚∀゚)ノ ドウダッ!嘘がお好きな大国首相(⊃∀`)イカンヨッ!うだうだやってる或る日曜(*´ー`)アルアル♪うまい具合に働く本能("゚Д゚)=3 ソーナンダナァ…うざったいほど奇をてらう思想(⊃∀`)マタッ…うりゃっ!と一声頑張ろうヽ(`Д´)ノ コレデモカッ!恨みつらみは蜃気楼((( ゚Д゚)ノ キニシナイ♪うまい言葉に乗ってみようヽ(´ー`)ノ キヲツケテ!得るべくも無く押問答(⊃Д`;) イミネーシ!薄べったさに即賛同(´・ω・`)ウウゥ…兎の目をした馬三頭(⊃Д`;)コワイヨー!胡散臭いまま大往生(⊃∀`)イヤスギル!…うひょっ!(゚∀゚)ノシ
2006年04月05日
なにがある?自尊と批判に溢れとるんや そうかそうか そうなんか他愛と他価値に囲まれとるんや そうかそうか そうなんかいつの間にやら塗られたんや そうかそうか ええやないか僕の意義は孤立したんや なにがある なにがあるんや?なにもないんや なにも変わらん ええやないか なにがなくともええやないか最も悪いわ 堪えきれんど 最悪なんか そうなんか?そうでもないわ ぼちぼちや ならええや 頭が動きゃ満足や偉いんちゃうで 自己満足やろ ええんやええんや なにかあるんや欺瞞と怠惰はどうするん にこにこしてればええんとちゃうの?
2006年04月04日
頑なに見つめるサプリメントを食い潰し 高級車だけが口からこぼれる夢見ることに飽き足らずに とはいえ夢見ることしかせずに変化に敏感で 滑稽と滑稽に笑う僕は見つめる高架下を過ぎる緊急車両 足元を行く赤色の点滅 正確に刻む街のネオン他意ながら目を奪う元同僚が今朝亡くなったと 彼女が言う寂しいのに 笑い話に花が咲くのだと忘れてしまったのかしら?と 彼女が言う僕は見つめる前に座る猫背の老婆 窓に映る逆さの広告 雨水で光るコンクリート頑なに見つめる全部把握できるなら 宗教はいらず納得するなら 手を合わす仏像はいらず不均一の集合体だと 無理矢理呑み込む僕は見つめる不都合に建つ灰色の柱 口から吐く煙草の煙 思い思いの乗車位置雑感の中で 僕は見つめる
2006年04月01日
『その男、ご用心。』 詩:犬とネコ(先) 絵:日暮里半蔵(後)パンタグラフの張り巡らされた空。夕闇の迫る街を斜め上に見上げ、その男、ゲップをしている。その様が世界を喰ったかに見え、ご用心。その男、黙々と煙草をふかし、何やらぶつぶつとつぶやいている。たまに差歯をこぼしてにやけながら。我が物顔の粘りっこさだ。ご用心。いつしか日は谷間へと消え、生暖かい空気が流れ込んできた。ショーウィンドウはにわかに結露し、ネオンはまた一つと消えてゆく。その男、停留所のベンチを立ち上がり、シケモクあさりの時間のようだ。ぎょろぎょろとした眼に映るのは、過去の自分ではないのか。マイノリティを愛すようなストイックさだ。臆病にならぬよう、ご用心。電磁石の回転にも似て、やがて夜は明けてゆく。昨夜の湿気は靄へと代わり、人気のない舗道を低く覆いはじめた。靄を裂くのは餌にありつけぬ野良犬。もう一つ。勤勉で律儀な新聞配達員だ。その男、停留所で足を組み、頭を低く胸へと押しつけている。眠れぬのか、右足は小刻みに刻んだままだ。しばしの靄を仄白い月へと舞い上げ、街は各部位が目を覚ます。最後の星を吹き飛ばすかのように、その男、頭だけを起こして煙草をくゆらせている。立ち上げる細い煙が、まるで何たる優雅さだ。その姿、惑わされぬよう、ご用心。その男、ご用心。
2006年04月01日
『ここにいる』 詩:犬とネコ(後) 絵:日暮里半蔵(先)夕暮れの街を、僕は独りフラフラ歩く。何をするでもなく、何をしたいわけでもなく。携帯片手に笑い騒ぐ茶髪の青年。株価暴落を伝える街頭テレヴィジョン。得意先へと駆け足で急ぐ営業マン。眩しく呼び込みはじめる色とりどりのネオン。その中を僕は、独りあてもなく歩く。街はいつものように慌ただしく動き、まるで絵空事の話に思えた。取り残されてはいないかと僕は不意に不安に駆られ、視線を足元へと落とす。そこには僕の両足が、しっかりと地面を踏みしめていた。全身に夕日を浴びて長い影が、アスファルトにくっきりと写し出されていた。「そうか!いま僕はここにいる!」いま僕は、自分の意志でここにいる。それ以上も以下もなく、ただそれだけでいいんだ。時に周りが美しく思える。時に周りが素晴らしく思える。時に目の前が眩しくなって、自分に影が射すような不安に駆られるんだ。でもどんなにあがいても、結局僕は僕でしかない。それなら毎日を楽しんだほうがいいよなぁ。自分のテンポで自分の意志で。周りから見た自分?いやいや自分を納得している自分!僕の世界で生きよう。僕のリズムで歌おう。いま僕は、ここにいる!それがなんだか嬉しくて、僕はまた前見て歩きだす。何をするでもなく、何をしたいわけでもなく。
2006年03月26日
『vivid life』 詩:犬とネコ(先) 絵:日暮里半蔵(後)それはもう誰に頼るでもなくキャンパスを虹色に塗りたくるように 瞬間の意味を量るかのように問答し自問自答し スカーって寝て忘れてしまうそしたら斜陽が眩しいとか んなキザは言ってられなくて見えなかった感性が沸き起こってくるんだ可愛そうだと君が嘆いて 可愛そうなの?と僕が問う事実は幾重も感情に滲み いつしかリュック背負って遠出の準備なんだろう僕はただ真理が知りたくて ただ闇雲に書き綴っていくそれが惨めだわと君が哀れみ 惨めなのかと僕が呟く生産性と合理性は似て否なるもので 結局どちらかに寄り添いたいだけなんだそれなら標に捕われず 自分の足跡を辿ればいい非生産的はむしろ 無駄を省くことなんだろうキャンバスを虹色に塗りたくり 自問自答に疲れてもそれはなんて活力ある人生僕の糧なんだ vivid life
2006年03月25日
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