今回の修理は、「 SONY CFD-700 CDラジカセ (1989年製) 」だ。いわゆる「バブルラジカセ」で、多機能豪華仕様な時代の中堅機種といったところだ。
この作業は、 私のオークション
で落札頂いた御方と懇意になり、修理を依頼されたものだ。同型機を2台所有されており、「二個一」ででも良いので、何とか1台でも稼動状態にできないかとの依頼だ。万一修理が完了しなくても、最低限の経費は負担するとのありがたいお申し出。もちろん、ありがたく受託させていただいた。
さて、患者機器の到着後、早速診断作業に着手。
まず分解すると、とにかく両機体とも汚い。粉塵が進入しやすい構造で、内部が相当汚れている。天板面にスイッチ類や放熱口の多い機種に顕著な症状だ。
当時、機能的、音響的に評価は高かったのかもしれないが、構造的/長期使用的に見ると必ずしも高い評価はできない。
[バブル期の機種によく見られる、航空母艦然とした外観]
[ネジが多い。宝探しのようだ]
◎1号機
◎2号機
両機体とも、かなりシビアな状態。人間で例えると、末期的状態だ。しかし、気を取り直し、まずは単機ごとに復旧を試みる。
■修理作業◎1号機
◎2号機
以上の結果より、単機での復旧を断念。依頼者の許可の下、「二個一」での復旧作業に着手した。
■移植修理作業
程度の良い1号機をベースにし、2号機から正常稼動のCDユニットとテープAユニットを移
移植完了。移植ユニットの正常動作墓を確認。しかし、テープBが指定した操作ボタンと異なる動作は以前解消しない。
思い切って、操作スイッチの全交換を実施。結果は、一部NG。順方向の再生指示を逆方向で機能することが稀にある。方策が手詰まりとなった。
目先を変え、スピーカーの良品ユニット選別を行う。ここで、致命的症状を確認。本シリーズ売りのDodecaHONEたらしめるサブウーファーユニットが、A/B号機のいずれもエッジ劣化していることが判明。
目視では亀裂等なかったのだが、触診したところ、硬化していることを確認。スピーカーコーン紙の前後往復運動を著しく阻害していた。
プラスチック保護剤を塗布し、軟化を試みたが、いずれも失敗。卵の殻のようにバラバラと割れ落ちてしまった。
この時点で、テープB、サブウーファーユニットを復旧できないことが確定。また、電子基板も半田劣化が進行しており、分解・組立の度に半田不良が発生することから、「二個一」復旧も断念する判断をした。
依頼者にも説明し、了解を得た。20年を過ぎた音響機器修理の困難さを実感する結果となった。
なお、修理・復旧できなかったにもかかわらず、同じ依頼者から次の修理依頼を頂いてしまった。1988年製の「SONY CFD-DW83」だ。更に古い機種だ!
当たって砕けろ。だめで元々の精神で、がんばりたいと思う。←がんばってどうにかなるものでもないが...
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