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Selfishly
S、P1 「隠し事」
*「S」は2部の事
p1「 隠し事 」
H18,10/1 22:00
空調が 心地よい室温を維持してくれてはいるが、
窓から、日に日に 暑くなる日差しが
もう、夏が近い事を感じさせていく、そんな朝。
ロイは、たゆとう意識の中
日々の恒例のエドワードの訪問を
楽しみに シーツに包まりながら待っている。
部屋には 朝食の良い香りと、
エドワードが 働いているだろう微かな音が聞こえてくる。
そんな事を感じながら待つ時間も、
ロイのささやかな1日の楽しみだ。
本音を言うと、起きた時に 傍に居てくれるなら
更に嬉しいことだろうが・・・。
そんな事を つらつらと思い浮かべていると
廊下を歩いてくる音が聞こえてくる。
エドワードも、この時間になると遠慮なく音を立ててやってくるので
キッチンでは 気を配って動いてくれているのだろう。
扉が 勢いよく開くと
朝から元気なエドワードの声が聞ける。
「ロイ~!
起床~!
時間だ、起きろ~!」
遠慮も手加減もなく、ゆさゆさと揺り起こすエドワードの手荒さは
最初の頃と変わりが無い。
『もう少し、色気ある起こし方をしてくれても良いのに。』
と思わないでもないが、
今のエドワードには難しすぎる要求なのもわかっている。
「わかった、わかったから。」
苦笑混じりに、エドワードの攻撃をかわしながら
ロイは、もぞもぞと起き上がる。
そして、朝1番に見る愛しい想い人の顔を見ながら
にっこりと微笑んで、挨拶をする。
「おはよう、エドワード。」
「おう、おはようさん。」
照れ屋な彼が、実は この、朝のロイの笑顔に弱い事は
うすうす感じている。
言うだけ言うと、さっさと部屋を立ち去ろうとするエドワードの
先手を打って、エドワードのシーツを握っていた手を掴み
手前に引く。
「なっ!」
バランスを崩したエドワードが屈む形になった所へ
ロイは すかさず口付けをする。
「!!」
驚きすぎて声もだせないのか、エドワードが口付けされた頬を
押さえながら、慌てて体勢を立て直す。
顔を真っ赤にさせながら、口をパクパクしているエドワードに
ロイは 再度、にっこりと笑いながら 挨拶をしてやる。
「おはようエドワード。
今日も、宜しく。」
紅い顔をさらに、真っ赤に染めて、
脱兎の如く部屋から飛び出すエドワードに
ロイは かみ殺せなかった笑いを小さく響かせる。
ロイがエドワードに 自分の気持ちを告白してから2ヶ月が経とうとしている。
その間に、若いだけあってエドワードの捻挫は直りも早く
今では 何の支障も無いまでに完治している。
ロイにしてみれば、構う口実が無くなって 少々寂しい気分だ。
何くれとなく、怪我を口実に世話をしていたロイのスキンシップも
完治した今は、なかなかチャンスに恵まれず、
こうして、不意をついては 僅かな触れ合いを楽しむ程度。
要するに、何の進展もなく
月日は 穏やかに変って行っている。
ロイにしてみれば、『保留』にされている返事をせかすつもりは無いのだが、
好きな・・・、愛していると明言しても構わないと思っている想い人が
一緒に住んでいてくれて、
全く何も懊悩がないかと言うと そんな事はなく
立派な成人男子としては、なかなか困った状況に立たされる事もしばしば。
『大人の余裕を示すのも、なかなか大変だ。』
そんな事を 痛感しながら、キッチンで怒った顔をして
待っているだろうエドワードの元に歩いていく。
「不意打ち禁止!」
ロイの予想どうり、しかめっ面をしながら 朝食を食べているエドワードが
ロイに言い放つ。
「禁止?
なら、不意打ちでなければ構わないのかい?」
落ち着いて聞き返してくるロイに、エドワードが喉を詰まらせる。
「うっ・・・。
どっちにしろ、朝は駄目。」
「どうして? 何故、朝は駄目なんだい。」
可笑しそうに聞いてくるロイの顔を
エドワードが 睨みつけてくる。
『クッソー、絶対に確信犯だ。
俺が、朝のロイに弱いのわかってて・・・。』
エドワードは ロイの朝の笑顔には 少々弱かった。
起き抜けにいきなり微笑んでくるロイの笑顔は
心から 嬉しいと、愛しいと現すように微笑まれる。
それを見るエドワードの心臓に悪いこと この上ない。
「何ででも、駄目。」
そう言って、話を打ち切るエドワードに
ロイは やれやれと言う風に肩を竦めるが
さして、機嫌を損ねた様でもなく
朝食を続けている。
今日は エドワードが、大学に行く途中でロイを送迎している。
時間が合う時には こうして、エドワードが送迎する光景も
最近では 良く見るようになった。
出勤の車の中で、朝にエドワードをからかいすぎて
伝えるのを忘れていた話を伝える。
「そうだ、言い忘れてしまってたが
今日は 夕飯の用意は私の分はしなくて構わないからね。」
それに対しては、特に変わった事ではないので
エドワードも了承の返事を返す。
「OK。
何、また なんかの会食?」
ロイの立場上、接待や会食は 少なくない。
職務上、深夜になる事も多いので
そんな日には、外で済ませてくる事になる。
「いや、今日は以前東方でお世話になっていた将軍が
こちらに来られるとの事でね。
久しぶりに会いたいと連絡があったんだ。」
「東方の将軍って、以前の俺も知っている?」
「そうだよ、あの方は
相変わらず権力争いには無縁の方でね。
こうして、セントラルに顔を出されるのも
本当に久しぶりの事だ。」
「へぇ~、あの爺さんか。
良い人だったよな。」
懐かしい人物の事で、エドワードも思わず頬を緩める。
敵の多かったロイを東方に引き取り
今の段階まで上がる助力を惜しみなくしてくれた その人物は
珍しく ロイが恩義を感じている人物でもある。
「そっかー。良かったな。
久しぶりに 昔話でも楽しんでこいよ。」
「昔話・・・って、人を年寄りみたいに。」
そう言いながら渋い顔を見せるが、
ロイも逢えるのを楽しみにしているようだ。
車内で、互いに笑いあい司令部に向かう。
それが、1つの発端の始まり・・・・。
大学に着くと、教室に入るまでの道道でに 色々な声がかけられる。
キャンプ以来、エドワードの人柄を知った者達が
親しげに声をかけてくるようになった。
歳若い秀才に、最初は色々なやっかみや 色眼鏡で見るものもいたが
今では、エドワードの飾らない人柄に 誤解を解いた者も多い。
「よぉ、エドワード こっちだ!」
いつもの同様の面々が、手を上げて声をかけてくる。
「おはよう。」
口々に挨拶を返しながら、エドワードも空いているレイモンドの横に座る。
エドワードに告白して断られた後も
レイモンドの態度は変る事無く、
親友と呼べる程の付き合いの深さとなっている。
エドワードにとっては、それも嬉しい事の1つだ。
「なぁ、今度の進級試験は どのランクにするんだ?」
学期末に行なわれる進級テストは、
今の学生達の関心の1つだ。
通常より、高度な授業を強いられている学生達にとっては
順当に進級できるだけでも儲けものだが、
ある程度のレベルの者達にとっては、
出来ることならレベルの引き上げを願ってチャレンジする者も多い。
「う~ん、俺としては 出来たら 2ステップ上げたいんだよな。」
考え込みながら言うエドワードに、レイモンドが聞き返す。
「俺としては?
じゃあ、マスタング氏は 反対なのか?」
レイモンドの頭の回転の速さには、いつも驚かされる。
エドワードの少しの反応や、言葉尻から
色々と予想した事を聞かれるときには
驚きもするが、不必要に話さなくて良い分楽でもある。
「う・・・ん、まぁ。」
「そうか。」
と答えると、それ以上は 突っ込んでも聞いてこない。
その引き際も、エドワードにとっては気持ちが良い。
「そっか~! やっぱりお前は2ステップ目指すか。
くぅ~、どうするかなー。」
「ディも、大丈夫でしょ。」
アルバートが、保障してやる。
「いや、成績とかの事じゃなくてよ。
折角の大学生活を1年縮めるってのも、
どうも、勿体無い気がしてなー。」
どうするかと悩むディビットをよそに
エドワードがアルバートに声をかける。
「アルも、2ステップ狙うのか?」
「僕? いいや、僕は ゆっくり行くよ。
特に急ぎたい理由もないし、
これ以上 詰め込みされると、
授業に追いつけなくなるのも嫌だしね。」
そっかと頷きながら、レイモンドを見る。
「俺は、エドワードが2ステップ狙うなら
一緒に狙うさ。」
なんのてらいも無く即答された答えに、
エドワードの方が 戸惑うほどだ。
何か返事を返したほうが良いのかと悩んでいる間に
授業の開始にブザーが鳴り響く。
今日1日の授業が終了すると、
エドワードとレイモンドは、ディー達と待ち合わせの場所に歩いていく。
エドワードが 急いで帰らなくていい日は
皆で出かける事が多いし、逆にロイの家に集まる事も多い。
エドワードとレイモンドが並んで歩くと、
周囲からかけられる声も倍増する。
それに 1つ1つ返事を返しながら進むと言うのも
なかなか時間を喰う事なのだ。
やや、急ぎ足になって歩いている二人の正面から
しっかりとした足取りで歩いてくる女性が目に入る。
エドワードが その女性の顔を見て軽く会釈をする。
レイモンドが、それに何か聞きたそうな表情を浮かべるが、
早足で歩いていた彼らと、女性にしては歩幅の大きな彼女では
あっと言う間に 距離が縮まってしまう。
「こんにちは、この前はありがとう。」
「いや、俺こそ サンキュー。
なんか、生意気言っちゃってて。」
「いえ、とんでもないわ。
凄く 嬉しかったし、励みになったもの。」
レイモンドは 話をする二人の様子を眺めながら
その女性を観察する。
女性にしては やや身長が高いのか、エドワードと同じ位だ。
はきはきとした物言いどうり、ややキツメの顔つきをしているが
かなりの美人の部類に入るだろう。
プロポーションも良く、メリハリのある体つきだ。
それに、特筆すべきは 彼女の燃えるような髪の毛だろう。
混じりッけ無しの焔のような赤毛は、
まるで彼女の気質を現しているかのように見事な紅だ。
『焔のような色か。』
ふいに浮かんだ考えに、レイモンドは
ここに居ない人物を思い浮かべて嫌な顔をする。
「それでなんだけど。」
「うん?」
「唐突で悪いんだけど、
エドワード、貴方 今付き合っている人はいる?」
「はぁ?」
いきなりの話の展開に、エドワードは 唖然とした表情を浮かべ、
レイモンドは、その後の展開が読めて 眦をきつくして
その相手の女性を見る。
「いないようなら、ぜひ 私と付き合ってちょうだい。」
大輪の薔薇のように、嫣然と微笑んで告げてくる。
そして、次に2つめの発端・・・。
エドワードへの告白劇が 待っている二人にも伝わり、
その後の集まりで、さんざんと冷やかされていた頃、
ロイは 懐かしい将軍と、久しぶりの再会を喜んでいた。
「本当にお久しぶりですね。」
懐かしそうに微笑むロイに、将軍も嬉しそうにうんうんと頷く。
「そうだね。
君が東方を去ってから、かなり時間もたったけど
こうして、ゆっくり逢うのは久しぶりだね~。」
しばらくは、互いの近況やら 昔話に興じていたが
将軍が 躊躇うように口を開いた時に聞かれた内容に
全く予想していなかったロイが、呆然と聞き返す。
「いや、マスタング君程の人間が 付き合っている女性が居ないとは
思ってはいないよ。
当然、いるんだろう?」
「は・・はぁ、想う者はおりますが。」
そうだろう、そうだろうと 頷く将軍を見て
ロイは 妙な思いを浮かべる。
「そこでだ、折り入って君に頼みたい事がある。」
怪しくなる会話に、ロイは 慎重に返事を返す。
「それは、もちろん お世話になった将軍のお願いですから
私が出来る事でしたら、尽力させては頂きますが・・・。」
控えめに返された返事に、老将軍は 嬉しそうに頷いて
さらりと、ロイに爆弾を投下する。
「想い人がいる君に折り入ってお願いがあるんじゃが、
私の末の孫の事は知っておるね。」
「はい、何度か司令部をご案内した時にお会いした
ローゼ嬢の事ですね。」
「そうなんじゃ、覚えてくれているとは話が早い。
実はお願いとは その子のことでな、
君、しばらくでいい
彼女と付き合ってやってくれんかね?」
頼むと頭を下げられながら、ロイは 今聞いた言葉を
唖然としながら受け止める。
車中の送迎の車の中、ロイは重たげなため息を吐く。
将軍の話は こうであった。
老将軍が 目に入れても痛くないほど可愛がっているローザ嬢は
生まれつき体が弱く、人並みな楽しみも経験する事も得ることも出来ないできた。
将軍にとっては不憫で仕方ない為か、
多くの孫がいるにも関わらず、このローゼを1番に可愛がってきた。
が、もともと心臓に欠陥を持って生まれてきた彼女は
ここ最近、寝込むことが多く 将軍の心労は高まるばかりだ。
高名な医者を呼びつけ診断をしてもらった結果、
もう、さほどは長くは生きておれないだろう告げられた。
それが、さらに将軍に衝撃をもたらし、ローゼ不憫に拍車がかかった。
出来る事なら、生きている間に あらゆる願いを
かなえてやりたいと思う将軍の願いに反して
ローゼ嬢は、親の躾の賜物か、控えめな誠実な人柄で
特にはないと答える。
悩みに悩んでいた将軍の下に、ローゼの看護をしてくれている女性が
躊躇いながらも、自分の知っている事を話してくれた。
ローゼ嬢には、実は 密かに心を寄せている男性が居ること。
そして、若い女性らしく 色々な夢を描いていること。
欲が無い彼女は、別段 その相手とどうこうなりたいと
思っているわけではないが、
噂で流れてくる話を聞いては、本当に嬉しそうにしていること。
それを聞いた将軍の行動は素早かった。
看護の女性に心から礼をつげ、相手の名前を教えて欲しいと頼む。
そうして、わかったのが ロイだったと言う訳だ。
最初はロイも、そんな騙すような事はできませんと
はっきりと断っていたのだが、
身分も考えずに 衆人の中涙を流し、切々と訴えられるローゼの境遇と
老将軍の想いに 断る言葉も歯切れが悪くなるしかなかった。
「頼むよマスタング君。
君の想い人には 本当に申し訳ないと思う。
わしが、じかにお願いしに行って頭を下げてもいい。
ローゼは聡い子でな~、自分の運命をすでに悟っている。
短い時間に 自分が持つなど分不相応と何も望まん。
そんなあの子が 唯一夢を描いているのが
君の事なんだ。
頼む先行きの短い不憫な子だ。
数が月の事だ、嘘で構わないから付き合ってやってくれ!」
滂沱の涙と共に訴えられる言葉を、
いくら心を鬼にしても、断る言葉が告げれない。
ロイは、浮かんでくるエドワードの顔に
『すまない』と詫びると、将軍に肯定の返事を返した。
想い人にも謝罪を伝えると言う老将軍を宥め
ロイは、気が重いながらも帰路についた。
『戻ったら、エドワードに何と言えばいいのか。』
エドワードは思いやりの深い人間だ。
その将軍の話を話せば、ロイの行動もわかってくれる。
が、できれば エドワードには話さないでいたいとも思う。
まだまだ、恋愛に幼い恋人は 自分達が恋人だと認めるのにも
躊躇いがある。
そんな時に、たとえ芝居だとは言え
他に付き合う女性を持つなど、耐えられるだろうか?
『が、話さないわけには・・・。』
悩みながら家に付いてみると、灯りがついている。
思ったより帰宅時間が早かった事もあって、
エドワードも まだ起きているのだろう。
話すにも 少し時間が欲しかったなと思いながら扉を明けると
賑やかな話し声が聞こえてくる。
「もう、お前ら帰れよ!
ロイが 戻ってくるだろう。」
エドワードが 声を荒げて話している。
自分が 戻ってきた時には真っ先に気づくのに、
今日は 余程、話に白熱でもしているのだろうか?
そんな事を思いながら、中に入る。
「えー! だって、俺ら ロイさんに告げるために
残ってるんだから、もう少し居させろよー。」
「絶対に話すなよ!
ちょっとでも話したら、絶交だぞ!。」
「おいー、何 幼稚園児みたいな事言ってるんだよ。
この歳で、絶交って言葉使わないぜ。」
エドワードの抗議にも 気にした風もなく笑い返しているのは
ディビットのようだ。
ロイは、何の話をしてくれるやらと
少しだけ浮上した気分で、扉を空けて入っていく。
「ただいま、皆 久しぶりだね。」
「ロ、ロイ!
もう戻ってきてたのか!
今日は 遅くなるんじゃ・・・。」
あきらかに狼狽しているエドワードに、
ロイが 悪戯心を持つ。
「ああ、思ったより早めに切り上げだったんでね。
ところで、デイビット君
どんな楽しい話を聞かせてくれるつもりなんだい?」
にこやかに声をかけるロイに、待ってましたとばかりに
デイビットが 乗り出す。
「実はですね、エドの奴が今日・・・。」
「わー!! いちいち言わなくていいから!
ディ、黙ってろって!」
慌てふためくエドワードを指しながら、
「俺は話したいんですが、これでしょう?
ロイさん、どうします?」
これっとエドワードの方を指差しながら
ロイを見るディビットに頷いてやり
ロイは エドワードに雇い主として指示を出す。
「エドワード、うるさいよ。
怒鳴ってるヒマがあったら、
私にも お茶を持ってきてくれないか。」
「なっ!
あんたらグルになってどうするんだよ。
くっそー、とにかく 俺が戻るまで
皆話すの止めて待ってろよ!」
文句を叫びながらも、エドワードは 律儀な性格らしく
お茶をとりに走っていく。
で?と デイビットの傍に座ったロイに、
ディビットが 早速話し出す。
「実はですね。
今日、エドワードに 凄い美人が告白したんですよ。」
「・・・ほぉ、それはそれは・・・。」
途端に低くなるトーンにも、浮かれているディビットは気づかない。
「しかも、廊下のまん真ん中の人の往来が多い中!
俺らは その現場に立ち会えなかったんですが、
レイは一緒に居たんだよな?」
同意を求めるように話しかけると、レイモンドも頷く。
「まぁ、エドワードに告白する奴がいるのは
別段 珍しくないんですけどね、
あんまり堂々としているのと、
その彼女って言うのが、ちょっと有名な美人だったもんで
皆大騒ぎだわ、悔しがる奴もいるわで
今日の大学の話題を攫った事件でしたよ。」
ロイが興味深そうに聞いてくるのが、嬉しかったのか
ディビットはご満悦な様子を見せる。
「なるほど・・・なるほどね。」
心非ずな返事を愛想良く返すロイに
デイビットが さらに話しかけようとした時に
トレーにも乗せず、カップに お茶を入れて持って来たエドワードが
飛び込んでくる。
「ディ!
余計な話、してないだろうな。」
乱暴にロイにカップを渡しながら、
エドワードが気遣わしげに詰問する。
「へっ? 何のはなしだっけ?
別に余計な話なんか、してないぜ。
さ~て、もう遅いから そろそろ帰るか。」
隣に座るアルに呼びかけて、ディビットが立ち去る準備をする。
レイモンドは、ロイを一瞥するでもなく
エドワードに礼を伝えながら立ち去っていく。
騒がしい仲間を送り出した後、
エドワードは やれやれと言う気持ちを浮かべながら
ロイが居るリビングに戻る。
デイビットの怪しい返事では、余り期待はできないが
出来れば ロイには余計な気苦労をさせたくはなかった。
「ロイ?」
皆が部屋を出た時のまま 座り込んでいるロイに
エドワードが声をかける。
「凄い美人に告白されたらしいじゃないか。」
ロイはエドワードの方を見る事も無く話し出す。
「あっちゃー、やっぱりアイツ話してたのか。」
まぁ、知られてしまったのは仕方ない。
そうあきらめて、肩を竦める。
「それで、君は 何と返事したんだね。」
拗ねたような話し方が、言われた言葉に対して腹がたつより
可笑しいと思う気持ちが大きくて、朝の意趣返しをしてやろうと
思いつく。
「ロイは、どんな返事を俺がしたら満足なんだ?」
その言葉に、ロイは キッとエドワードを振り返る。
そして、そのエドワードの表情に肩の力を抜いてため息をつく。
嫌がらせを楽しんでますと表情にも
言葉のトーンにも浮かべたエドワードからは
ロイが邪心を持つような匂いは全く無い。
大人気ない自分の小さな嫉妬心に心の中で苦笑を浮かべながら
ロイも 軽口で返す。
「それは勿論、
『自分には すばらしい恋人がいますんで
その人以外は お断りします。』と
君の口からは言ってもらえれば
私としても、恋人冥利につきるのだがね。」
そう言いながら、エドワードに手を差し伸べる。
少しの躊躇いをみせながらも、エドワードが おずおずと
手を差し出したのを優しく引いて、抱きとめる。
「うっわー、ずうずうしい。
自分で すばらしい恋人とか言うか?」
照れたせいか、乱暴な返事を返すエドワードに
「おや、君もちゃんと 私が君の恋人だと認めてくれているようだね。」
と嬉しそうな表情でやり返す。
瞬間に 自分が言った言葉の意味を理解したエドワードが
真っ赤な顔で そっぽを向く。
言葉で勝つには、自分にはまだまだ修行が足りない。
そう胸の中で悔しがりながらも、
ロイが 静かに落としてくる口付けを受け止めた。
穏やかな朝からは予想もつけれないような事が
二人の生活に舞い込んできた。
それは今後、吉と動くのか、凶となるのか
今の二人には 知る由も無い。
[ あとがき ]
久しぶりのスローライフ2部スタートです!
これも、励まして、楽しみだと言って下さった方のおかげです。
書き手として、延々とシリーズを続けるのは
どんなものだろうかと悩んでいた事も有り、
こうやって再開をする気持ちにさせて頂けたのは
本当に嬉しいし、感謝一杯です。
そう言って下さった方の気持ちにお答えできるように
頑張って続けて行こうと思いますので
宜しくお付き合いくださいね~!
↓面白かったら、ポチッとな。
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