潮風の街から

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Oct 26, 2009

徹夜明け観艦式酔夢譚　０２

カテゴリ： ●艦艇

この日記を書いている時点では、すでに観艦式・本番は終わっている。この観艦式ウィークでは、何度も乗艦することができ大喜びの人、公募にハズレてしまい悔しい思いをした人、艦内一般公開で満足させた人など様々だ。自分の場合は、幸運にも以前に地元の情報紙で知り合った方から乗艦券をもらった。もっと遡れば、東京でサラリーマンＧデザイナーだったのが独立して地元でデザイン事務所を始めたので行けるようになったとも考えられる。バタフライ効果ではないが、人生の方向を変えなければ観艦式にはまったく縁がなかったと思う。縁と言えば、自分のひいおじいさんは萬延元年（1860年）の桜田門外の変の年に生まれた。明治時代となり、徴兵制が導入され、弟と二人で海軍に入ったのだろう。広島から横須賀に兄弟でやって来た。ひいおじいさんは髭を生やし、いかにも軍人という感じだったと父が子供の頃に見た写真の話をしてくれる。自分にとっては、父とひいおじいちゃんのことを話し、姿を想像し、明治時代の観艦式に軍艦に乗って参加したのかなと思いを巡らすウィークでもあったのだ。

「出港。ひいおじいちゃん、観艦式へ行ってくるよ」

８時ジャスト、自衛艦旗がラッパの音に合わせゆっくりと掲げられた。その様子をコンパクトデジカメで動画で撮った。自分は背が高いほうなので、癖の一つとして背後を気にする。この時も、他の人の撮影の邪魔になっていないかと振り向くと、後部甲板にいる乗客全員が起立して海上自衛隊旗が掲揚されるのを見つめている。なんてステキな乗客なのだろうと、第一印象は良かった。この「はたかぜ」の乗客は、何らかのコネで招待券をもらい乗艦している人ばかりだと思うので、その辺の常識はわきまえているのかもしれない。どんな船に乗った時でも、乗船し出港する瞬間はワクワクするものだ。特に徹夜仕事明けの一人のＧデザイナーにとっては、格別な開放を意味する。約９時間のあいだ、この船は安らぎの場となるからだ。タグボートが近づいてきて、連接している「ちはや」に繋がれていたロープが解かれ「はたかぜ」が岸壁から離れ、静かにスムーズに動き出した。

予行1-2-02.jpg

岸壁の先に停泊していた護衛艦「まつゆき」のヘリ甲板には制服を着た自衛官が整列していて、こちらに向って帽子を振ってくれている。自分も帽子を取り、同じように帽子を振り航海の安全を祈った。こういったことを照れも無くできるのは、何度も護衛艦での体験航海をしたからで、本日の観艦式・予行を成功させてもらいたいという願いもある。乗客のそれぞれの考えはわからないが、自分は招待客であるが予行練習の成功を見守る役でもあると思っている。つまりは、彼らの仕事の邪魔はしたくないという、あたりまえの心得だ。
岸壁に一緒に繋がれていた「ちはや」にもタグボートが寄っていき、出港しようとしている。艦橋の上には、場所をキープした乗客で壁ができている。護衛艦などの資料や写真が多く出回り手に入る時代になったのに、そんなにも写真を撮りたいのだろうか。自分の場合は、乗った護衛艦の模型を作るのが最終目的なので今まで撮った艦艇写真もＣＤに焼いただけでプリントもせずいいかげんな保存状態だ。

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