◎オウム病 a. 発熱、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛などのインフルエンザ様症状をもって 発症する。 b. 乾性咳嗽を自覚し、胸部X線写真で異型肺炎類似の陰影を呈する。 c. 赤沈亢進、CRP 増加などの炎症所見を示すが、白血球数は上昇しない。 d. 発症前に鳥との接触歴を有することが多い。
※参考:C. pneumoniae TWAR 株による肺炎 a. 感冒様症状が主でオウム病に比べ軽症である。 b. 臨床症状や胸部X線所見は異型肺炎に類似している。 c. 時に集団発生を見る。
1. 症候の診かた a. 発熱は急激で高熱とともに悪寒戦慄を来すが、比較的徐脈が見られる。 b. 全身症状が強く、激しい頭痛、筋肉痛、全身倦怠感を強く訴える。 c. 激しい咳を訴えるが、痰は少ない。
2. 検査 a. 赤沈、CRP などの炎症所見の亢進。 b. 末梢白血球数は減少ないし正常値を示す。 c. 胸部X線像は、本症に特異的なものはないが、異型肺炎と類似しており淡 いすりガラス様陰影である。 d. 喀痰から有意の起炎菌が検出できない。 e. ウイルス、マイコプラズマに対する血清抗体価の上昇を見ない。
※EB ウイルス関連腫瘍 a. 上皮性腫瘍 鼻咽頭癌、リンパ上皮腫類似癌 (唾液腺癌・胸腺腫瘍・肺癌・食道癌・ 胃癌)、胃癌 (日本人の胃癌の10% 程度)
b. リンパ腫 Burkitt 、日和見リンパ腫、血管中心性ホジキン病、鼻腔リンパ腫、膿 胸関連リンパ腫、VHAS
c. 非上皮性腫瘍 平滑筋肉腫
◎インフルエンザで、このような状態になったらヤバイ 1). やばい、というのが「死ぬかも知れない」、ということであれば、明らかに「意識障害」。 a. とにかく進行が早い。朝高熱が下がらない、午後にはもう意識不明、たち まち呼吸麻痺。 b. 表情がなくなっている患者はやばい (髄膜炎などよくあるよう) c. 痙攣発熱を主訴に来院した患者を、引っ張るな。 d. encepharitis Reye Syndrome なんか恐いですねぇ。 ※注意 アスピリンは何かと、後でもし不運にもライ症候群なんかに遭遇したときもしかして わたしのせいか? なんて思うのはいやだから避ける。
1. MRSA の変遷 a. コアグラーゼ IV 型・エンテロトキシン A 型・TSST-1(-) FOM 、CMZ に感受性あり。創感染、カテーテル敗血症、肺炎、腹腔 内感染。
b. コアグラーゼ II 型・エンテロトキシン B 型・TSST-1(-) カルバペネムに感受性あり。殆ど腹腔内感染。
c. コアグラーゼ II 型・エンテロトキシン C 型・TSST-1(+) MINO に感受性あり。70% は腹腔内感染。30% は腹腔内感染。 僅かに MRSA 腸炎。
d. コアグラーゼII型・エンテロトキシンAC型・TSST-1(+) ABK (abekacin) に感受性あり。MRSA 腸炎・腹腔内感染。25% が 創感染、カテーテル敗血症、肺炎。
e. コアグラーゼ VII 型・エンテロトキシン(-)・TSST-1(-) ABK に耐性。大部分創感染、カテーテル敗血症、肺炎。
2. 臨床 a. 背景因子 年齢、糖尿病、肝硬変、ステロイドなど。 ※病院という交叉感染しやすい環境で第三世代以降のセフェムなど抗菌 スペクトルの広い抗菌剤を予防的投与した、大きな侵襲を受けた患者
b. 早期診断 PCR 法は有用、しかし材料を鏡検して MRSA を疑うのが実際的。
c. 感染症 MRSA 腸炎、創感染、カテーテル敗血症、肺炎、腹腔内感染。 イ. MRSA 肺炎:膿性痰、粘液膿性痰。発生頻度は低い。 ロ. 重症 MRSA 腸炎 ・コアグラーゼ II 型・エンテロトキシン A 型 or AC 型・TSST-1(+) ・突然の高熱、血圧低下、腹部膨満、下痢、意識障害、白血球減少、血 小板減少、腎機能障害、肝機能障害などTSS様症状。 ・バンコマイシン (VCM) とともにステロイドや免疫グロブリン投与は 有効。
3. 予防 手洗い、抗菌薬の使用規制、感染患者の隔離。易感染患者の逆隔離。
B. PRSP (penicillin resistant Streptococcus pneumoniae) 感染症 ※肺炎球菌は病原性が高く、感染防御機構の弱い乳幼児、老人、免疫不全宿 主で重症化。 ※鼻腔、咽頭等の常在菌。呼吸器感染症、化膿性髄膜炎、化膿性中耳炎。
a. ペニシリン G の MIC が 0.12μg/ml 以上のもので 2.0μg/ml 以上のも のは高度耐性。
b. 細胞壁合成に関与する酵素のペニシリン結合蛋白 (PBP)への薬剤の親和性 の低下が耐性獲得の原因とされる。β-ラクタム系抗菌剤に多剤耐性化。
c. 通常の感受性菌 (PSSP) と比較して、菌体外毒素や酵素の産生能は低下せず、病原性は同等と考えられる。
d. 1967年に初めて分離、現在肺炎球菌の 30 ~ 50% が PRSP だろう。 但し MIC が 0.12μg/ml 以上の高度耐性株はまだ少ない。
e. 容易にヒト-ヒト伝播。多剤耐性化しているので難治、重症化しやすい。
f. 莢膜血清型での型別でいえば、19 型と 23 型が多く、小児では全身感染を起こすことで知られている。
g. 感染防御機構の弱い宿主に発症して急速に症状が進展、悪化する。
h. カルバペネム系抗菌薬が PRSP 感染への第一選択剤。
i. 成人ではニューキノロンも効果があるが、中でも SPFX 、TFLX が効果。 (妊婦や授乳中には禁忌)
j. 予防 ヒト-ヒト伝播に注意。ワクチン接種。
C. バンコマイシン耐性グラム陽性球菌 a. バンコマイシン耐性 MRSA b. バンコマイシン耐性腸球菌
D. ESBL (extended-spectrum β-lacutamase) 産生菌感染症 a. オキシム型セフェムやモノバクタムを加水分解するβ-lacutamase を有 する。
b. ESBL 産生菌の多くは肺炎桿菌や大腸菌より検出される。 肺炎桿菌や大腸菌の 15% くらいが ESBL 産生菌。
c. 我が国では、院内感染として長期入院の患者で、気管カテーテルや尿道カ テーテルを施された患者に多い。
4. 多剤耐性結核の治療 a. 感受性を確認して、少なくとも二剤を投与。 b. INH・RPF の両方に耐性の場合、EB・SM にも耐性のことが多い。 この時は、感受性のある新しい三剤を菌が陰性になるまで継続し、その 後、少なくとも二剤を 12か月投与。治療は 2年に及ぶ。 c. キノロンやアミカシンも試みられている。 d. 多剤耐性結核でも初回未治療例は治癒の可能性があるが既治療例は難治である。