閉経:病気か生理現象か



医学博士Mary Ann Mayo & Joseph L.Mayo著

「閉経」- この症状に関しては記事の一面で取り扱われるほどの関心が寄せられています。女性にやがて訪れる月経の終了は、生理的に正しい症状であり、社会的にも受け入れられている事実です。今や閉経についての話題はオープンになされ、自分にも突然ほてり・のぼせといった症状が現れた場合も動じるようなことはありません。この数年のうちに50歳代に入る女性達は何百万人といることでしょう。そういった女性達に訪れる閉経は特出した出来事であり、関心の的となってくるのです。

新しい時代が幕を開けました。以前は女性の間でも決して公に話題にはのぼらなかった閉経(母親からこの事に関してアドバイスや相談を受けた人は少ないと思います)。つい最近まで「生理が終わる頃に生じる人には言えないのぼせやほてりといった経験」と片付けられてきた症状。閉経を説明する科学的文献からは:形態学的に見る萎縮、身体の退化、躁鬱、憂鬱症、などと気の滅入るような言葉が飛び交っていました。しかしここ数年で、閉経に対する考え方に非常に大きな変化が見られてきました。ベビーブーム世代の女性達がこういった年代に突入し始め、積極的にこの症状に取組む姿勢を見せ始めたのもきっかけになっているのでしょう。なぐさめや一辺倒の処方箋だけでは納得しない新しい世代の女性達に背中を押されるようにして、医者(ヘルスプラクショナー)や研究者達は「閉経」について更なる科学的解明や不快な症状を乗り越えるための様々な方法の発見に努力を注ぐよう余儀なくされたのです。
Not An Overnight Sensation(一夜にして起こるものではない閉経)
閉経は女性の生涯の中で決してシンプルで型通りのイベントに終わるものではないことが今はっきりと認識されてきました。「人生の変遷期」は一夜にして訪れるものではないのです。最後の月経を迎えるのが平均で51歳と言われていますが、女性が閉経という身体の大きな変化を遂げるまでには、40代前半から少しずつその準備が行われてきているのです。

最後の卵子が排出される展開的時期を「閉経周辺期」と言います。一月に放出されるホルモン値が不安定になってくることに伴い、突然不快な症状に悩まされることがあるのです。身体が、加齢に伴うエストロゲン・プロゲステロン・テストステロン値の低下に反応するとはいうものの、女性によっては、最終月経が終わるまでは特に閉経周辺期特有の症状に気が付かないケースもあるようです。1/3の幸運な女性が、閉経期の不快な症状をほとんどまたは全く感じないまま更年期を迎えていることも判明しています。
Hormones: How They Work(ホルモン:そのはたらき)
生殖ホルモンはステロイド・ホルモンに属し、脳、骨、循環器系、消化器系、肝臓、腎臓、神経系、筋肉、生殖器、免疫機能などに作用しています。このホルモンは、身体の病気:特に癌や骨粗しょう症、心臓病、呼吸器・脳・循環器の疾患に対する抵抗力を向上させる上で大切な役割を果たしています。
Hormonal Events(ホルモン作用)
John R. Lee, Jesse Hanley, Virginia Hopkins医師らの著書:『What Your Doctor May NOT Tell You About Premenopause (Warner Books出版)(閉経周辺期に関して医師が教えてくれないこと)』の中で指摘されていることは以下のようになっています:

「体内のステロイドホルモンは互いに密接につながっており、必要に応じて相互作用を成して形成されている。しかし、ホルモンの作用全体像から見ると、ホルモンそのものはあくまでも部分的なものでしかない。ホルモンの変換やホルモンメッセージを伝える細胞のはたらきを支えるためには、ビタミンやミネラルそして酵素などとの結合が重要なポイントとなる。もし、このようなホルモン変換物質に重要な役割を持つ栄養素:例えばビタミンB6またはマグネシウムなどが不足していた場合は、体内のホルモンバランスを崩す要因となる。甲状腺そしてインスリン値の異常、体内毒素、悪い食習慣と生活環境、薬物使用、肝臓疾患などといったことも身体の栄養とホルモンバランスの破壊をひきおこす。」生殖ホルモンの中でも最も重要なものに次のようなホルモンが挙げられます:

エストロゲン 思春期の頃から閉経期まで、卵巣でつくられ続ける女性ホルモン。このホルモンは、月経周期を調節し、妊娠期には子宮粘膜肥大などの準備をおこないます。閉経期に入ると、このホルモンの生成は一気に低迷します。エストラジオールは卵胞ホルモンのうち最も有効なもので、エストロゲンレセプタ(受容体)から子宮、乳房、卵巣、脳そして心臓など多くの組織に関連しており、多くの化学反応を促します。
プロゲステロン 同じように卵巣から生成されるホルモンです。組織の成長や増殖を促し、特に妊娠中の胎児の保護と発育に貢献します。閉経をもってこのホルモンの分泌も終了します。
テストステロン 女性では男性の1/20ほどの量しか生成されないものの、女性の性欲をサポートするホルモンとして重要な役割を持っています。閉経期において、約半分の女性にこのホルモンの分泌停止がみられます。

Estrogen's Wide Reach(エストロゲンの広範囲に及ぶ作用)
エストロゲン自体だけで、体内の400以上に及ぶ作用に影響を及ぼします。主には細胞の増殖(成長)に大きな役割を持つことから、エストロゲン値の変動が様々な症状を引き起こす原因となります。例えば;ほてりやのぼせ、生理不順、乾燥肌(膣周辺部も含め)、不安定な気分、頭がぼーっとする、記憶力の低下、疲労感、性欲減退、不眠症、関節・筋肉痛などがその症状として現れます。

若い女性である場合も、エストロゲン値の変動が時期早尚の閉経を招くことがあります。閉経は段階的に来る場合もありますが、子宮摘出手術を行ったため(子宮が残っていたとしても)突然、月経が終わるといったケースもあります。またはケモセラピー(化学療法)を受けていたため、という場合もあります。こういった状況下の閉経期には、より深刻な症状が見られることがあります。

1940年代、医師らが結論に達したことは:不快な症状がエストロゲン値の低下によるものである場合(プロゲステロンやテストステロンとの相互作用は当時、未だ考えられていませんでした)、このホルモンを補充すれば症状が和らぐのでは、というものでした。しかし、未検査のエストロゲンを安易に補充したため、子宮癌などの発症率が増加したことをきっかけに、医師らは補充治療に急いでプロゲステロンを加え、そういった副作用の問題は解決したかに見えました。しかし結局、この治療の流れを見ていた女性達は「ホルモン補充療法(HRT)」というものに疑いの目を向けるようになりました。特に(5年から10年の)長期ホルモン補充療法が乳癌や子宮内膜の癌などの発生率を高めるとの報告がされたときには、論争が巻き起こったほどでした。(参考資料:Journal of Clinical Pharmacology 37, 1997)。

結果:女性達は医者に対し、一線を引いてしまうこととなったのです。
Resolving The Impasse(難局を乗り越えて)
ホルモン補充療法(HRT)が、ホルモン値が低下することに起因する多くの疾患:心臓病、骨粗しょう症、アルツハイマー、結腸癌、糖尿病などを予防することが確認されていることから、多くの医師達は月経が終了した女性にこの治療を受けることを勧めています。ホルモン補充療法は閉経期の不快な症状も和らげます。しかし、HRT療法を受ける女性は半分ほどに留まっており、受けた者も1年未満でその治療を止めているケースがほとんどです。中にはこの治療の持つメディカルリスクに無関心な方もいますが、多くの女性の場合、この治療に関心はあるものの、その安全性に未だ疑問を感じているのが現状のようです。実際、治療を受けた女性の中には、その副作用として;むくみ、頭痛、めまいなどを訴えている方もいます。

HRT療法に抵抗を感じる女性が多いため、未だ大規模にこの療法が浸透していかない現状を見て、研究者達はより安全なかたちで閉経期に発症しやすい疾患や不快感を抑制する方法はないか、と頭をひねりました。往来の西洋医学からは現代女性のニーズに応えられないことが分かると、今度は「代替医療」界がその研究に乗り出してきました。何百年という歴史を持つ植物学に、新しい技術が取り入れられ、研究は進みました。様々な薬草の相乗効果を引き出し、特別な調合を施し、薬草の利用部分・服用量を調整し、収穫から製造まであらゆるテクニックを駆使することで新たな医療効果が生まれたのです。

多くの研究から、植物ホルモン(フィトエストロゲン)はエストロゲンの持つ発癌作用を抑制し、その間に安全なかたちでホルモン効果を施すことが解りました。また、薬用効果が見られる他の様々なハーブも発見され、それらが身体全体の機能を向上させる作用があることも判明しています。
Help From Herbs(ハーブの助け)
植物学をベースとした臨床試験や科学技術の発展から、大豆や他の植物から生成されたサプリメント(補助剤)が、女性のエストロゲンの形成と機能を再生出来ることが判明しました。また、代替医療界が西洋医療に提言していることとして、女性の閉経期の健康を維持させるにはエストロゲンよりもプロゲステロンの存在に注目することが挙げられています。

天然の大豆またはMexican yam(ヤムイモ)から摂れるプロゲステロンが、薬理学者によりクリームやジェルとして形を変え、エストロゲンの変動から発症する子宮体癌(子宮内膜癌)を予防し、心臓病や骨粗しょう症といった疾病も抑制し、ほてり・のぼせなどの更年期障害も緩和することが報告されています。(参考資料:Fertility and Sterility 69,(多産と不妊)1998: 96-101)

人気のプロゲステロン合成物質を調合された女性の1/4に:テンションが上がった、疲れや不安感が出た、などの症状がみられました;しかし、天然の製品の方が、副作用が少ないことも判明しています。このような“quasi-medicines(準医薬品)”の効能を提唱しているのが、オレゴン州、ポートランドにあるNational Collegeで自然療法学を教える教授で自然療法医でもあるTori Hudson 医師です。彼は、これら準医薬品の効力が、「植物よりは強く、化学薬品よりは弱い」ことを指摘しています。(Hudson医師は著書:『Gynecology and Naturopathic Medicine: A Treatment Manual』(婦人科医学と自然療法医学:治療法)の筆者です)。

Hudson医師によると:この準医薬品サプリメントに含まれるエストロゲンとプロゲストロンの含有量は、ホルモン補充療法に使用される薬品よりもかなり少ないにも関わらず、閉経期に受ける心臓や骨のダメージに対しては、化学薬品と同等の作用を成す、という利点が指摘されています。

サンフランシスコ、カルフォルニア大学のHarry K. Genant博士率いる研究結果によると;大豆やサツマイモなどの植物エストロゲンをカルシウムなどと「少量だけ」服用することで、骨の損傷、性器出血、子宮内膜の萎縮、子宮細胞の異常増殖、など最後には子宮内膜癌を引き起こすことにつながると恐れられていた副作用を抑制出来ることが判明しています。(参考資料:Archives of Internal Medicine 157, 1997: 2609-2615)。

このようなハーブ製品は、天然のプロゲステロンとエストロゲンを含んでいることから、エストリオールまたはエストロンなどのホルモン値が弱く、結果、作用が最も強いDNA破壊因子エストラジオールのはたらきをブロックします。「大豆」は数多くの食品に使用されており、サプリメント(栄養補助剤)とという形からでも摂取可能になっています。この人気食品の大豆の中には、イソフラボンとフィトステロールと呼ばれる物質が含まれており、これらは穏やかなエストロゲン効果を発揮することから、ダメージを受けた膣壁の修復を促すとも言われています。(参考資料:『Journal of the National Cancer Institute』( 癌国立研究所ジャーナル)83, 1991: 541-46)。

子宮萎縮などにより乾燥感のある膣の粘質を高めるためには、学名:cimicifuga racemosa(ブラックコホッシュ)と呼ばれるハーブの浸出液が効果的です。通常はカプセルに入った形で売られ、膣粘膜を形成・修復すると言われています。(Therapeuticum 1, 1987: 23-31)。

また、伝統的中国産ハーブ:rehmaniaとdong quaiの根から作られる治療薬も膣の粘質を高める効果があるとして、古くから使用されてきました。ドイツの臨床試験からも、ブラックコホッシュの薬用効果が報告され、このハーブが、ホルモンのバランスの崩れから生じる;ほてり・のぼせ、発汗、神経症、身体の痛み、うつ病などの症状を予防することが確認されています。

こういったハーブ療法は、視床下部(身体温度、食欲、血圧などを調整するモニターのような役割をする器官)、脳下垂体、エストロゲンレセプタなどにも効果が見られるそうです。

「緑茶」はポリフェノールの宝庫と言われています。その主なものがフラボノイドで、強力な抗酸化作用により、アレルギーやウィルス、発癌性物質などを撃退してくれます。特に乳癌などエストロゲン様作用から発症する癌には、このフラボノイドが直接乳腺にあるエストロゲンレセプタにはたらきかけるため、大変効果的であることが解っています。1日3杯ほどの緑茶を飲むことで、驚くほどの抗炎症効果、抗アレルギー効果、抗ウィルスそして抗癌効果が期待できます。

Susun Weed 氏の著書:『 Menopausal Years: The Wise Women Way (Ash Tree 出版)(閉経期:賢い女性の過ごし方)』の中では、他にもフィトエストロゲン豊富な植物が紹介されています。ここにそのうちの幾つかをご紹介しましょう:マザーワート、lactobacillus acidophilusなどは膣前庭の乾燥感を緩和し;ホップやイラクサは不眠症を改善;アメリカマンサクやナズナ(ペンペングサ)は止血剤になり;マザーワートとイタリアニンジンボクの果実は神経過敏による気分の激しい変動を抑制;そしてセイヨウタンポポとムラサキツメクサがほてり・のぼせといった症状を緩和します。

Our Need For Supplements(我々に必要なサプリメント)
人生の半ばにさしかかったところで、今までの不摂生や悪い食習慣を打ち返すためにも、「微量栄養素」とも呼ばれる身体にとって少量だけ必要な必須食品成分をきちんと摂るよう心掛けることが必要となってきます。この姿勢が、やがて加齢に伴い発症してくる様々な更年期障害を予防するための第一歩となるのです。

あなたが最低限摂取する必要のあるサプリメント:

マルチビタミン/ミネラルのサプリメント
ビタミンE
カルシウム
マルチビタミン/ミネラルサプリメントの中には、ビタミンA・ビタミンB複合体・ビタミンC・D・E・カルシウム・マグネシウム・カリウム・銅・亜鉛などが含まれています。あなたの身体をフリーラジカル(活性酸素)からしっかりと守ってくれる強力な抗酸化物質を様々な方面から摂り入れるよう心掛けて下さい。フリーラジカルは破壊的な有害物質であり、心臓病や癌を誘発するばかりか、身体の老化も加速させてしまいます。

先述のサプリメントに付け加えるものとして:全天然カロチノイド色素の親物質であるリコペン、アルファカロチン、ビタミンC;そして細胞分裂を助け、歯茎・赤血球細胞・胃腸のはたらき・免疫機構の健康を支える葉酸などが必須栄養素として挙げられます。心臓の冠状動脈疾患、血管の障害(狭窄、拡張、硬化など)、発作などに悩まされている患者の30%に葉酸が不足していることも報告されています。葉酸の欠如は心臓病を引き起こす深刻な要因となっていることも確認されています。(参考資料:OB.GYN News, July 15, 1997, page 28)。

65歳以上の女性がビタミンEを余分に摂る事で、乳癌を予防し、免疫力を増強出来るといわれています。(Journal of the American Medical Associationアメリカ医療協会誌277, 1997: 1380-86)。また、ビタミンEは膣の乾燥感や乳房嚢胞病、甲状腺疾患などを緩和するほか、最近では、アルツハイマー病や心臓病も予防することが判明し、専らの話題となっています。更には、頚動脈の壁が肥厚するのを抑制し、動脈硬化の原因となるLDL(悪玉コレステロール)の酸化を止めるのでは、とも言われています。セレニウムもまた、癌の進行を食い止める要素のひとつであることが確認されています。(JAMA 276, 1996: 1957-63)

The Omegas To The Rescue(救い手となるオメガ)
必須脂肪酸は:寒い海で捕れる魚、亜麻の種、サクラソウ(ツキミソウ)やルリヂシャ油、ナッツや種子類、などから摂ることができます。必須脂肪酸は、体内のプロスタグランジンと呼ばれるホルモン調整を行う生化学体の生成を助け、その他筋肉の収縮や血管の拡張、子宮内層部の流出といった生理的はたらきに必要不可欠な成分です。この必須脂肪酸は、ホルモンのバランスに影響を与え、乾燥感やのぼせといった症状を緩和します。

更に、亜麻の種中に含まれる成分は、エストロゲンと同じような作用を成すため、乳癌を撃退出来ることが、トロント大学での実験から明らかになっています。(参考資料:Nutr Cancer 26, 1996: 159-65)。

オメガ-3、オメガ-6といったこれら必須脂肪酸には、放射能による発癌も含め、その他様々な発癌性物質を打ち消す作用があることが多くの研究で実証されました。(Journal of the National Cancer Institute癌国立研究所発行誌,74, 1985: 1145-50)。こういった栄養素の欠如は膨張、凝血、乳房の痛み、のぼせ、子宮の疾患または生理痛そして便秘などを引き起こします。疲れを感じやすかったり、耐久力が落ちたり、肌や髪が乾燥したり、風邪をひきやすくなってきたら、必須脂肪酸(EFA)が欠損してきている注意信号だと思ってください。また、魚油脂とビタミンD、乳糖(ラクトース)を併用することで、カルシウムの吸収を助け、骨の密度を保つことが出来ます。

更に、天然補酵素Aが閉経後の女性のコレステロール値を下げ、脂肪の燃焼を助けます。(参考資料:Med Hyp 1995: 44, 403, 405)。この補酵素Aが、免疫機構を向上することから、女性の感じるストレスを緩和させる主だった役割を担っていると、多くの研究者達は考えているようです。
Still Suffering ?(未だお悩みですか?)
閉経による諸症状に未だお悩みですか?それはあなたが閉経という事実を恐れ、苦しいという錯覚に陥っているからなのです。人生も半ばまで来れば、甲状腺の異常も、様々なストレスも、PMS(月経前症候群)の苦痛も、副腎機能や胃腸の衰弱も、低血糖症も、どの疾患にしてもかなり高い確率で起きてくるようになるのは当然です。そんな時に来る閉経は、そういった身体の具合の悪さをすべてなすり付ける恰好の的なのです。そしてそういうときにこそ、後ろに隠れている本当の病気を見逃してしまいがちになるのです。ですから、中年期にさしかかった女性は、自分の健康のベースラインを見極めるべく、適切な検査を受け、しっかりと健康のチェックをしておきましょう。適切な分析が行われた上でしか、あなたもあなたの主治医も正確な処方と満足のいく治療は見つけられないのです。

そしてもし、閉経がその障害の原因であるならば、心配は無用です。あなたの仲間は全世界に大勢います。閉経を免れる女性はこの世にいません。皆に訪れる生理的現象なのです。だれもこれによって死ぬこともありません。病気ではないのです。ただ身体が、未だ人生の1/3が残っていますよ、と教えてくれているのです。ベビーブーム世代の女性達が今、出産とは違う更年期という新しいイベントに臨むこととなったのです。ここで新分野への新たな興味が沸いてきています。自身の体内での変化を乗り越えた閉経後の女性は、初めて自分の人生の醍醐味を知るのです。こうして熟年の域へと達するのです。戸惑い、疑い、バランスの崩れたホルモンに振りまわされる時期は過ぎ去るのです。今度は知恵と経験が取って代わります。若さを切望したり、歳を取ることを恐れる必要はないのです。

閉経とは:気持ちを持ち直し、身体を見つめ直し、再スタートをきるための警笛なのです。

Visiting Your Health Practitioner : A Menopausal Woman's Guide
(医者に通う:閉経期にいる女性のためのガイド)
閉経期に必要な栄養・生活態度を認識する。自分で気になる点などを深刻なものから順に書き留めておく。
HRT(ホルモン補充療法)だけにとらわれずに、医者のアドバイスを受けながら、可能な治療法全てに目を向ける。
自分の健康のベースラインを見極める。適切な検査、健康診断を受け、生活習慣、家族の病歴など、自分と医師とによる正直で現実的な健康評価を下し、そこから治療法の決断をすること。
医師に協力すること。閉経期の症状を、精神面・肉体面から克明に記したカレンダーまたは日記を作成すると良い。最後の生理があった日を記しておくこと。可能であれば、家族に心臓病・骨粗しょう症・アルツハイマー・結腸癌・糖尿歴があったか調べておく。
HRT(ホルモン補充療法)に関しては、やる気がない場合または継続する意志がない場合においては承諾しないこと。
かかりつけの医師からHRT(ホルモン補充療法)しか、症状を治す方法がないといわれた場合:
A)その医師があなたと共に、個人的に起こり得るリスクを挙げ、現在の症状を予防・緩和できる他の方法を探究してくれる意志があるか確認をとる。

B)その医師に、他に同僚または先輩などで、更年期障害に関して豊富な知識を持ち合わせている医師がいるか聞いてみる。





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