■ エストロゲン(Estrogen):Marla Ahlgrimm(マーラ・アールグリム)、John M. Kells(ジョン・M・ケルス)共著「The HRT Solution」によると、3つの成分からなるグループと定義されています。エストラジオールは、最も強力なもので主に卵巣で分泌されます。体脂肪に蓄積されたホルモンから派生するエストロンは性質は似ていますが、エストラジオールより効果が薄いといわれます。最も有効性の低いエストリオールは主に妊娠中に分泌されます。強力な抗酸化剤エストロゲンは、フリーラジカルによる損傷から動脈を保護するものです。HDL(「善玉」コレステロール)の分泌を増し、LDL(「悪玉」コレステロール)を低下させます。また、血中の凝血形成物質濃度を下げ、脳細胞間のメッセージ伝達を活発にもするのです。皮膚の組織を作り正常な状態を保つ結合組織、コラーゲンの生成を支援します。骨の中のエストロゲン・レセプターは骨の質量維持に力を貸し、体のカルシウム活用を支えるものです。
Journal of National Cancer Instituteに掲載された研究によると、エストロゲンは胆汁酸を減らして結腸がんの危険性を低下させるということです。また、Mary Ann Mayo(メリー・アン・メイヨー)、Joseph L. Mayo(ジョセフ・L・メイヨー)両医師は、共著「The Menopause Manager」の中で、血糖バランスを改善し、糖尿病患者にありがちな心血管系障害を防ぐと指摘しています。
The Hormonal Balancing Act(ホルモンバランス法) 原則的にエストロゲンとプロゲステロンは、不安定な状態で一緒に働きます。エストロゲンが多すぎると、子宮内膜に異常な蓄積や多量の出血が見られます。またプロゲステロンが少なすぎると、受胎が困難になったりPMSが悪化したりするのです。
エストロゲン補充の実情はどういうものでしょうか。遡ること1968年、Robert A. Wilson(ロバート・A・ウィルソン)氏は著書『Feminine Forever』の中でエストロゲンの若返り効果を宣伝しており、この10年ほどの間にエストロゲンの売上は女性の間で急増しました。しかし、1976年のNew England Journals of Medicineは、エストロゲン補充と子宮内膜がんとの関連性を報告しており、女性をエストロゲン補充から遠ざけました。
HRTと閉経期後の女性の死亡率を調べた、大規模で長期の研究報告がThe New England Journal of Medicine に掲載されましたが、これによると10年以上ホルモン治療を受けた女性は、どんな病気が原因でもその死亡率が20%減少したということです。1976年(被験者が30歳から55歳)に開始されたNurses' Health Studyの一部となる研究では、HRTを10年行うと死亡率が37%低下したことを明らかにしました。特にHRTは、心臓病での死亡率を53%、卒中で32%、がん全般では29%、乳がんで24%低下させたということです。 The Natural Stuff(自然物質) 人の平均余命が長くなると、おそらく女性はHRTを長年にわたって受けることになると専門家は指摘しています。しかし、それほどの長期的な影響については不明なのです。
New Mexico School of Herbal Medicine and ResearchのTieraona Lowdog(ティエラオナ・ロウドック)医師は『HRTを15年、20年と受けるとどうなるかまだ分かっていない。長期に治療を受ける女性が、若いころ避妊薬を飲んでいた場合は特にである。彼女らが人生を通して受けるエストロゲン量はかなり高いものになる』と述べています。
Soy, Nature's Estrogen(大豆、自然界のエストロゲン) Archives of Internal Medicineの中で研究者は、大豆やヤムイモから抽出した植物エストロゲンの少量摂取で、閉経期の女性406人の骨損失を防ぎ、のぼせや寝汗、乳房の痛み、頭痛、吐き気を緩和したことを報告しています。この研究に参加した女性はまた、コレステロール値もかなり下がりましたが、エストロゲンの多量摂取が関連すると思われる膣出血や異常な子宮細胞成長といった副作用は見られなかったということです。大豆やヤムイモ・エキスの他に、被験者はカルシウム補助剤を毎日摂取しました。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校の主任研究者であるHarry K. Genant(ハリー・K・ジナント)博士によると、合成エストロゲン補充治療を始めた女性の多くは、乳がんの危険性増加などの副作用のため2年以内で治療を止めています。東洋の女性は大豆が多く含まれる食生活を送っており、更年期障害で苦しむことも少ないといわれることから、欧米人はきっとその東洋からヒントを得るでしょう。日本では、『hot flash(のぼせ)』の専門用語はないということですし、乳がんの罹患率もアメリカに比べると低くなっています。
Yam Cream for Bone Density(骨の質量問題にヤムイモ・クリーム) カリフォルニア州ロサンゼルス在住の鍼専門家Majid Ali医師によると、38歳から83歳までを対象にした臨床研究で、自然プロゲステロンを含む野生ヤムイモDoiscoreaのエキスクリームを使用している女性は、骨質量が平均25%増加したということです。
Estrogen Loss: A Threat To Men(エストロゲンが無くなる:男性の気がかり) エストロゲンは、女性の体に豊富にあり、大きな影響を与えますが、男性の体内でも分泌するものです。男性のエストロゲンは、65歳頃から少なくなり骨の損失を導きます。National Osteoporosis Foundationの推定では、米国の骨粗しょう症患者1千万人のうち150万人が男性。昨年12月に開かれたAmerican Society for Bone and Mineral ResearchとInternational Bone and Mineral Societyの会合でそれぞれ発表された研究報告によると、骨粗しょう症に罹りやすい男性では、テストステロン不足よりむしろエストロゲン濃度の低下を表したということです。ただ、男性のエストロゲン補充治療が前立腺障害や性的不能を起こす危険性が指摘されていることから、医師らはさらに研究の必要性を主張しています。
Herbs and Nutrients to the Rescue(苦痛緩和のためのハーブや栄養素) 次のようなハーブや栄養素は、若い女性から更年期の女性に至るまで広く使われています。
苦痛緩和のためのハーブや栄養素 Dong Qual 中国ハーブに含まれるフィトエストロゲンで、エストロゲン濃度を維持すると考えられています。のぼせを和らげ、疲労感やホルモンの不安定を緩和する活力促進剤。 Black Cohosh (キンポウゲ科サラシナショウマ属) エストロゲン性ステロールやエストロゲン、プロゲステロン、テストステロンの基本成分を補給すると考えられるフィトエストロゲンを含みます。 Steven R. Goldstein(スティーブン・R・ゴールドスタイン)医師とLaurie Ashner(ローリー・アシュナー)氏は共著「Could it Be... Perimenopause?」の中で、ドイツで行われた女性80人を対象にした研究では、Black cohoshを摂取するとPremarin(プレマリン=雌馬の子宮から化学的、薬学的に合成された)と同じ症状緩和が見られたということです。一方偽薬を摂取したグループにはそれほどの変化は見られなかったことを報告しています。 Chasteberry (イタリアニンジンボク) このハーブに含まれるフィトエストロゲンは、女性ホルモンのバランスを保ち、PMSや更年期障害の辛い症状を緩和すると考えられています。Ruth S. Jacobowitz(ルース・S・ヤコボウィッツ)著「Estrogen Answer Book; 150 Most-Asked Questions About Hormone Replacement Therapy」によると、 効果が現れるまで数ヶ月継続する必要があるということです。 Ginseng (朝鮮人参) 植物化学物質がエネルギーを促進。スェーデンで行われた研究では、朝鮮人参摂取で更年期の女性の40%に健康向上が見られたと指摘されています(1997年に開かれたNorth American Menopause Societyで発表)。 Vitamin E Susan M. Lark医師は著書『Woman's Health Companion:Self Help Nutrition Guide and Cookbook』の中で、1943年のBritish Medical Journalに掲載された閉経期女性47人を対象にした草分け的研究を紹介していますが、これによると、ビタミンEの摂取で被験者の64%にのぼせ症状の緩和が見られ、膣の萎縮症状も少なくなったということです。 B Complex (ビタミンB複合体) この栄養素は、有害なエストロゲンを転換し排泄させます。Raquel MartinとJudi Gerstung両氏は、エストロゲン濃度を制御する肝臓の働きを助ける可能性を指摘しました。
この記事は米国健康情報誌 Energy Timesの1999年3月号から抜粋されたものです。 This article is selected from Energy Times, and translated by EarthPure.Energy Times is published monthly by Energy Times Inc., a division of NATURAL ORGANICS, Inc.All rights are reserved.