マックの文弊録

マックの文弊録

2005.07.20
XML
◇水曜日:旧暦六月十五日 乙巳(きのと み)茅ヶ崎寒川神社浜降祭

Lexington Green僕の海外歴はアメリカのニューイングランド地方から始まる。
「マサチューセッツ州の京都」とも言われるボストンから、北東に車で30分ほど行ったレキシントンという小さな町に、夏の終わりから秋の終わりまで、三ヶ月余り滞在していたのだ。
「紅葉は日本が最高。海外のそれは黄葉であって、紅葉ではない。」などと云われていたのだけど、それは文字通り「真っ紅なウソ」。

ボストン市内は、蔦をまとった古めかしい煉瓦色を背景に、黄葉や紅葉が映えていた。
北のニューハンプシャー辺りまで遠出すると、なだらかに起伏する山の広がりが、見晴るかす限り紅と黄の文字通り「綾錦」で覆われていて、涙が出るほど美しかった。

ニューイングランドという名前の通り、マサチューセッツやメーン、ニューハンプシャーなどは、英国からの移民が始めてアメリカ大陸に根を下ろした場所である。そして後に当時のアメリカが、宗主国から独立するために戦った場所でもある。だから、あちこちに古戦場が沢山ある。

Church on Lexington Green僕が滞在したレキシントンも、そうした古戦場の史跡の街である。
訪問先のオフィスから、教会の脇の路地を抜けて直ぐのところに、レキシントン・グリーンというサッカー場ほどの芝生の広場があって、これが実は当時の戦闘の有った場所を記念保存する公園になっているのだ。

この公園の一角には、敵の襲撃情報が入るや「一分以内に、おっとりライフル」で駆けつけてきたミニットマン(昔そういう名前のミサイルがあった)の銅像もあるし、近郷近在の俄か兵士たちがひそかに集合して作戦を練った旅篭(Tavern)もある。

当時の同僚と僕は、このレキシントン・グリーンの上でよくお昼を一緒にしたのである。そして、・・・・潜水艦を食べたのだ。

レキシントン・グリーンから小路を隔てて直ぐのところの、屋台に毛の生えたような店に並んで、自分の順番が来ると先ず「全艦か半艦か」を決める。そして次に「乗組員」を順に選抜していくのである。
レタス、ハム、マシュルーム、トマト、玉ねぎ、ピクルス・・・・・
まだまだ続く。
マヨネーズにするか?ビネガーか?マスタードは?・・・・・

Lexington Tavernニューイングランド地方の英語は早口だ。それにBostonianといって、ボストン周辺は訛りのある英語が特徴である。
てきぱきとなれた調子で注文していく土地っ子に混じって、初めての海外で、しかも覚束ない英語で、希望通りの兵装を施した潜水艦を調達するのは、毎回至難の業であった。
もう30年ほども前のことである。

その後随分、本当に随分たってから、会社の近くの地下鉄外苑前駅のそばに、Subwayというサンドイッチショップができた。
小ぶりのフランスパンに、色々な兵装を施したあの潜水艦を商う店だ。
懐かしくて何度か利用したけれど、あの緑滴るレキシントングリーンに白く高く聳えるポールを見上げながら食べた潜水艦の方が、やっぱり間違いなく美味しかった。

ところで、Subwayは、例え地下鉄外苑前駅のそばにあっても、地下鉄とは全く関係ない。
SubはSubmarine(つまり潜水艦)のSub。wayはYour way(つまり、「お気に召すまま」)ということ。
要するに、「お好みの兵装の潜水艦をどうぞ」という意味なのだそうだ。

でもこのSubway、今では余り見ないような気がする。外苑前のお店もいつか無くなってしまった。より良い立地を求めての、マーケティングの理由に過ぎないかも知れないが。

あの、レキシントン・グリーンのお店の名前は覚えていないが、Subwayの一号店はコネチカット州だったそうだから、少なくとも「元祖潜水艦屋」でなかったことだけは確かだ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2005.07.25 01:51:46
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

プロフィール

求連帯而懼孤立!

求連帯而懼孤立!

カレンダー

バックナンバー

2026.05
2026.04
2026.03
2026.02
2026.01

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: