5話幸せとは



これまでダンスパーティについて書いてきたのは、このことを言うためにでした。前提があったほうが想像ももっとできるかな?と思いまして、、、


みんなダンスパーティの日、リムジンやら父ちゃん母ちゃんや家族ご自慢の高級車で女の子(シンデレラ)を家まで迎えに行ってやってくる。中にはグループデートのように4人や6人で乗り合わせてくるカップルもある。そして、これは生徒に見せてもらった写真でわかったのだか、なんと高校生なのに。。。ちょっとリッチなホテルなんかも借りていたりする。そして、ちょっと早めに姫を迎えに行き、狼に。。。いやいやクラス全員分はいるような大きな部屋を借りていて、そこで前打ち上げをして(先生たちいないしね)告白したい人は告白タイム。女の子たちはちょっと写真撮影してみたり。でも、おそろしや。ちゃんと一泊借りている。こらこら。

ここであの先生たちがやる出席簿が役に立つ。「いつ来て、いつ帰ったか。その間はしっかり監視してますが、その前その後は、ご家庭の責任ですからね。」と。

生徒ロス君(仮名)は、3人で先生たちが迎えるダンス会場にやってきた。女の子と男の子とロス君。ロス君、タキシードに花を胸に添えて髪の毛は今風リーゼント、黒いサングラスをかけたり取ったりきどってみせている。

先生「は~い、ロス!元気?」
ロス「先生今晩は。僕のサングラスかっこいい?」
先生「あ、ううん。かっこよくきまっているね。」
ロス 笑顔
先生「今日は、えっと、えっと、一人。。。?」
ロス「うん、そうだよ。」
先生「(返事に困る。)よく来てくれたわね。楽しんで言ってね。写真撮影場所はあの右奥だけど、どうする?」
ロス「(彼の男友達をみて)行こう!」
先生「いってらっしゃい。」
ロス君とカップルは撮影所の中へ。
で、彼はどうも一人で写真撮影するらしい。そして、したのだ。私は、思わず相手いないんだったら一緒に写ってあげようか(ず~ず~しい?)といおうと思ったけど辞めた。もしかしたら、その3人組、女の子が変わりにロス君とも一緒に撮影するかも。でも、しなかった。

そして、ロス君パーティの間中も楽しそうにしていた。

私はロス君に感動してしまった。
この人大物になるわ。だって、高校生というと多感な時期。ちょっとしたことにへこんだり気にしたりする。なのに、彼はからっきし明るい。パーティ行ってみたいから、参加したのだ。相手がいなくても。相手なしで、しかも男だけの連れがいるでもなし、
参加したい=参加しよう
ーだけど相手がいない。というマイナス部分はすっポーンと抜けている。
こんなシンプルな方程式でいける人いるだろうか?
ちなみに殆どの彼の友達はきていなかった。まず、極度の恥ずかしがりやだったり、そんなもん興味なし漫画読んでたほうがいいよタイプだったり。

私はロス君から確実に人生学びました。
明るく行こう!
行きたかったら行け!回りが何だ、暗黙の常識がなんだ。突き進め!

そして、後日出来上がった写真には花が無く、タキシード姿の少年一人嬉しそうにポーズをとっているロス君。みんな写真交換なんかして裏にメッセージも書き添えられている。ロス君、私のところにきた。「先生、僕のプロムの時の写真欲しいでしょ?」

「ありがとう。」というしかないでしょう。私はかなり感傷的になっていたのだ。かわいそうに、男の子一人でね。そういえば、パーティ当日みんなが帰り際にもらった写真入りキーホルダー。彼は2個ももらっていた。

その後も、ロス君私に何か聞きたいことがあったら、自分の納得いくまで聞いてくる。し、ついてくる。昼休みもそうそうにお弁当を食べて私の部屋にやってきていろいろ話したり勉強をもっと教えて欲しいとやってきていた。

そして義理堅い。かならず季節のご挨拶と誕生日には連絡をする。

いつも明るい。

そしてあのとき女の子たちが絶対に一緒に写真に写らなかったのがわかった。私にも「先生、無視しなきゃだめよ。すごいんだから。同情しちゃだめ。」と忠告していたのもわかった。

彼は上手に勘違いして、自分の人生を謳歌している。
見習わないといけない明るさだ。
強く明るく、自分の気持ちに正直に。そしてめげない。
これは意外と成功の鍵なのではないか?



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