うたたねの店

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旅の途中


恋愛は旅行に似ている。

日常生活の時間の流れで、恋愛の相手と過ごしている時間は止まっているように感じたりする。それは現実のような現実ではないような感じ。

旅行中は非・現実的なので、些細なこともドラマティックに感じたりする。

ごく普通の容姿、もしくはお世辞でも格好がいいとは思えない人だとしても
ある瞬間ものすごく素敵に見えたりして。
まるで魔法にかかったように見えたりする。ある種の魔法があるのだと思う。

彼と初めて行った映画、初めて手をつないだ場所。
初めて名前を呼んだ時。
ひとつひとつが、旅行の行先に似ている。
旅行の行先にたどり着いた瞬間の高揚。ドキドキする感覚。
一緒に過ごした時間が全て心のフイルムに納められる。
もしくはワンシーン、ワンシーンがデジカメの画像みたいに残ったりする。



長く一緒に旅行をしていたとしても
波長や感覚が違ってきて、もう旅行をやめようと切り出す。


ひとつの恋愛が終ろうとしているとき、私は自分の中でこころの整理を始める。

最初はいいと思えた彼との関係。
けれど何となく距離感が違っているように思えてくる。
距離感、というのは意外に重要な問題である。


私が恋愛について相談した人によると
「我慢できるかどうか」なのだそう。
相手の悪いところ、色々な欠点が我慢できるか。
結局は許せるかどうか、なのだという。

別れというのは旅行の最終日。
旅行の終わりは、何だかむなしいような感覚。



人生には恋愛適齢期というのがあるのだろうか。

本当に運命の人はいるのだろうか。

私はいつも手放してはいけない人を手放しているのではないか?

ひとときの心の高ぶりによって、人を傷つけ、自分を傷つけ
もがいているだけなのだろうか。


結局は恋愛は旅行のようなもの。
そして結婚は現実。
自分の前には道はなく、
自分が歩いてきた場所に道ができる、と言ったもので

右往左往しながらも自分の道を探し訪ねながら
どこから自分はやってきたのか
そしてどこに向かっているのか
誰も教えてくれない

自分はきっと知っている。


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