オレとアイツ アイツとアタシ


「いや。咲也と帰りたくない…」
オレこと咲也(さくや)はいつもの調子で誘い
いつもの調子で断られた。
アタシこと雪花は(せつか)はいつもの調子で誘われ
いつもの調子で断った。
――離れたくない――
――離れたい――
ふたりの平行線。
「~~~っ帰るぞ!!」
ぐぃっ
「!」
咲也は雪花の手を引いた。
「ちょっいた…っ」
“なにすんのよ”とばかりに睨み付けようとして咲也の顔を見たが
「――っ」
(あ…)
言葉に表せない咲也の表情に――
怒る事が出来なかった。
(このままじゃ…いけないって分かってるのに…)

「なー咲也。お前、雪花チャンとどうゆう仲なん?」
ドキっ
何も知らない親友・正斗(まさと)は無邪気にふたりの関係を聞いてきた。
「ど どうゆうって…っ」
自分でも分からない。
友達?
いや、そんなんじゃない。
こっちが教えてほしいぐらいだ。
そもそも雪花はオレのコトどう思ってるんだ―――?
「雪花チャンってかわいーよなー」
「!」
「なんてゆーの?ブリブリしてないし。
あんなに美人なのに自分の事かわいいとか思ってないとことかいいよな」
(お…っおいおい)
「というわけで協力しろよな!」
(待てコラ~~~~~~~~~~~!!)

そしてそれと同じころ―――

「わたし咲也クンのコト好きなんだー」
にっこり笑って隣のクラスの南(みなみ)が雪花に話していた。
「へ…へぇ~」
別に仲が良いとかではなかった。
機会があって何度か話したことがあったぐらいだ。
「それでね~雪花チャン、咲也クンと仲良いみたいじゃん?」
(!)
「よ…ッ良くなんかないヨォ!」
雪花は慌てて否定をした。
南はそんな雪花の姿を見て胸をなでおろした。
「よかった~。それじゃ雪花チャンは咲也クンのコトなんとも思ってないだねー」
「え…うん」
「じゃぁ協力してくれるよね!?」
――“うん”――
そう言った瞬間、
胸にすきまがあいたような妙な感覚があった――
(…もしかしたら)
――もしかしたらこれはいいチャンスなのかもしれない。
アイツから離れる…
この思いから離れる…
そして気付いた時には
「――いいよ」
そう言ってたんだ。

「あのね…デートしない?」
きょとんっ
咲也と雪花の帰り道。
いつも黙っている雪花の方から咲也に話しかけてきた。
「――えっ」
咲也は自分の耳を疑った。
(そ…っそれって…オレのコトを…!?)
「―って南チャンがさ」
「――…え゛!?」
「南チャン、咲也のコト好きなんだってー」
たんたんと話す雪花。
ズキン…
「そ…そっか。実はさ…正斗がお前のこと好きなんだと。
それで協力する事になって…」
なに言ってるんだ、オレ…
協力するつもりなんてなかったのに。
何かが切れてしまったように――
口にしてしまった。
「え そ、そうなんだ…」
ズキン…
「…――じゃあさ!Wデートでもするか?」
なんでもいいから言って…
言葉をつないで…
早くこの場から立ち去りたかった。
「そだね…」
そしてふたりがそんなやりとりをしているうちに雪花の家の前についていた。
「じゃ じゃあな!」
そう言って咲也は足早に去っていった。
ズキン…
雪花はそんな咲也の後姿を見て胸をおさえた。
(痛いよ…――)
そして咲也も走りながら――
(痛ぇよ…――)
どこまでも続く…
―――ふたりの平行線―――


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