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そして、証人の弾劾は丁寧にやる方が良いです。
つまり、証人の証言から何が言えて何が言えないのかを説明する必要があります。
たとえば、「証人は喧嘩の一部始終を見ていたと言うが、本当は、時々目を離していたから、証言は信用できない」と言いたい場合、「時々目を離していたから信用できない」というだけでは不十分です。
これだけだと、「確かに目を離していたかも知れないが、重要な部分は見ていた」という評価を許してしまい、証言が信用できないという結論には至ってくれません。
あるいは、一旦弁護側に納得をしてくれた裁判員が、評議室で、検察側に納得をしている裁判員に「確かに目を離していたかも知れないけど、結局は、重要な部分は見ていたといえるのではないでしょうか。」という発言に対し、反論できず、論破されてしまうということにもなります。
そこで、「目を離したときに、本件にとって重要な事項が起きていた可能性があるから、信用できない」とまでいう必要があります。
このように、裁判員が評議室で弁護側に立って議論できるだけの証拠の評価をするのが肝要というわけです。
なお、繰り返しになりますが、最終弁論では、証人の弾劾に限らず、証拠の議論を自由にやるべきです。
逆に、証拠にないことを言うのは厳禁です。
当たり前ではないかと思うでしょうが、意外とやってしまいがちです。
特に、被告人質問で質問しようと思っていた事項を余り質問できなかったにも拘わらず、最終弁論では、事前に準備していた原稿のまま読んでしまうなんてことは、私もやってしまったことがあります。
あるいは、最終弁論でつい熱が入ってしまい、証拠では、被害者は1回しか被告人を殴っていないのに、「被害者は、被告人を何回も殴りました」などと言ってしまうのもNGです。
これをやってしまうと、異議の対象になることはもちろん、裁判官・裁判員の信用も大きく失います。
さらに、熱が入る余り、押しつけをするのも良くありません。
「証拠上明らかです」「これ以外あり得ません」などというと、むしろ裁判官・裁判員は、「本当なのだろうか?」と猜疑心を持ち出します。
これは、根拠となる論証がないのに、押しつけをしてはいけないのは当然です。
「根拠が無いから、言葉で押し切ろうとするんだ」とあっさり見抜かれます。
ただし、根拠となる論証があっても、やらない方が良いです。
人間、押しつけられると、反発したくなるのが人情だからです。
あと、最終弁論でも、不要なことを述べる必要がないのは同じです。
テーマを絞って、メリハリをつけて話しましょう。
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