マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2007.09.30
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<だから人生は面白い>

 144km地点の小木港で飲食したのは、トマト、稲荷寿司、さつま揚げ、それに豆乳。こんなレースでは極力自分の食べたいものを食べるのが私の流儀。その方が走るためのエネルギーになるし、走後の回復も早いと思うのだ。直江津へのフェリーが出る港に別れを告げ、サングラスをかけ急いでR子さんの後を追う。

 そのR子さんが思わぬ場所から出て来た。何と道端のパチンコ店だ。「そこではランナーに冷たい水や食べ物を提供してくれるんです」と名前の通り涼しい顔をして言う。昨日は複数のマスコミがコースで取材しており、きっと島の人達は報道で私達のことを知ったのだろう。先ほどの食べものがようやく効いて来たのか何だか足取りが軽くなり、ついにR子さんの前に出た。

 150km地点の大泊集落付近まで来ると遥か彼方の海上に対岸の米山が見え出す。ここでは潜水漁法でもしてるのか、水中の呼吸音みたいなのが聞こえた。12時12分。154km地点の大杉集落で前方に3人のランナー発見。近づくとD口氏、東京のY本さん達だった。驚いたような表情のD口氏。昨年追い着いたのは今思えば確かゴール手前20km付近だったし、今回は私が第2仮眠所で休んでいることを知ってるはずだから驚くのも無理はない。「暑いし眠い」と私が言うと、「もう足が痛いんですよ」とY本さん。「ゆっくり行くね」と言って先行する。

 13時8分、159.5km地点の赤泊港に到着。昨年も入ったお店で牛乳とアイス最中を買う。歩きながらアイス最中を食べている後ろから私の名を呼ぶ声がする。わざわざ第3ASへ応援に駆けつけてくれた鼓動のメンバーの方だった。手を振って応える。橋を渡った辺りで前方にランナー発見。近づくと横浜のS潟さんみたい。歩いてはいるが表情も足取りも実にしっかりしている。「お疲れ様」と言ってここでも先行。

 164.5km地点が昨年の第4ASで迂回路の山道への分岐点だったところ。確か昨年は祭りの太鼓の音が聞こえた神社の境内で軽い食事を摂っている目の前を、S潟さんが脇目も振らず歩いて行った。食事を済ませ早速彼の後を追う。だがどうもおかしい。道路標識がピョンピョン飛び跳ね出した。幻覚がついに白昼に襲って来たのだ。

 無理も無い。昨夜は一睡もしていない上に、今日も気温が高かった。きっと疲労が極限まで達しているのだろう。バス停の小屋で眠ろうと思って行くと中が汚い。次のにしようと諦めたその時、向こうで手を振ってる人が見えた。H多夫人だった。体調が悪く、D口夫人と一緒に第1仮眠所でリタイヤした由。私が眠くて倒れそうだと言ったら肩を貸して案内してくれた。

 そこが170km付近の浦川内にある最終ASだった。芝生の椅子に座ると、スタッフのT本さんが黙って缶ビールを差し出した。一瞬、ん?と思ったが構わず飲んだ。美味い。こんな状態でもビールが飲めるのには驚いた。もっと驚いたのはH多夫人の話。これからバスを乗り継ぎ、昨年沿道で応援してくれた方に会いに行くとのこと。どこの集落のどの人か私は知らないけど、そのために彼女は仙台からお土産まで持参した由。日ハムの監督じゃないけど、「信じられな~い!?」

 レースに復帰した後も異変は続いた。今度は波の音が人の話し声に聞こえるのだ。幻覚に続いて日中から幻聴を聞くとは。奈良時代に対岸の柏崎との連絡航路が開かれていた171km地点の松ヶ崎集落を通過。ここからは真野にある国府などへ官道も敷かれていたようだ。

 16時15分。174km地点の岩首でようやくS潟さんに追い着く。岸壁で休みながら話をすると彼の故郷は愛媛の松山で、何と小学校、中学校は私の24年後輩だったことが分かった。これだから人生は面白い。206kmものレースの最中に偶然出会った遥かな後輩に、稲荷寿司とさつま揚げを勧める。「美味しいですねえ」。思わずほころぶ彼の顔。





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Last updated  2007.09.30 19:11:57
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