マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2011.03.30
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◎3月27日(日)<震災17日目>

 朝食後、近所の温泉へ直行。2度並んで整理券を2枚ゲットし、他の人と交換して同じ時間帯のものが2枚揃った。着替えも含めてわずか30分間の入浴タイムだが、これで妻も体を洗えると喜ぶ。入浴ルールを書いたメモと整理券をテーブルの上に置いて、久しぶりにランニングに行く。

 17日遅れで届いた医療用インソールの具合が果たしてどうなのか。そして今月まだ8kmしか走っていない足が正常に動くのか。その2つが問題点。やはりゆっくりと走る体力しかないようだ。何と言うのろまなランナーなのだろう。いやこれではジョガーとも言えないだろう。途中、震災のため臨時的に開けた消火栓で給水。

 坂道往復を繰り返し47分走って帰宅。走ってみての感触は、自分勝手にインソールを削ったのが原因で、足底部のフォロー機能が乏しい感じ。これでは薄過ぎて医療用インソールの役目を果たさないかも知れない。20kmほど走った場合はどうなのか。そして100kmクラスのウルトラレースで、障害が出ないかが心配。

 帰宅するとメモと入浴用整理券が裏返しになっていた。それは妻の「自分は行くつもりはない」と言う意志表示。買い物から帰った妻に声を掛けたが、手を横に振るだけ。12時20分頃に温泉へ到着。何度か入った人の話だと、30分を過ぎて入っていても文句は言われないそうだ。少し様子が落ち着いて来たのかも知れない。

 洗い場に座ってシャンプーを始めようとしたら置き場所に無い。隣の人が戻さないのだ。不思議に思ったが黙ってそれを取り、頭を洗った。体を洗っている途中、隣の男の人の体が小刻みに震えていることに気づいた。「どこから来たのですか」との問いに、石巻で津波に遭って逃げて来た由。その声も正常とは言えない。

 どこをどう逃げたのか全く覚えていない。拾ったジュースを飲んだら油の味がした。石巻から古川までは自衛隊のヘリコプターで運ばれた。避難所で2日間過ごしたが、1日の食料が乾パン1枚だけだった。古川から兄弟が住む仙台まで、再び自衛隊のヘリコプターで運ばれた。会社は海に流された。自分は1人暮らしで、温泉に入るのは初めて。私の問いに、ボソボソと答える男の人。

 体に少し泡が着いたまま、彼は浴槽に入った。お湯の中にタオルを入れるので、「それはダメだよ」と教える。見せてもらった彼の手はボロボロ。夢中で何かを掴んだのだろう。死んだ人をたくさん見たと言う。その恐怖が未だに去らないのだ。「元気を出してね」と肩に触れて、私は先に出た。

 廊下でジュースを飲み彼の分も買って待っていると、ある女性と話す彼。それは心配して待っていた妹さん。彼女は車に乗って逃げたそうだ。「白髪染めがまだ出来なくて」と、こちらは身なりを気遣うだけの余裕がある。今は仙台の姉宅で世話になっている由。「兄が他人と口を利き、笑顔を見せたのは震災後初めて」と妹。「親切な人がいてくれて助かりました」と丁重に礼を言われた。よほど嬉しかったのだと思う。

 夕方の散歩でトムに会う。彼はラブラドル犬のオスで体が一際大きい。震災当日は庭で留守番中。地震で開いた戸から家の中に入り、倒れる家具を避けながら震えていた由。それ以来、余震の都度怖がって家族の布団に上がるらしい。夜だけ玄関に入れる我が家のマックスは余震のたびに立ち上がり、頭や体を撫でるとようやく安心する。彼らにとっても今回の地震は大変な恐怖だったと思う。

 ブログへはS木さんからのメモ。古川グループでは往復36kmの「買い出しラン」を決行した由。トレーニングを兼ねてと言うから恐れ入る。翌日も再び「買い出しラン」を行う予定。K野さんのHPなどで津波被害の写真を見たが、景色が一変してしまった。

 田圃に海水が入った塩害で今後数年間は稲作が不可能とか。また農機具の買い替えには約1千万円が必要らしい。宮城県内では1割の自動車が被災して廃車扱いとなり、県の被害総額は1兆円超で年間予算額を上回る由。

 この状況下でも「さくら道」270kmは決行。「野辺山100km」は中止が決定。





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Last updated  2011.03.30 18:22:52
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