マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2012.04.13
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カテゴリ: 健康
 相棒との出会い 

 4月9日月曜日の午後1時過ぎ、K病院の9階食堂で私は待っていた。この病院に入院するのは2度目。今回も不整脈の手術をする羽目になったが、別段不節制をした訳ではない。通院しているM医院のドクターからは、「もし体調が悪くなったら救急車を呼んでK病院に行ってください」と言われていた。幸いそんな事態は起こらず、入院の日の午前中まで仕事をしてから駆けつけたのだ。

 私はMドクターを信頼していた。だからこそ彼の進言を受け入れ、手術を受ける気になったのだ。そのドクター自身が不整脈の持ち主だったことを、つい最近になって知った。循環器内科の専門家が不整脈の持ち主とは皮肉だが、往々にして人生にはそんなことが生じる。正直言って最初の入院と手術にはビビった。不整脈とは言え、心臓に手を加える不安と恐怖は相当なもの。

 手術後まるまる1ヶ月間ランニングを禁止されたことも辛かった。それが執刀医の命令とあらば、患者は受け入れざるを得ない。それなのに1カ月検診を終えたその夜、不整脈を抑える薬を止めた途端に激しい動悸が襲ったのだから、私が受けたショックは並大抵ではなかった。あれから1カ月。前回の手術からほぼ2カ月後、私は再びこの9階病棟へ来た。

 誰かが私の名前を呼んだ。人懐っこい笑顔の女性だ。ドクター?それとも看護師さん?どうやら同じ日に不整脈の手術を受ける患者は4人。これから入院と手術のためのレクチャーが始まるようだ。それにしても私以外の人は既にパジャマ姿になっている。私も時間通りに入院手続きを済ませたのに、何故病室へ案内されなかったのだろう。「またか」。前回受けた不快な思い出が蘇る。

 レクチャーを受けるのは老齢の男4人。うち2人は奥様が同伴している。担当の女性が一通り説明をしたところで、一番年かさの男が苦情を言い始めた。彼の言い分は、「外来で検査を受けた際に症状を詳しく説明しないのは納得出来ない」由。もっともな意見だが、「それは血管にカテーテルを通す手術に必要なデータを得るためだから仕方がないよ」と私。

 納得出来ない雰囲気の彼に代わって、「ただし、手術の同意書に関するドクターの説明はわずか3分間。あれで15以上もある重篤な合併症の危険性を黙って受け入れ、サインしろと言うのは無理だよ」。そう言うと他の3人も頷いた。この辺りは入院経験者の強みで、「押しても良い」ところと「引くべき」ところが分かるのだ。説明役の女性も理解してくれた。

 「家族の方は来られないんですか?」の問いかけに、口火を切った最長老らしき男性は「好きにしたらと言うもんで」と答え、私は「仕事の都合で来られません」と返答。だが、いくらなんでも「好きに入院したら」と言う奥さんはいないだろう。「どうも変だな」と思ったその男Xさんが、私と5日間同室の相棒だった。≪続く≫





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Last updated  2012.04.13 16:32:53
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