マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2013.04.03
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テーマ: ニュース(99888)
 沖縄では「石敢當」と書かれたり彫られたりした四角い標識が、三叉路に張りつけられているのを良く見かける。それは中国の武将の名前で、三叉路に潜む魔物から人々を守ってくれると長く信じられて来た。また屋根にはシーサー(獅子)がいて、家々を魔物から守るとされている。どちらも中国から伝わった風習だ。

 さて、つい最近政府は名護市辺野古崎周辺の公有水面の埋め立て許可を沖縄県知事に申請した。だが、県知事以下「騙し打ち」に等しいとして、評判はすこぶる悪い。一応書類は名護市が受け取った。本件に関して国は代執行はしない方針が、昨日の国会で明らかになった。つまり国は強制執行せず、県の許可を静かに待っていると言うことだ。

 沖縄本島にある全市町村長が、宜野湾市の普天間基地の辺野古移転に反対とのこと。理由は県外移設が適切との考え方だ。その一方で地元の辺野古漁協だけは移転に賛成。現在でも海兵隊の基地キャンプシュワブ周辺では漁業が出来ないためだ。沖縄の人の気持ちは良く理解出来る。だが、県外移設はそんなに簡単ではないし、地理的に離れた基地から米軍が沖縄を守れるだろうか。

 街のど真ん中にある普天間飛行場が老朽化して危険なことは、県民なら誰でも知っている事実。騒音など環境の劣悪さも相当なもの。それを過疎地の辺野古へ一時的に移設し、その間に基地の国外移転と削減とを米国と交渉するとの政府方針は、とても現実的だと私には思える。今後7年間で嘉手納以南の基地の返還を実現するとの考えも、沖縄県民の要望に叶うと思うのだが。

 沖縄でタクシーに乗ると、運転手が良く基地の借料のことを話してくれる。「毎年1千万円以上の借地料が入る地主は働きもしないで、朝から泡盛を飲んでいる」と。何故そんなことを話すのか。それは私が内地人だと分かって安心しているため。島の人同士では蔭では噂しても、面と向かってそんなことは言わない。それがきっと小さな島の「掟」なのだろう。

クール 基地内の借地の15%を中国が買い漁っている話をご存じだろうか。中国では外国人に土地を売ることはない。だが、日本は全く無警戒だ。中国の魂胆は何か。島民の米軍基地反対と独立心を煽るため中国が密かに工作しているとの噂もある。今後30年以内に沖縄を奪おうとして中国は本気だが、その根拠が琉球王朝時代の「冊封体制」とは、お粗末極まりない論理。それなら東南アジア諸国は全て中国領になるからだ。

 台湾に最も近い与那国島の要望に基づき、目下自衛隊基地用地獲得の交渉が進んでいるが、実施は来年度以降にずれ込む由。その理由は年間1200万円の借地料とは別に島が求めた10億円の「迷惑料」。日本国内でこんな不当な要求は沖縄以外では生じない。今尖閣列島周辺では沖縄の漁民が自由に漁が出来ない状態にある。中国の艦船が妨害してるためだが、こんなことをいつまでも許していて良いのだろうか。

 江戸初期の薩摩藩の侵入、明治期の「琉球処分」と日本への編入、太平洋戦争時における地上戦と戦後の米軍統治など、沖縄がこれまで味わった悲惨な歴史は私も良く知っている。米国との間にある「地位協定」は早急に改正されるべきだし、適正な基地返還も早急に進めるべきとは思う。だが現実はどうか。軍が政府よりも強い権限を持つのが中国なのだ。

 24年前に沖縄へ赴任した私は本土とのあまりの相違に驚愕した。川は汚水が垂れ流しで悪臭に満ち、道路は凸凹、道端には朝まで酔っ払いが寝そべり、子供は自転車を盗んで売り、高校生が酒酔い運転で次々に事故死し、離婚率は日本一で自殺者が多く、日本復帰から十数年経ってもまだ本土との大きな格差に喘ぐ姿がそこにはあった。

 6年前から4年をかけて、私は沖縄本島を走って一周した。総距離は440km余り。那覇軍港の後背地は無税の貿易地区に生まれ変わり、米軍の宿舎があった天久地区は見事な副都心に変貌し、「ゾウの檻」と呼ばれた読谷村の巨大なレーダー基地は緑地に変わっていた。そして島の北部は私の在任時とは異なって、まるで高速道路のような国道が整備され、貧しかった頃の面影はどこにもなかった。日本復帰の恩恵と言ったら不適切だろうか。

 沖縄はこのまま「被害者意識」に寄りかかり、その代償として莫大な整備費を要求し続けるだけで良いのだろうか。度の過ぎた「平和教育」や島民を煽るだけの報道を見直す必要はないのだろうか。そして中国の野望を打ち砕く国土防衛を、島民は一体どう考えているのだろうか。それが心から沖縄を愛する私の素朴な疑問だ。

 これは冗談だが、かつて琉球王朝時代に中国から伝わった「石敢當」やシーサーは、今や三叉路や屋根の上にではなく、大陸に向けて立てるべきではないのか。もちろん美しい沖縄を中国の手から護るためにだ。



                   ≪我が家のシーサー≫

シーサー(玉陵).jpg

1. 琉球第二王朝の王墓である玉陵(Tama-udun)を護るシーサーのミニチュア版。陶器。

シーサー(琉球大学).jpg

2.沖縄の走友が私の離任時に贈ってくれた特製のもの。陶器。

シーサー(木製?).jpg

3.沖縄の走友が私の離任時に贈ってくれた堆朱製のもの。


シーサー(青).jpg

4.観光用の土産品。磁器。





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Last updated  2013.04.03 10:03:55
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