マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2015.02.07
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カテゴリ: 芸術論


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 甲子園への使者は男の自宅の前で待っていた。使者は神戸大学の女子大生。かつて甲子園を目指していた男に、もう一度甲子園を目指さないかと誘いに来たのだ。女子大生は「マスターズ甲子園」を企画する神戸大学の教授の指導を受ける学生。男は28年前、県の決勝戦前日に試合を辞退した高校のOBだった。


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 当時の仲間だって、一体何が起きたのか分からない。だが、ふとしたことから挑戦することになった。男達はあの悔しい思い出を、未だに引きづっていたのだ。そして女子学生の過去も分かる。意外にも彼女こそ辞退の原因となった部員の娘だったのだ。そして当時のマネージャーがかつての仲間の前で真実を告げる。


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 重松清の小説を映画化した作品。出演者は中井貴一、柳葉敏郎、和久井映見、西岡徳馬など。どう見ても高校時代に硬式野球をしていたようには見えない俳優達ばかりだが、それでも観客を泣かせ、魅せる演技をするのがさすがだ。私は若い頃軟式野球をしていたことがある。次男も少年野球をやっていた。だから野球にまつわる思い出は多い。そのことを思い出して、私は何度も涙を流していた。これは男の映画なのだ。


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 奇跡的に男達のチームは強豪を破って県の代表となり、28年ぶりに甲子園に出場する。結果がどうなったかは書かないことにする。試合後、甲子園球場内で選手と家族はキャッチボールが許される。男の前に現れたキャッチボールの相手は、意外な人物だった。

 大阪勤務時代、私は甲子園を訪れたことがあった。次男の少年野球チームの仲間が、徳島県代表になって甲子園までやって来たのだ。外野席から練習をするT君とK君の姿を見つけ、少しだけ話も出来た。次男のユニフォームは、私がまだ大事にしまってある。そのことを妻も次男も知らないままだ。


<マエストロ!>

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 その使者は関西弁を使う若い女性だった。集められた人達は、ボロボロの工場の中に入る。そこがどうやら練習場だったようだ。彼らは早速練習を始める。工場の中では男が金づちで何かを叩く音。その音が大き過ぎて、彼らは練習する手を停めた。大工のような身なりの男こそ、彼らをここに招いた張本人だったのだ。


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 マエストロとは親方の意。この場合は指揮者だ。そう、この映画のテーマは音楽。一度解散したオーケストラを、もう一度復活させる奇跡の話だ。原作はさそうあきらの漫画。彼は子供の頃ピアノを習っていたことがあるようだ。監督は小林賢太郎。彼のことは何も知らないが、彼の父親の上岡龍太郎とは「ユリカモメウルトラ」で一緒に70km走ったことがあった。60歳で芸能界を引退すると言う宣言を、本当に守った篤実な人だった。


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 指揮者が西田敏行で、コンサートマスターの第一バイオリン奏者が松坂桃李。シンガーソングライターのmiwaがフルート奏者を演じる。こちらも音楽とは無縁の俳優が多いはずなのに、素晴らしい演奏と演技に感動させられる。原作が漫画であるクラシック音楽の映画は、「のだめカンタービレ最終楽章」以来だったが、今回も泣かされ、涙が止まらなかった。


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 あれほど心配した演奏会は大成功だった。だが、その翌日の演奏会には、開演時間が迫っても観客は来ない。いやたった一人だけ車椅子に乗って現れた人がいた。

 解散したオーケストラから誘われなかった楽団員達。残ったのはどこかに問題があった人ばかり。彼らの誇りを次々と叩きのめしながら、西田演じるマエストロは厳しい指示を団員に出す。そうして最後に彼らの音楽が完成する。オーケストラとは響き合うこと。一つ一つの楽器が強過ぎたら、決して心地良いハーモニーは生まれない。汗臭い野球と洗練されたクラシック音楽。分野は違っても、その本質は全く一緒だと感じた私だった。





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Last updated  2015.02.07 09:10:03
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