マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2017.09.28
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カテゴリ: 健康
<退院は唐突に>



 10時45分。左腕の点滴受け口を変更。血管が腫れたためみたい。11時抗生物質投与。11時40分終了。12時昼食。野菜が多くて食べ易いのが助かる。食後70代後半の老婦人が同室へ。酸素ボンベが必要な患者。救急病棟は男女同居の原則。男女の比率が緊急事態によって変化し、別室にする余裕がないのだ。15時、一般病棟の8階へ移動。眺望極めて良好。



 病院があるのはここ数年間で開発された新しい町。隣にはアリーナや大型ショップ、外国の家具店などがあり、少し離れて高層マンションが林立している。昔は国鉄の貨物駅や操車場があり、金属精錬の工場や女子の矯正施設などがあった。それらが全て撤去され、新未来都市が出来つつある。病院はその地区の最も北に位置し、市の中心部から移転して来たのだ。遥か遠くに奥羽山脈の姿。そして足元には東北新幹線。



 同室の先輩患者の案内で、8階を散策。ついでに1階の売店まで案内してもらった。16時義姉来院。飲み物とヨーグルトの差し入れ。16時40分からラジオで大相撲を聴く。18時夕食。メニューは敬老の日で赤飯など。夜外泊中の若い患者が妻子を伴って帰院。神戸出身で、仙台へ転勤した由。21時30分抗生物質の点滴開始、。22時就寝。



 9月19日火曜日。入院5日目。5時に起床し、洗顔と歯磨き、トイレ。8階病棟の一番東端まで歩いて行くと、朝日に光る広瀬川が見えた。荘厳な朝。生命の重さを感じる一瞬だった。病院の近辺には、最初の陸奥国府だった郡山遺跡がある。あの広瀬川を遡り、飛鳥の都から官人たちが舟で渡来した往時を偲ぶ。ここは古代東北では最先端の文化を誇り、蝦夷(えみし)を抑える拠点でもあった。



 休憩室でニュースと朝の連続ドラマ「ひよっこ」を観る。5日ぶりのテレビだ。ついでに血圧測定もここで受けた。114/71と安定。病室で朝食中、東北新幹線が通った。服薬と点眼。同室の若者はPCで仕事。どうやら溜まったメールを確認していたようだ。やはりサラリーマンは会社や仕事から逃れられない運命のようだ。



 9時15分執刀医のMドクター来室。術後の経過が良いため午後からの退院が許可された。陰気なドクターから「自転車事故」の話は聞いたそうだが、特段の反応はなかった。抜糸は1週間後外来で。脳のCTスキャン撮影後に実施の由。ただし既に準備中の昼食は食べてからとのこと。義姉には急遽退院することになった旨連絡。車で来てくれることになった。



 何という急転直下の退院だろう。入院も急だったが、退院も急。お陰で請求書が間に合わず、支払いもせずに退院と相成った。後日郵送すると聞かされていたが、結局は届かず1週間後の再診と抜糸の日に支払った。足掛けで5日。だが厳密に言えばまる4日間にもならない短期入院だった。その短期間に私の命は救急病棟の最新医療によって救われたのだ。はたして偶然と言うべきか、それとも奇跡と言うべきか。



 まる4日にも満たない短期入院。その間に多くのことを見聞きした。様々な患者の様々な症状。そして思いがけない病気にり患しての複雑な反応。多くの方は一日も早く社会に復帰しようとして必死だった。だが中には今後長期療養を余儀なくされる方もいたことだろう。

 色んな看護師と接して種々の話を聞き、私も身辺に生じたことを正直に話した。ベッドから起きられるようになると本を読んだ。五木寛之の『孤独のすすめ』。作者の真摯な言葉が深く胸に響いた。恐らく老いや死についての実感。真実であるからこそ人の心を打つ。今回の入院は自分にとっては極めて有意義で、良い経験だったと思っている。秋空が実に爽やかな日だ。<完>





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Last updated  2017.09.28 00:00:48
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