マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2021.10.21
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カテゴリ: 文化論
~NHK大好き人間のわたし~

  虹1

 NHKと裁判してる党(以下略)とか言う長い名の党があって、総選挙にもかなりの候補者を立てているようだ。公約はただ一点。NHKのスクランブル放送(観たい人だけが視聴料を支払い、観ない人は支払い義務なし)を実現することみたい。まあ発想は悪くないが、一体活動資金をどうやって得ているのだろう。さて、私はNHK大好き人間。ニュースにドキュメンタリーに大河ドラマに朝ドラ。

             虹2    

 何が良いと言って、コマーシャルがないのが一番。民放だと観たくもないコマーシャルを次々に観せられるし、その間本来の番組が中断するのが辛い。そしてNHKの良さは経費を無視したかのように番組を創ること。とても民放には真似が出来ないだろう。「シルクロード」や「映像の世紀」、「新日本紀行」、「英雄たちの選択」など、私にとってNHKの番組はとても良い学習の機会。1人暮らしなのに2台分のBS料金を支払っても惜しくない。



 先日たまたま松本清張に関する番組を観ていて驚いた。彼が名高い推理小説の作家であることは知っている。重厚な文体かつ緻密な推理で、読者を虜にする魔力を有する作家。彼の半生を追うその番組で、私が驚いたのは、彼の字の上手さだった。あんな字で文章を書けるのは、きっと相当高い教養と頭脳を持っているのだろう。私はとっさにそう判断し、松本清張と言う人物に興味を抱いたのだった。

              清張の書  

 私がその番組で観たのは、毛筆で書いた書簡。驚いたのはその達筆さと流れるような文章力だった。それで初めウィキペディアで調べた。本名はまつもときよはる。書はさる能書家に習ったようだ。その方は俳句も嗜まれていたようで、松本清張もその影響を受けたのだろう。私はてっきり彼が高学歴の人だとばかり思っていた。だが実際はその正反対で高等小学校(現在の中学校)しか出てなかったのだ。

  若き日の清張

 家も貧しく高等小学校を卒業すると、彼は印刷工などをして収入を得ていたようだ。努力して図工を学び新聞のカットなどを描くようになり、その合間に考古学好きの仲間に触発されて、九州北部の古墳を訪ね歩く。その経験が後に邪馬台国研究に打ち込む要因となったようだ。そして収入を得るため、新聞社だったか雑誌社だったかの懸賞小説に応募して入選。作家井上靖の目に留まるのはさらに後日のことだ。

             清張の代表作  

 彼の知識の源は読書だった。古本を買って読むのが唯一の学習。だが彼は元々考える力が優れ、たくさんの本を読み、苦労しながら著作したことでさらに文章力が磨かれたのではないか。後には考古学関係の専門書も読んだようだが、一流の学者の著書だった。私は清張の本は一冊も読んだことがない。今回たった1回ウィキペディアで履歴を確認しただけだが、彼の偉大さは十分伝わったと思う。



 清張と対極にあるのがタモリではないだろうか。NHKの番組である「ブラタモリ」を楽しみに観ているが、毎回タモリの知識の深さと教養には驚かされっ放し。地学や地理学に詳しく、歴史にも強い。地層を観て岩石の種類やその成因を即座に言い当てる。これにはプロの案内人もぶったまげてしまう。どこでそんな勉強をしたのかは不明だが、彼の関心は広範囲に亘っており、天才と言っても過言ではない。

            野葡萄  

 タモリは子供の時から祖母の料理作りを毎日見ていたそうだ。そのせいで一人暮らしになってからも、出汁の取り方や各種の料理を手早く作ることが出来た由。日曜ごとに教会に行ったのは信仰心からではなく、牧師の動作を観察するため。坂道を一日中眺め、通行人を飽きずに観察し、押し入れで中国語や韓国語をラジオで聞くなど、彼は一風変わった少年だった。それが後に芸能人になって全部役立った由。



 早稲田の第二文学部に入ったものの、音楽や趣味に浸って授業をサボり中退したが、還暦を過ぎてから大学が特別に「卒業」と認めた由。彼の特異な才能はウィキペディアで確認したら良く分かる。何しろ面白い人物が博多にいると聞き、何とか芸能人にしようとして東京に呼んだた先輩がいたほど。彼の変人ぶりは、誰の弟子にもならないなどの自戒でも理解出来よう。まったく型にはまらないのがタモリの芸風。堅実な松本清張とは正反対の自由闊達さ。「なるべく頭を下げないで金を儲ける」のも彼のモットーだ。



 先日NHKの番組で、台湾人のDNAを調べると原住民由来の人が85%もいることが分かったと知った。従来は漢族が85%以上で、原住民はごく少数と言われていたのだ。私は沖縄に3年間勤務し、琉球王朝と中国(清)や台湾との関係についてはかなり詳しかった。後に大阪の国立民族学博物館にも勤務したことから台湾の原住民についての知識もまあまああった。

      アミ族   

 2年前には台湾を一週間旅行し、現地案内人に色んな質問をして色んなことが分かった。原住民の一つであるアミ族の民族舞踊も観たし、台北の故宮博物館では中国の秘宝もたくさん見た。そして日本の統治下にあった台湾の実態は、その後ネットなどで調べて分かった。それでも今回のNHKの報道は私にとってまさに驚愕すべき内容だったのだ。



 これは台湾の原住民16部族の分布図。驚いたのは第2次世界大戦後の台湾では3つの階層があったこと。最上部が漢族でその下に「中蛮」最下層が「正蛮」で税金がかなり違っていたそうだ。だが中国化を進めるため、一定期間を置くと直ぐ上の階級に上がれて、税金が安くなる仕組みを作った由。同時に部族間の混血が進んだことも自らを中国人と認識する助けになった。

 ところが遺伝子は正直で、本来の台湾は漢民族とは全く違っていたのだ。これは統一を図る中国にとっては不都合な事実。科学は真実を証明する重要な手がかりだ。そんな訳で私にとってNHKの番組は、知識の宝庫となっている。ウィンク





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Last updated  2021.10.21 00:00:08
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