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★すいか独り占め

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※この後おなかを壊しました。

2003年09月22日
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同じ寮でキャリーという車いす生活をしている友達と2年間一緒に住んでいた。彼は22才の時に飲酒運転の車に轢かれて以来、下半身が動かせなくなってしまった。でも少し動かせる腕と電動車いすを使い大学で勉強していたのだ。彼は体に大きなハンディキャップを持ちながらそれを感じさせず、普通の学生と変わらないかそれ以上に活き活きとした生活を送っていた。すごくタフで頑張り屋であり、周りに優しく友達も多くて、人前では決して暗い表情を見せたことはなかった。キャリーもコンピューターが好きだったのでよく部屋に行って体の不自由な彼の代わりにパソコンをいじったり、何かトラブルがあったときはお互いに助け合っていた。生活で悩み事があったときはいつも相談に乗ってくれて僕にとって大きな力だった。ほとんど毎日言葉を交わし、よく一緒にカフェテリアで食べ、部屋でパソコンをいじって…。アトランタまで黄色いDodgeでドライブしたこともあったし、友達をたくさん呼んでバーベキューもやった。数え切れないほどのいい思い出がある。今になってキャリーは自分の大きな兄貴であったように思う。

そんな彼だが今年になって病院への入退院を繰り返すようになった。具合が悪くなって病院へ行き手術を受けて退院したかと思うと、またすぐに具合が悪くなって別の手術を行うのだ。病室へみんなで見舞いに行くと、いつもどおり普段と変わらない元気な顔をしてジョークを飛ばしていた。だから良くなるものだと思いこんでいた。

退院後、夜になるとキャリーからよく電話がかかってくるようになった。寝る前に薬が飲みたいらしい。部屋に行って引き出しから薬を取り出して飲むのを手伝う。強力な痛み止めや、睡眠薬を毎晩のように服用していた。それらの薬がなくなってしまっても、病院ではそれ以上の処方箋を発行してくれない。だから友達に頼んで代わりに薬を手に入れてもらっていたようだ。

それにもかかわらず、勉強でわからないことがあったら教えてあげるからいつでも部屋においでといわれていた。夏学期も残りわずかのある日、American Governmentのテスト勉強を手伝ってもらう約束をその夜にしたにもかかわらず、僕は別の友達とのテニスを優先させてその約束を破ってしまった。その直後、もう何度目かわからない最後となる入院をした。またいつも通りのことだと思ってとくに気に留めなかったが、今回はそうではなかった。2日後、親類と友人に看取られながら息を引き取ったそうだ。彼は尻の骨への感染症を患い、ずっと痛みに耐え続けていたと後から人に聞いた。それ以降、最後の約束を破ってしまったことを心から後悔し続けている。もしかしたら僕が部屋へ来るのを無理をして待っていてくれたかもしれないのに。そればかりか、あまりに何度も手伝いに呼ばれるから煩わしくなってわざと待たせたり断ったりしていた頃の自分を、何て心の小さい人間なんだと思った。


車いす生活には想像以上の困難と、精神的な苦労があったと思う。しかしそれを乗り越え生活してきた彼の強靱な精神には心を打たれる。キャリーは言っていた「Go for it!」(ためらっていないでやってしまえ!) この言葉と彼の笑顔は僕の心にずっと焼き付いている。



Yellow Dodge

キャリーの愛車 "Yellow Dodge"
加速がものすごい





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最終更新日  2003年09月23日 16時53分04秒
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