もいっか★フィンランド

もいっか★フィンランド

2007.07.03
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他のエントリーにしようかと思ったのですが、寝て起きたら久間防衛相辞任のニュースだったので少し。なんか日本国内とは問題に対する温度差が少し違うのですね。僕にとっては当初からどうでもいい発言でした。ただ発言を非難している連中(特に政治家ですが)で、じゃあこれまでアメリカ政府に謝罪を促す、何らかの働きかけをしたのでしょうか。皆無ですよ。大半がひよっていたし、腰が引けてた。広島市長とか少し頑張ってましたけどね。 でも門前払い(笑)。 まあ実際に行動して恥ずかしい思いをしている分だけましでしょうが。多くはアメリカにまともに言えずに、また相手にすらされてない。そうした不満からか、矛先を「やりやすい」日本政府に向けていたと思うんですね。お門違いです。安全な所だったらそりゃ好き勝手言えますよ。


主張をそのままアメリカの退役軍人グループでもいい、原爆を正当化するコアな連中に面と向かって言ってもらいたいです(そういう機会作り、お膳立てをするだけの実力があるかをまず問いたいのですが)。アメリカ様を怒らせると、まあ色々リスクがあるわけですよ(笑)。そういうリスクを背負う覚悟があるんでしょうか。一線を踏み越えずにこちらの主張を聞いてもらうことすら難しいのに。僕ですがゲリラ的にやらせていただいてます(笑)。なんかこの間の慰安婦問題と似てますね。


「アメリカに謝罪を」という主張、実は反米保守にもあるわけですが、リベラルの平和運動関係者は彼らと共闘する覚悟はないんでしょうね。それどころか最近まで社民系と共産系で内ゲバ状態だったんですけど。じゃあやはり、今のところ「仕方ない」じゃないんでしょうか。某野党の党首ですが、「被爆者のみならず、被爆2世、3世までも傷つける発言だ」とコメントしてました。定義の仕方によっては、僕も被爆者3世に該当しそうなんですけど、 お前らの茶番に巻き込むな! とは思います。


最後に歴史解釈の部分を少し。原爆投下にいたるプロセスは思いのほか複雑なわけです。最近の(といっても10年ぐらい前の論文)研究だと、原爆は開発段階ですでに使われることを前提としており、投下は不可避、と言うものがあります。マンハッタン計画は莫大な予算を、しかも(議会に報告しない形の)機密費扱いで使っていました。もっとも当時のルーズベルト政権はそのプロジェクトについて突き上げられてたんです。ちなみにプロジェクト予算を批判していたのは皮肉にも次期大統領のトルーマン(当時上院議員)。今で言う軍産複合体ですね、そうした巨大な官僚機構より原爆投下までの指揮系統が組まれていたため、トルーマン大統領やその取り巻きの反対、戦況の行方ぐらいでは投下を見送るのはすでに不可能だったと言われています。つまり 莫大な国家予算をあてた以上、成果を見せないわけにはいかなかったのですよ 。たとえ第二次大戦中でなくとも、いずれ原爆は投下された。朝鮮半島、ベトナム、ソ連?まあ、組織の論理って怖いですな。とりあえずこの説を反証してみてはどうでしょうか。





【追記】僕もまだ混乱しているかもしれませんが・・・「原爆、仕方がない」を否定されている人は、そもそも当時、原爆投下は回避できたと考えているんでしょうか。そうならば↑で紹介した学説にどう反証するのか聞いてみたいです(これ、煽りではありません)。運動については、これまで述べた見解と同じです。






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Last updated  2007.07.03 17:18:22
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あーあ、本当に辞めちゃった  
kazutaka525  さん
◇僕にとって説得力があるのは、たまたまアメリカが最初に開発したので原爆を使用したが、他の国が開発したら間違いなく使用していただろう、ということ。日本だってグァムやハワイに投下するために原爆開発をしていましたからね。だから、あまり他国を強く批判する気になれないのです。

◇久間さんは長崎選出の議員です。ここが参院選との絡みで効いたんじゃないでしょうか。

◇それから、後継に安全保障担当補佐官だった小池さんが指名されました。ということは、補佐官はいらないということでしょう?彼女は何をしたのでしょう(苦笑)。NSC法案成立に尽力を尽くした、といってもずいぶん前の話です。 (2007.07.03 17:24:29)

Re:あーあ、本当に辞めちゃった(07/03)  
kazutaka525さん
>◇僕にとって説得力があるのは、たまたまアメリカが最初に開発したので原爆を使用したが、他の国が開発したら間違いなく使用していただろう、ということ。

●そうですね、戦略ゲームみたいな要素、あったと思います。僕は組織の論理に説得力をもつのですけど(これは現在の米政権でも変わってないですからね)。ああ、いいですね、こういう冷静な論争なら進んで臨みたいのです(苦笑)。


>◇久間さんは長崎選出の議員です。ここが参院選との絡みで効いたんじゃないでしょうか。

●僕はきっかけはともかく、辞任でよかったと思います(笑)。この人、やばかったかと。それと原爆問題のawarenessに貢献したので結果オーライですかね(苦笑)。


>◇それから、後継に安全保障担当補佐官だった小池さんが指名されました。ということは、補佐官はいらないということでしょう?彼女は何をしたのでしょう(苦笑)。NSC法案成立に尽力を尽くした、といってもずいぶん前の話です。
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●軍オタの石破さん再登板を期待したのですが。小池さんでもいいかな、隙がなさそう。僕は日米関係、安保とかを政府がケチをつけてもかまわないと思うんですが、現職の防衛相がそれをやるのはダメな気がします。死刑執行を拒否する法相みたいに。 (2007.07.03 17:50:03)

FYI: 他の説得力のある論争  
kazutaka525  さん
◇櫻田淳さんのブログに原爆投下に関する他の議論が乗っていました。FYIです。(文字数がコメント欄の制限を越えるので、下記のアドレスからブログをご覧ください)
http://sessai.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/post_865c.html#more

(2007.07.04 11:59:03)

Re:FYI: 他の説得力のある論争(07/03)  
kazutaka525さん

●情報ありがとうございます。うーん、ここでも僕の紹介した説はちょっと出てないですね。組織や予算の説明責任の影響力、あったはずです。トルーマンが大統領に就任した時はすでに原爆投下阻止に向けては実質何もできなかった状態かと。

●まあ当時は色々な理由が絡み合った状況なので、後からこれが判断の唯一の決め手、というのはなかったと思います。人種偏見ですが、あったでしょう。ただどちらかというと偏見が最初からあったというより、戦闘で大量殺戮するうちに、人権意識とかの感覚が次第に麻痺したのだと思います(戦争前は日米は一応、交流があったのですから。米軍には日系人もいましたし)。

●久間さんがBBCニュースで取り上げられてました。靖国と絡めて放送してましたね、あんま関係ないのに。アメリカ側の意見は聞かないですね←そりゃ酷か。野郎はカット、百合子映せよ!と個人的には思ったのです(笑)。
(2007.07.04 16:03:38)

思い出した  
kazutaka525  さん
◇そういえば、大学院で軍事技術の授業で教授が、官僚組織が及ぼす影響力について強調していたことを思い出しました。軍隊や官僚機構は組織が非常に大きいので、一度慣れ親しんだものを変えることができず、一度決めるとそのまま突き進んでしまう。こういう組織論が軍事技術や戦争に与えた影響って大きいんですよね(もちろん、政治・経済・文化など複合的に物事を見なければならないとも教わりましたが)

◇パウエルさんの書き込みで一つだけ。「原爆問題のawarenessに貢献した」は起きないのではないのでしょうか。そのうち忘れ去られる気がします。誰一人として久間さんの発言から建設的な議論をメディアを通じて発せず、さあ安倍政権の今後と参院選は、なんてことを知ったかぶって話していますから。残念です。 (2007.07.04 22:32:16)

Re:思い出した(07/03)  
kazutaka525さん
>◇そういえば、大学院で軍事技術の授業で教授が、官僚組織が及ぼす影響力について強調していたことを思い出しました。

●軍の組織論は面白いですよ。「軍の失敗」で言うと大日本帝国軍なんですけど(笑)。果たして日本はそこから何か学べたでしょうか。米軍組織も(良い面と悪い面を含めて)基本的には大戦後からあまり変わってない気がします。もちろん武器などの技術は格段に進歩しましたが、やはりそれをどう使用するのは人間、そして(組織内の)人間関係なので。

●僕は工学出身でないので、技術面の議論は苦手ですが(笑)戦時の判断はそれが全てではないと確信してます。


>◇パウエルさんの書き込みで一つだけ。「原爆問題のawarenessに貢献した」は起きないのではないのでしょうか。そのうち忘れ去られる気がします。

●本音は「そんなことより、年金なんとかしろ!」なんでしょうね(苦笑)。原爆問題の想起ですけど、今回の久間辞任は、ある種先例を作ってしまったのか、と感じました。国政ではこの議論が今後タブーになるんでしょうかね。まあ政治が絡まないほうがいいと思います。

●僕は正直、久間発言に対し、(拒否)反応があったことのほうが驚きでした。それぐらい原爆ネタは実質、「死んでいた」気がします。特に国際レベルにおいて。だからといって、「これは外交カードで使える!」と変な気を起こさないで欲しい(笑)。アメリカもうっかり「The Facts for A-bombing」と意見広告出したらお笑いですが。←ネタとしては面白い。






(2007.07.05 05:48:49)

Re[1]:思い出した(07/03)  
>kazutaka525さん

●もし仮に日米がガチンコで原爆について議論したとしたら、(よほど準備を怠らない限り)日本の言い分が通ると思いますね。だからアメリカは色々言ってますが、正面からの議論は避けるでしょう。日本側がもし勝負するならば、議論というリングに相手をかつぎだせるか、ここが重要です。

●だけどそうやって議論に勝って、相手から謝罪も勝ち取った・・・で、一体何が残るんでしょうかね。被爆者の大半は亡くなられているわけです。僕はもちろん個人的な遺恨はない。「赦す、だが忘れない」といいますが、原爆が正にそうだと思います。歴史的な研究はどんどん進めてもらいたいですが。

●それとあまり核を否定すると、将来、日本の核武装の選択肢をなくすというリスクもありますし(笑)
(2007.07.05 06:17:46)

原爆の「成果」について  
bekko さん
>莫大な国家予算をあてた以上、成果を見せないわけにはいかなかった
何も原爆を市街地のど真ん中に投下することが唯一の成果ではないですよね?戦略的な優位性の確立だって大きな成果だと思いますが。
それに当時アメリカはアメリカの望む形で第二次大戦を終結させることが最大の国益だったわけですから世は日本を本土上陸なしに陸無条件降伏させれば戦略的な優位性の確保と合わせて十分議会を納得させられるだけ「成果」を示したといえると言えるんじゃないでしょうか?
日本を無条件降伏させるためには、人口密集地体に投下する以外にも事前通告する、過疎地に投下して威嚇る、等と言ったもっと人道的な選択肢もあったんじゃないでしょうか?それに3日後に2発目を落とすという行為は既に一発目で得られた「成果」にちょっと付け足す程度のものでしかなくこれが成果のためで「しかたない」とは到底思えません。
このような事を勘案してみるとアメリカ首脳部は取れ得る選択肢の中でかなり非人道的な選択肢を積極的に取ったという感がしますがそれを「しかたない」と表現するのはおかしいと思いますが、この点をどうお考えでしょうか?
>謝罪を勝ち取ったからってなにが残るのか・・
唯一の核使用国がいまだに原爆使用を正当化しているのですから、これを変えさせ謝罪させることは「核兵器使用=悪」の図式を世界的に定着させるのに大きな効果があると思いますが
(2007.07.25 15:39:20)

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