土曜日の書斎 別室

土曜日の書斎 別室

April 20, 2019
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多分、あッと云う間に下火になると思われる、今般のブームですが···。
 “万世に伝わるべき集” (『広辞苑』) とも云われて来た『万葉集』が、ただ書架を飾るだけの存在に成り果てる筈もない。
 日本最古の歌集ならではの凄味が···その本領が発揮されるとしたら、むしろ皮相なブームが去ってからの事になるでしょう。

 一般に、読書の仕方は人それぞれで、名作との出会いも実に様々な契機に因るものですが···
 気が進まなければ、無理に読み通さずとも良いのです。
 その内に、何気なし手に取り、ふっと読み返したくなる時が必ず訪れます。
 恰かも仕組まれていた時限装置が作動し始めたかの様に···。
 眼に触れた歌の幾首かに心惹かれ、思わず知らず諳んじている···としたら、もう占めたもの。
 政治的アナウンスにも、一過性の流行にも惑わされない、一人の読者として、千数百年の時空を超え、作者 (或いは詠み人知れずかも知れませんが) と相対している自分がいるわけです。
 その自身の感性をこそ大切にしなければなりません。
 優れた古典文学とは···きっと、はるか後世の読者をして、その作品世界に引き込まずにいない、強力な磁性を帯びているものなのでしょう。





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Last updated  April 30, 2019 11:30:05 PM
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