2006/09/23
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カテゴリ: ワインスタンド
今日もワインスタンドで昼飯のソーセージを囓りながら、中辛口のリースリングをすすっていると、どうも横から視線を感じたので、そちらを向くとドイツ人のおばちゃんが微笑んでいました。
「日本人ですか?」と聞くのでうなずくと、彼女の笑顔が一層広がりました。
昔、両親とともにモーゼルに住んでいて、今回はトラーベン・トラーバッハにある両親の墓まいりをし、その途上トリアーに立ち寄ったそうです。

彼女が僕に話しかけたのには、ある思い出があったからでした。
およそ20年前のこと、彼女は4年前に亡くなった夫とともに、ベルンカステルのランズフート城を訪れました。素晴らしい眺めにみとれ、城壁の側のベンチに座っていたところ、突然、3歳ほどの東洋人の女の子が、よちよち歩きで彼女の夫に向かって手を差し伸べ、近寄ってきたのだそうです。
「その子の両親とは髪の色も身長も全然違うでしょう。でも、本当に無邪気に歩いてきたのよ。」
その可愛さに思わず抱き上げたことがきっかけで、彼女の両親である日本人夫婦と知り合うことになりました。どこに住んでいるのか、何をしているのか、英語で他愛のない話しをしたあと、写真を撮ってくれと頼まれ、住所を交換したところ、その年の瀬に年賀状に添えられて、その時の写真と英語で書かれた手紙が届きました。以来、20年近くに渡り年賀状と家族の写真の交換が続いているそうです。年を経るごとに写真の中の少女は成長し、今では大学に通っているのだけれど、その成長ぶりを見ると、まったく不思議な気持ちになるのよ、とおばさんは言いました。
彼女の思い出の中で、女の子はいつまでも当時のまま、小さなよちよち歩きの女の子なのでしょう。その姿を探し求めるかのように、ワインスタンドのまわりの雑踏に、すこし視線を彷徨わせていました。夫の思い出とつながるその日本人親子との暖かな出会いは、胸の中で歳月を経ても色あせることなく、ますますその輝きを増していることが、彼女の話ぶりから伝わってくるように思われました。

『いつか日本に遊びに来てください。』数年前、そう年賀状には書かれていたといいます。
今年71歳になるという彼女は、最近本当に日本に一度行ってみようかと考えているそうです。
「行く価値あるかしらね。」
「勿論ですよ。是非、一度いらしてください。」
僕は本当に彼女が日本を訪れて、その親子と再会して、またひとつ、素晴らしい思い出となることを願わずにはおれませんでした。






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Last updated  2006/09/24 09:02:21 AM
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李斯。@ お久しぶりです。 御無沙汰しております。 何時も拝見してい…
pfaelzerwein@ Re:ひさびさのドイツ・その64(04/05) 「ムスカテラー辛口」は私も買おうかと思…
mosel2002 @ Re[1]:ひさびさのドイツ・その54(03/14) pfaelzerweinさん >私の印象では2013年…
pfaelzerwein@ Re:ひさびさのドイツ・その54(03/14) 私の印象では2013年からは上の設備を上手…

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