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2023.07.16
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カテゴリ: 広井勇
工学博士廣井勇傳その6

八 米国よりドイツに留学
 明治十七年一月二十日に至り、漸くミシシッピー河の治水工事に勤むることができた。約八か月の間孜々(しし)として働いた後、九月に至り、シー・シエラー・スミス工事事務所に入り、専ら橋梁の設計に従事した。約一年半の後には月俸七十ドルを得るようになった。先には飢餓に瀕した博士も一変して紳士的生活を営み得るに至ったのは、ようやくその実力を認めらるるに至ったからである。
 明治十九年一月ヴァージニア州ローノーク市のノーフォーク・ウェスターン鉄道会社に入り、設計製図の任に当たり、同社の技師長コー氏の厚き信任を得た。氏はいつも博士を珍しき勉強家であると誉めたたえた。また博士がローノーク市にて下宿していたCity Hotelの主人と家族は、いつも博士の紳士的な態度を賞揚してやまなかった。その当時同宿していた同会社の一書記は、次のように語った。

『夜ふけて帰って見ると広井君の家がいつも明るいので、戸をたたいて入ると一生懸命勉強している。日本の学生はこうも勉強するのかと感心させられた』
 明治十九年九月広井は転じてアメリカにおける橋梁の大会社エッヂー・ムアー・ブリッヂ会社(Edge moor Bridge Co.)に技手として奉職し、鉄橋の設計並びに製作に従事し、ますますその技能をみがき、時としては職工と共に鍛冶(かじ)に従事したことすらあった。博士の有名な著書「Plate Ginder Construction」はこの頃、ニューヨークのヴァン・ノストランド会社から Science Series No95 として出版された。本書はアメリカで広く教科書として使用されるにいたったほどで、我が邦人の著書にしてこのように賞賛を博したものは稀である。これは実に博士二十七歳の時の作である。初版は1888年(明治二十一年)に出て一九一五年には第五版が発行されたが、その後数版を重ねるに至った。
 滞米中の前半は、博士の生涯において、経済的に最も苦闘を重ねた時代であって、その日常の生活の中には涙なしに語り得ないものがあった。博士は三度の食を二度に減じ、節して得た剰余を蓄えて、土佐に残した母堂に毎月送金し、一回もこれを絶ったことがなかった。
 Wer nie sein Brot mit Tränen aß,
 Wer nie die kummervollen Nächte
 Auf seinem Bette weinend saß,
 Der kennt euch nicht, ihr himmlischen Mächte.

Goethe
〔涙とともにパンを食べたことのないもの
悲しみにみちた幾夜(いくよ)を
ベッドで泣きあかしたことのないもの
 そうした者には 天上の霊の力がわからない

ヴィルヘルム・マイスターの徒弟時代第2部13章〕

この詩のごとく博士は幾度か涙と共にパンを食い、また幾夜か床上に祈り明した事であろう。博士派後年永くこの詩を愛誦したのは故あることである。

 この頃、札幌農学校においては、既設の農学科と併立して同程度の工学科を新設することになった。これは同校の幹事であった佐藤昌介氏〔一期生〕等の熱心な主張によったもので、当時あたかもアメリカにあって実地の研究に従っていた博士をその主任教授に推し、書を送って博士にその創業の任に就くようにと勧誘してきた。博士にとっては元より母校のことであるから、快くこれを承諾した。ここにおいて明治二十年四月一日、在米のまま札幌農学校助教授に任命され、同時に満三か年間、土木工学研究のためドイツに留学を命ぜられ、始めて経済的の苦境を脱し、専心研究の道に精進することができるようになった。
 アメリカからドイツに渡った博士は、最初の一年間をカールスルーヘのポリテクニカムに送り、ついでスツットガルト・ポリテクニカムに半か年、土木工学、水理工学等の学科を研究し、バウ・インジエニユール(土木技師)の学位を受け、卒業後約三か月の間、ドイツ、フランス、イギリスの諸国を巡歴してあまねく土木事業を視察し、工学科開設の都合で、留学期間一か年を残して二十二年七月帰朝の途についたのであった。

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台湾の屏東科技大学の丁先生が今春、旭日中綬章を受章された。
袋井市で国際会議があるのにあわせて 掛川でお祝いの会がもたれた。
丁先生には『技師鳥居信平著述集』の裏表紙の地下ダムのイラストを新たに作成し
寄せてくださっただけに、喜ばしい
おめでとうございます㊗





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最終更新日  2023.07.16 15:03:22


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