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2023.12.26
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カテゴリ: 神社仏閣・御朱印
越前市岩本町岩本神社。
​北陸自動車道武生ICから県道262号線で東に10分程の権現山の麓にある五箇地区(不老・大滝・岩本・新在家・定友)と呼ばれる集落の岩本地区に鎮座します。

来年の大河の主人公紫式部、生涯で唯一都を離れ、ここ越前で過ごしたことから、越前は大河ブームで盛り上がっている。
岩本神社が鎮座する一帯の五箇地区は、越前和紙のブランドで知られ、地区を流れる岡太川を利用した和紙の生産地で、新在家には越前和紙の里や紙の文化博物館があり和紙の歴史や紙漉きの技術を発信しています。

この地の紙漉きの歴史は古く、正倉院の越前国正税帳(730年)にも越前和紙が使われているという。
その技術のはじまりは1500年前に遡り、岡太川の上流に現れた一人の女性(川上御前)が現れ、田畑の少ないこの地区に岡太川の水を利用した紙漉きの技術を授けた事から始まると伝わる。

岩本神社は、川上御前をお祀りする岡太神社に向かう参道の、岩本町内の中ほどに建つ岡太神社一ノ鳥居を過ぎた右に鎮座します。
参道右の大岩には「大瀧神社 岡太神社」と刻まれた社標が立てられています。

岡太神社一ノ鳥居全景。
朱の両部鳥居と一対の常夜灯(1940年寄進)があり、岩本神社の社頭は鳥居をくぐった右側にあります。

岩本神社社頭全景。
道路手前に社標(1928年寄進)があり、道路の先に南北に長い四段に造成された社地が広がる。

一ノ鳥居(1928年寄進)から社殿方向を見上げる。
社地の三方は深い杜に包まれ、静まりかえった境内が奥に続きます。

一ノ鳥居をくぐった境内から社殿全景。
石段左に手水舎があり、上の境内の右手に岩本地区の公会堂、ニノ鳥居と左に鐘楼堂のような絵馬殿。
その先の境内に拝殿、右手に境内社の鳥居の姿がある。

手水舎と手水石。
境内には雪囲いされた樹々の姿があり、間もなく訪れる冬の過酷さが伝わってくる。
手水石は自然石をそのまま生かした舟を思わせる形のもので、龍はいるが石垣から湧き出る地下水を引いているようだ。

立派な髭を蓄えた龍はいるのだが、佇まいはどことなく寂し気に見えてくる。

ニノ鳥居から拝殿の眺め。

入母屋瓦葺の拝殿は千鳥破風と向拝にも千鳥破風が付き、周囲には高欄が廻されています。
福井県神社庁から岩本神社を調べる。
「祭神は菅亟相、軻遇突智命、手置帆負命、彦狭智命、猿田彦命、菊理媛命。
境内社に白山神社、稲荷神社」
と記すにとどまり、創建等は不詳のようです。

境内の概説には以下のように紹介されていました。
「創建年代は不詳ですが、元々白山宮で岩本村の鎮守でした。
江戸時代までは、薬師堂を本社として、本尊に薬師如来、脇侍に日光・月光菩薩、十二神将が祀られ、白山宮は稲荷社とともに薬師堂の末社でした。
堂は、南北二座の「堂の講」によって運営され、大正十二年までは大瀧児権現(現大瀧神社)ゆかりの独特の祭事「花の堂」などが行われていました。
明治維新の神仏分離令によって社号を天満宮と改称しますが、明治四十一年に粟田部愛宕神社、同川濯神社を合祀し、社号を岩本神社と改めました」

とある、霊峰白山を間近に望むことから古くから神仏習合の山岳信仰からはじまったようで、今も当時の名残が残されています。

その一つともいえる当社が所蔵する木造薬師如来坐像の解説がある。
「越前市指定文化財 岩本神社
木造薬師如来坐像 一躯
像高55㌢の一木造の像で、左手に薬師壺を捧げ、右手は臂を屈し、拳を前にして立て、編袒右肩の衣を着け、右足を外にした結跏跏趺の姿勢をとっている。
頭部にはやや大粒の螺髪を彫り出し、白毫には水晶が嵌入されている。
胸や両脚は厚手で、脚の組み方のしまった形や背筋の通った堂々たる姿には趣がある。
また、張りのある丸顔に眼鼻や唇を慎ましやかに刻んだ表情には落ち着きが感じられる。
このような作風から、平安時代中期頃(十一世紀前半)に制作されたと考えられる。」
手の込んだ像の様ですが当然拝観は叶わない。


境内左の苔むした石仏と不動明王像。

現在の拝殿・本殿の再建時期等定かではありませんが、雪深い山里にあって綺麗な外観を保っています。
降雪期になると高欄沿いにシートが降ろされ守られているのだろう、雪深い土地柄では雪の降りこみを防ぐためシートや透明樹脂などで囲っている姿をよく見かける。

本殿前の狛犬。
境内に狛犬は二対ありますが、こちらは拝殿前のもの。

拝殿に架けられた岩本神社の額。
向拝には木鼻に獏や蟇股の獅子などの彫飾りが見られます。
残念ながら拝殿内の様子は窺う事は出来ませんでした。

拝殿側面から鞘殿の眺め。
鞘殿は拝殿から幣殿を経て一体となっており、本殿の造りは見ることができません。

拝殿右に境内社の白山社(手前)と稲荷神社(奥)の二社が鎮座します。

白山社、創建時期などは不明。

右は稲荷神社。
赤御影石で作られた鳥居の先の小さな堂には使いの狐の姿もある。
こちらも創建時期などは不明。

江戸時代には神仏習合の薬師堂として岩本地区の人々から崇敬され、時代の流れに翻弄された周辺の神社を合祀しながら今に伝わる神社。
拝殿から社頭を眺めると氏子達の住む岩本地区が見渡せる。

岩本神社には参拝者駐車場は見当たらず、社頭の前の道路は幅員の狭い県道で、交通量もあるので大瀧神社・岡太神社駐車場に駐車する事をお勧めします。

岩本神社
創建 / 不明
祭神 / 菅亟相(菅原道真)、軻遇突智命、手置帆負命、彦狭智命、猿田彦命、菊理媛命
境内社 / 白山神社、稲荷神社
所在地 / 福井県越前市岩本町18-1
参拝日 / 2023/11/11
車アクセス / ​ 北陸自動車道武生ICから県道262号線を東進10分程
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Last updated  2023.12.26 00:00:19
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